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校正で直しが多い漢字ベスト5

私は、編集・校正のお仕事を25年以上続けてきました。
その経験でたまった「校正で直しが多い漢字ベスト5」とその対処法をご紹介します。

あくまでも、感覚知でのランキングであることをご了承ください!

【5位】意思/意志

意思は「考え」、意志は「成し遂げようとする心」。
ビジネス文書では、「意思決定」という言葉でよく使われます。
この言葉は、いくつかの「考え」の中から選んで決めることを意味するので、「意思」を使います。
「意志」のほうは、「意志が固い」「意志を貫く」といった表現を覚えておくと迷わなくなります。

【4位】価値観/価値感

これは明らかに、「価値観が正しい」と覚えてしまいましょう。
「見る」意味のある「観」を使うのが正解です。
「価値感」という言葉は、存在しません。

【3位】元/下/素

元=はじめ、下=影響下、素=原料 と区別するとわかりやすいです。
「元から違う」「法の下に平等」「ダシの素」のように、使い分けます。

【2位】押さえる/抑える

「押さえる」は、物理的に手でおさえること。
「頭を押さえる」「証拠を押さえる」などと使います。
「抑える」は、抑制すること。
「費用を抑える」「怒りを抑える」などと使います。

【1位】追及/追求/追究

どれもビジネス文書でよく見る表現です。
このうち「追及」は比較的わかりやすく、責任を問い詰めるという意味です。刑事ドラマで容疑者を問い詰める「追及」は、これにあたります。
難しいのは、「追究」と「追求」の違いでしょう。
私は、「遡って追いかけるのが追究」、「未来に向けて追いかけるのが追求」と考えるようにしています。
つまり、追いかけるもののベクトルが異なるわけです。
「真理の追究」「原因の追究」/「理想の追求」「幸福の追求」のように使い分けます。


いかがでしたでしょうか。

漢字への変換は、PCが自動でやってくれる時代。
つまり漢字の間違いは、今回紹介したように誤変換に起因するものがほとんどです。
変換時に、初出のもので良しとせずに、候補と用例を吟味しながら選ぶようにしたいですね。

みなさんが文章を書く際の、一助になれば幸いです。

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