和顔愛語/わげんあいご(『仏説無量寿経』)
「和顔愛語」(わげんあいご)とは、穏(おだ)やかな表情と優しい言葉。
いつもそうありたいとは思っても、現実にはそうもいきません。イライラすると不機嫌な表情になり、時には乱暴な言葉さえ投げつけてしまいます。「どうしてあんなこと言ってしまったんだろう」と後悔することもしばしばです。
一方で、表面だけ愛想を振りまき、二枚舌やおべんちゃらということもまた、しばしばです。これらは、私の不実な心が表に現れているのですから、それが偽らざる実態です。
しかし逆に、本当に困っている姿を見かけた時、打算とかではなく、優しい言葉をかけることがあるのも事実です。これは、どこから来ているのでしょう。私の中からはありえないところで、阿弥陀さまのお慈悲(じひ)が私に至り届き、そのお育てによって、私の口から優しい言葉が発せられているほか考えられません。
阿弥陀さまのお徳が、私の「むさぼり」「いかり」「おろかさ」にはたらき、それが心に安らぎや優しさとなっているのでしょう。
阿弥陀さまのお慈悲が私に届いた幸せのおすそ分け。それが「和顔愛語」という挨拶(あいさつ)の形なのでしょう。
(本願寺新報2022年6月10日掲載)
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