脳外科医つれづれ

脳外科医して16年目、中間管理職。 患者さんとの何気ない会話、医療者同士のネタ、医療者…

脳外科医つれづれ

脳外科医して16年目、中間管理職。 患者さんとの何気ない会話、医療者同士のネタ、医療者の気持ちなど、心がふわっとするような話を共有出来て、少しでも幸せな気持ちになれればと思っています。 コメント残してくれると励みになります。よろしくお願いします。

最近の記事

勝虫(かちむし)とんぼのお話 2/2

脳神経外科外来には様々な方が通院します。病気になって落ち込んでいる方がいます。手術がうまくいって喜んでいる方がいます。後遺症が残りつつも前向きに生きようと努力している方がいます。無償で小さな喜びを与えようとする方がいます。小さな幸せを受け取る小さな子がいます。 脳神経外科の外来には、小さな喜びのリレーがあります。 前回勝虫トンボを外来で渡された話をしました。その続きの話です。 せっせと勝虫トンボを外来の患者さんに渡していたある日のことです。勝虫トンボをいらないと断られまし

    • 勝虫(かちむし)とんぼのお話 1/2

      脳神経外科外来には様々な方が通院します。病気をきっかけに、自分を見つめなおす方がいます。考え方を大きく変える方がいます。生活習慣を改めたり、自分以外の人の幸せを願うようになる人もいます。 脳神経外科の外来には、新たな幸せへの祈りがあります。 脳動脈瘤というものがあります。脳の動脈の一部分がコブのように膨らんでいることを指します。これが破裂すると、くも膜下という場所に出血します。くも膜下出血は、大体3人に1人は亡くなります。また社会復帰できるまで回復する方も3人に1人です。

      • 年齢を重ねるということはそれだけ経験をしているという事です。誇れることだとわたしは思います。

        病院には様々な人が訪れます。脳神経外科外来にも様々な方が通院してきます。通院される方の多くは60歳を超えています。人生の先輩です。苦労、忍耐、老化など、わたしよりはるかに経験値は高いです。 脳神経外科外来では、ろうじん に会うことができます。 慢性硬膜下血腫という疾病があります。外傷によって頭蓋骨と脳の間に血がたまり脳を圧迫します。ふらついて転んだり、麻痺が出たりします。 頭蓋骨に小さな穴を開けて血を吸いだす手術を行います。手術を行った後はそのまま退院/終診となることもあ

        • 新しいことは、ほんの少しの勇気と行動で始められるのではないでしょうか?

          病院には様々な人が訪れます。 脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。 いろいろな疾患を抱えている方が多いですが、なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。こちらを前向きにするようなお話もよく教えてもらいます。脳神経外科外来には、はじめて があります。 脳梗塞を起こした場合、まず脳梗塞の原因を調べます。原因に応じて手術を行ったり点滴をしたりします。落ち着いたら予防のための薬を内服してもらいます。予防のためですので、一生その薬を飲み続けることになります。病院にも

        勝虫(かちむし)とんぼのお話 2/2

          「始まり」にアンテナを張っている人は幸せをより楽しめます。幸せにも「始まり」があるのだから。

          脳神経外科外来には様々な方が通院します。 病気をきっかけに、自分を見つめなおした方がいます。考え方を大きく変えた方がいます。生活を改めたり、悟りを開く方もいます。 脳神経外科の外来には、新たな始まりがあります。  脳動脈瘤というものがあります。脳の動脈がコブのように膨らんでいることを指します。破裂するとくも膜下出血となります。大体3人に1人は亡くなります。社会復帰できる方も約3人に1人です。  破裂率は場所、大きさ、形などでおおよそ判断できます。手術リスクが破裂リスクより高

          「始まり」にアンテナを張っている人は幸せをより楽しめます。幸せにも「始まり」があるのだから。

          この人生は夢だらけ(by 椎名林檎)。年をとっても、何をしても、自分の人生は自分のものです。

          病院には様々な人が訪れます。 脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。 いろいろな疾患を抱えている方が多いですが、なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。 こちらを前向きにするかの如く、笑いを取ってくる方もいます。 脳神経外科外来には、さいこうの趣味があります。 てんかん発作とは脳のある部分が突然過剰に働きだすこと、またそれによって様々な症状がでることです。過剰な働きが脳全体に広がると意識を失うこともあります。 このてんかん発作が繰り返し起こるとてんかんと診

          この人生は夢だらけ(by 椎名林檎)。年をとっても、何をしても、自分の人生は自分のものです。

          職人は寡黙ってあれ嘘やぞ。

          病院には様々な人が訪れます。 脳外科外来もいろいろな方が通院してきます。 厳しい結果を伝えないといけないときもありますが、なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。 ときどき凄く面白いことを教えていただくこともあります。 脳外科外来には、笑顔と驚きと発見があります。 60代男性、肺がん脳転移疑いで紹介となったニジさん。画像上は側脳室内の腫瘤性病変で転移ではなさそうでした。大きくならないかの定期的な画像フォローのみ行っています。 ニジさんは漆器職人さんで、外来にはご

          職人は寡黙ってあれ嘘やぞ。

          不注意と認知症のはざまで。人は老いていきます。その過程をできるかぎり楽しもう。

          病院には様々な人が訪れます。 脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。 手術の後で神経質になっている人、手術したことをすっかり忘れている人、薬を飲むのも忘れている人。 脳神経外科外来には、不注意と物忘れと認知症があります。 もちろん笑いもあります。 慢性硬膜下血腫という疾病があります。外傷によって頭蓋骨と脳の間に血がたまります。 血がいっぱいたまると血が脳を圧迫します。ふらついたり転んだり、ぼーっとしたり麻痺が出たり、といろいろな症状が出ます。 頭蓋骨に小さな穴を開け

