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江戸川乱歩 〜押絵と旅する男/疑惑〜
読書が大好きだった祖父の本棚を、ガサゴソと漁っていたところ『江戸川乱歩』の本を見つけた。どちらかといえば、小説というより戦国時代の武将の伝記を、よく読んでいるイメージだったため、少し驚いた。
先日、誰もがご存知の『Youtube大学』で、ちょうど江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」を観て、読みたいと思っていたため、かなり心踊った。
ただ、祖父が持っていたその小説に「屋根裏の散歩者」が載っているとは思わなかったが、まさかのまさかだった。その時、私の読書好きはきっと祖父から遺伝しているのだと、確信した(笑)
短編集になっており、「屋根裏の散歩者」を目的に読んだけど、その他の作品が面白かったので、その中の2作の感想を書こうと思います。
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1.押絵と旅する男
ざっと、江戸川乱歩の作品を読んだ感想は「ちょっと不気味で怖い。」そんな感想だった。そんな中でも、この作品はいろんな『愛』の形を描いた、不思議だけれども、どこかホッコリするような作品に感じた。
みなさん、タモさんがやっている特番「世にも奇妙な物語」をご存知だろうか。あるテーマに沿った奇妙な短編物語で構成されていて、中盤に必ず、一見怖そうな話に見えて、実は涙を誘うホッコリするお話がある。
この「押絵と旅する男」もそんな感じ。
舞台は富山県魚津市。主人公が、その魚津に蜃気楼を見に行った帰りの汽車で、ある奇妙な男で出会うことで、話が始まっていく。
ある奇妙な男は、歌舞伎御殿に男女がいる絵を持ち歩いており、それがまた本物の人間をそのまま閉じ込めたような押絵だった。
奇妙な男に話を聞くと、その押絵の男は『兄』だと言い張り、兄の話を始めるのであった。そこから「どうして兄が押絵になってしまったのか」と、本当か嘘のような話を始めるのだが、その話がなんとも「家族愛」に満ちていた。
「どうして押絵になってしまったのか」、それは是非、本をお読みください^^
2.疑惑
ミステリー小説ではあるものの、どちらかと言えば人間の業がまざまざと描かれている気がしている。人は無意識のうちに欲望を抑え込んでいたり、自分の都合のいいように解釈をしてしまうものだ。それが、本作のミステリーに反映されて「誰が犯人なのか?」を攪拌していて、すごく面白かった。
今回は、ある一家の中で父親殺されるという殺害事件が発生する。しかし、父親はお酒や女に飲み込まれ、家族に暴力を振るっていた。
「母」「兄」「俺」「妹」誰からも恨みをかっており、動機は十分。誰が殺したのか、探り合いが始まる・・・・
犯人はネタバレになるので言わないが、最終的には家族同士がかばい合う、これもまた家族愛なのかなと。
そして犯人がつぶやく。
「だれも悪人はいなかった。
そろいもそろって、無類の善人ばかりだった。
その中で、たったひとりの悪人は、皆を疑っていたこの私だ。
その疑惑の心の強い点だけでも、私はまさに悪人だった。」
犯人が悪人なのではない、疑う心を持っている自分が悪人なのだと。
誰もがもつ「疑心」をうまく利用したトリックだった。感激。
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昔の作家に共通して言えるのは、「人間」という本質を的確に捉えているところだと思う。だからこそ、恐ろしくも共感できるところがあり、多くの人に愛されているのかな^^
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