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不注意と認知症のはざまで。人は老いていきます。その過程をできるかぎり楽しもう。【#12】

病院には様々な人が訪れます。脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。手術の後で神経質になっている人、手術したことをすっかり忘れている人、薬を飲むのも忘れている人。
脳神経外科外来には、不注意と物忘れと認知症があります。
もちろん笑いもあります。


慢性硬膜下血腫という疾病があります。外傷によって頭蓋骨と脳の間に血がたまります。
血がいっぱいたまると血が脳を圧迫します。ふらついたり転んだり、ぼーっとしたり麻痺が出たり、といろいろな症状が出ます。
頭蓋骨に小さな穴を開けて血を吸いだす手術を行います。基本的に手術後症状は消失します。

慢性硬膜下血腫に対して手術をした70代の男性カズマさんのお話です。カズマさんは大らかな話し方と大らかな体格で、手術台から落ちそうなくらいだったのを覚えています。

カズマさんはそれまで全く病院にかかったことがありませんでした。入院した際に高血圧、高脂血症なども見つかったため、定期的に通っています。
(落ち着いたらかかりつけ医を決めて紹介する予定です。)


わたし「最近調子はどうですか?」

カズマさん「最近は全く転んでない。大丈夫だよ。」

わたし「それはよかったです。手術前にあった物忘れも大丈夫ですか?」

カズマさん「ボケ症状も全くなくなったし、もう忘れることもないよ。

わたし「それはよかったですね、では薬処方しておきますね」

カズマさん「あ、先生、くすり飲みわすれていっぱい余ってるから今回は少なめでいいわ。

わたし「・・・・・・・え?」

カズマさん「・・・・・・え? えへへ。」

ちょっとした漫才をした気分になりました(漫才したことないけど)。

そして次は、外来日を1週間まちがえて来院してくるのでした。



薬の飲み忘れというのは、単なる不注意なのか認知症のはじめなのか非常に悩む案件です。内服管理アプリというものがあります。残念ながらわたしは使ったことがないです。noteのように「こうすれば忘れにくいよ!!」とか「おめでとう、10日連続内服です♡」みたいなポップを出してくれるんですかね(笑)。
画期的なアプリを作ったら、研究で新薬を開発するよりたくさんの人を救えるかもしれませんね。

薬を飲み忘れないための工夫、しっかり聞いておかないと。
いろんなことにアンテナを!!

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