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彼と行った夏フェスは死んでもいいと思えるほど幸せだった。


19歳の夏、はじめて夏フェスに行った。

それまでフェスはおろか、有名人(芸能人やアイドル)のコンサートやライブは仕事としてでしか行ったことがなかった私にとって初めての経験だった。


当時の彼氏はバンドマン。


その日、「チケットとれた!!」とだけ連絡がきた。

メンヘラだったその頃の私は「何の」チケットよりも、「誰と行く」チケットなのか知りたかった。


その数時間後彼と会う約束をしてたので準備をしながらそのことばかり考えていた。


合流そうそう彼はそのチケットの話をし始めた。


今でも覚えている。
夜、ローソンの駐車場でロックインジャパンを説明してくれたことを。
夏フェスだ。


そもそもそんなイベントがあることをぼんやりとしか知らなかった私は、音楽関連のチケットか、とホッとした。
バンドメンバーと行くんだろうな~と女がいない仮説に安心したその時、

「一緒に行こうね」
「君(名前)の好きなアーティストも出るみたいだし」


と言われ、とっさに「え!私でいいの!?やった!!」と返したのを覚えている。

彼は「なんで「私でいいの」なの?」と笑っていた。




イベントに行けることはもちろん、彼が私を選んでくれたこと、私の好きなアーティストもチェックしていてくれたことが嬉しかった。





少し遠出することも相まって当日までの私はウキウキルンルンで準備に取り掛かった。



夏フェスに参加する際の服装や、出演するアーティスト、交通手段、、いろいろと調べる準備段階ですでに楽しかった。




当日になり会場につくと、熱気と広さに驚いた。


ステージ、食べ物、テント、人、物販
1日がかりでも全部見て回れないだろうすごさにただただ感動していた。


そこで彼の好きなバンドの出演時間が近づき、前のほうで見たいと言っていた彼についていった。
結構前を確保できたが、当時の私はフェス初心者で後ろから押される力強さに倒れないよう一生懸命踏ん張っていた。

ファンは少しでも前で見たいだろうな、と思った私は彼にそう伝えて少し遠くのほうでライブを見た。



「待たせてごめんね!」と戻ってきた彼は本当に楽しそうだった。


その後はビール飲みたい!といった彼についていき、お酒を購入。
当時私はまだ未成年だったので何か炭酸のジュースを買ってもらった覚えがある。

「~♪」私の好きなアーティストの音楽が流れた。


「これ!!早く!!!」と彼に言い、二人でそのアーティストのステージまで走った。



今でも鮮明に覚えている。

夏の暑いなか、好きなアーティストの音楽につつまれ、好きな人とビールやジュースがこぼれないように笑いながら走っているその瞬間、私は死んでもいいと思った。






それからは1日が本当に楽しかった。


汗だくになり、走ったり休んだりしながら音楽を聞いたりステージを楽しみ、お腹がすいたら美味しいご飯を食べて。

写真も何枚も撮って、たしか観覧車にも乗った。





帰りは私がまだ帰りたくないとわがままを言い、遅くまでやっている地元の飲食店へ入りそのままホテルに直行。



この夏の思い出はとてもキラキラしていた。


今思い返しても、10代最後の夏はいい思い出しかない。








と、数日ロックインジャパンが今年は開催するというニュースをみてあの夏のことを思い出した。とさ。

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