          不注意と認知症のはざまで。人は老いていきます。その過程をできるかぎり楽しもう。

          全く想定していなかった返事が返ってきたとき、一瞬理解を拒絶してしまいました

          病院には様々な人が訪れます。 脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。 なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。 こちらを前向きにするかの如く、笑いを取ってくる方もいます。 脳外科外来には、笑顔と元気と想定外があります。 慢性硬膜下血腫という疾病があります。外傷によって頭蓋骨と脳の間に血がたまります。血がいっぱいたまると血が脳を圧迫します。そして頭痛、嘔吐、麻痺などの症状が出ます。症状がでてしまったら手術をすることがおおいです。小さな穴を頭蓋骨に開けて血を吸

          全く想定していなかった返事が返ってきたとき、一瞬理解を拒絶してしまいました

          旦那さんはすべてわかっていて悪者になっているだけだと思いますよ。

          病院には様々な人が訪れます。 脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。 厳しい結果を伝えないといけないときもありますが、なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。 こちらを前向きにするかの如く、笑いを取ってくる方もいます。 脳外科外来には、笑顔と秘密があります。 コニさん。いわゆる田舎の過疎地に住んでいますが、毎回1時間以上娘に運転させて外来に通ってきます。 脳梗塞になって、精査で頸動脈狭窄を認めた80代の方です。ステントで頸動脈の狭窄を広げた後の経過フォロ

          旦那さんはすべてわかっていて悪者になっているだけだと思いますよ。

          語られないスーパーヒーローはたくさん存在しているのです。

          病院には様々な人が訪れます。 脳外科外来もいろいろな方が通院してきます。 小学生の頃あこがれていたようなスーパーマンがくることもあります。 脳神経外科の外来には驚きと涙があります。 2024年1月1日能登半島で大きな地震がありました。その4日後、1月5日の外来での話です。 40代男性が脳外科外来に飛び込み(予約/電話全くなし)で来ました。問診票には、 “正月に地震で頭をケガした” と書かれていました。 なんで4日も経ってから病院来たのかな、と不思議に思いながら彼を診察室

          語られないスーパーヒーローはたくさん存在しているのです。

          あいつ(かかりつけ医)の話は聞かんでもええんやで!っていやダメでしょ。

          わたしの患者さんたちには、なるべく家族と一緒に外来に来てもらっています。病状の理解や内服コンプライアンスが良いからです。 それに患者さんも一人で来るより、なんとなくうきうきしている感じです。 ナカさん。 どこかの電気屋さんの元社長さんです。年齢は70代後半です。 頸動脈狭窄に対してステント留置をしました。 定期的に頸動脈エコーとMRIを行い、再狭窄がないか確認しています。 かかりつけの先生とも良好?な関係を築いているようで、血圧もちょっとずつ下がっています。(そのエピソ

          あいつ(かかりつけ医)の話は聞かんでもええんやで!っていやダメでしょ。

          疲れなのか加齢なのか、それが問題だ。

          病院には様々な人が訪れます。 脳外科外来もいろいろな方が通院してきます。 厳しい結果を伝えないといけないときもありますが、なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。 こちらを前向きにするかの如く、笑いを取ってくる方もいます。脳外科外来には、笑顔と驚きと失礼があります 肺がんの脳への転移が見つかって脳神経外科に紹介となった50代女性のモロさん。 糖尿病がひどく、まずは血糖コントロールが必要でした。 少し急ぐため、脳神経外科の外来にきた翌日から血糖コントロールのため代

          疲れなのか加齢なのか、それが問題だ。

          いったいどんな思考回路してるとそんな返しが思いつくんですか??

          医師を含め医療者も人間です。ちょっとした冗談を言うこともあります。 笑えることもあれば、全く笑えないブラックなものもあります。 私の大好きな上司キタマ先生はときどき変なことをいいます。 キタマ先生の冗談を4つ忘れないように書いておきます。 私もどこかで必ず使おうかと思っています。 影あるときキタマ先生、自分の病院で胸のレントゲンを撮りました。 胸のレントゲンを撮ってくれたのは、同僚で仲のよい放射線技師のタイヨウさんでした。キタマ先生のレントゲンには小さな影がみえました。

          いったいどんな思考回路してるとそんな返しが思いつくんですか??

          バナナはお菓子に入りますか?じゃないんだから(笑)

          病院には様々な人が訪れます。 脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。 厳しい結果を伝えないといけないときもあります。 なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。 こちらを前向きにするかの如く、笑いを取ってくる方もいます。 脳神経外科外来には、出会いと笑顔があります。 オバタさん。80歳に届きそうな年齢の、品の良い女性です。 めまい、ふらつきの精査で、乳がんの小脳などへの転移が見つかりました。 手術で腫瘍を取り、そのあと放射線治療をしました。 めまい、ふらつ

          バナナはお菓子に入りますか?じゃないんだから(笑)

          だれだって「おかえり」って言われたい

          病院には様々な人が訪れます。 脳神経外科の外来にも様々な方が通院してきます。 厳しい結果を伝えないといけないときもあります。 なるべく前向きになってもらおうと取り組んでいます。 こちらを前向きにするかの如く、笑いを取ってくる方もいます。 脳神経外科外来には、出会いと笑顔があります。 コニさん。いわゆる田舎の過疎地に住んでいる82歳の女性です。 娘さんに運転させて外来に通ってきます。1時間以上かかります。 コニさん。もともとは脳梗塞になって、精査で頸動脈狭窄を認めた方です

          だれだって「おかえり」って言われたい