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元彼が結婚した

元カレが結婚した。
5年前、大学1年生の時にたった3カ月だけ付き合った元カレが、保育士の女の子と結婚した。

同棲している彼女がいることは知っていたし、プロポーズしていたことは噂で聞いていた。

その子を大切にしてあげてね、お幸せにね。私はもっといい人に出会って幸せだから、別にもう関係ない。
この5年くらいずっとそう思っていたし、今でもそう思っている。
でも、インスタのストーリーに結婚式の写真が流れてきて、ちょっとグラついた。正直、隣に映るその子より、私の方が可愛いし品があるし。惨めだけれどそう思った。
元カレのことが忘れられないわけじゃない。今好きな人は、今付き合っている優しくて面白い彼だ。

けど結婚式の写真を見た時、
「もしかしたらこのドレスを着た子が、私だったのかもしれない」
そう思わずにはいられなかった。
満面の笑みで真ん中に映る二人。かつての自分が望んでいた光景に、私の姿はない。今日くらいは、今日だけは、こうやって綴らせてほしい。女って本当に面倒くさいな、と自分を嘲笑しながら、今文章に起こしている。

正直、彼の何がそんなに魅力的だったのか未だに分からない。
多分、大学生になって髪色を変えて、免許を取ってドライブして、こっそりお酒も飲んで、、、と真新しい世界の中で初めて付き合った彼だったから、色々新鮮だったんだと思う。友達の家でみんなで雑魚寝して、夜中こっそりキスして、ドキドキしたまま朝が来て。そんなヒリヒリ感とか彼の強引な感じが、純粋だった私には刺激的過ぎたし、それを恋だと錯覚していた。18歳、自由な感じがして、大人になった気がした。寝たのも彼が初めてだったし、何気ない仕草や言葉には中毒性があった。完全に麻痺していた。

だから、長続きしなかった。別れてから二人きりで会っていた期間もあったし、一瞬復縁もした。そうやって頭の片隅に彼がいた期間は、1年くらいあった。けれど最初から最後まで、私たちはお互いの内面に惹かれたり、本気で向き合えた試しはなかった、と思う。典型的な10代の恋愛だった。

当時は麻痺しすぎて、この人と一生一緒にいたい、と思っていた。
今では全く思わない。「あれもいい思い出だったな、ありがとうございました」っていう気持ち。
それでも、たらればの連続が私の心の底にぽつぽつと現れる。

私はもうこの先、あんなに盲目になってまで人を好きになることはないだろうし、沼に溺れるような恋をすることはないだろう。ズタボロに傷つけられて真夜中に嗚咽して泣いちゃうような恋は、きっと避けて通るだろう。
なのに、そんな恋や感情が恋しいんだと思う。
それは幸せでもなんでもないのに。

あとは、私が振り向かせることができなかった彼を、基本的に素っ気なかった彼を、満点の笑顔にできちゃうその子に嫉妬している。それは私がどれだけ望んでもできなかったこと。それができちゃうその子が、ちょっと羨ましくて憎いんだと思う。

過去をうだうだ嘆いて、誰かのことを僻む自分は、かっこ悪くて情けない。
けれど、こんな日もあってもいいよね。
明日からの日常を過ごしてれば、こんな感情は気づかないうちに薄れて、忘れちゃうはずだから。
寝る前に聴く音楽、何にしようかな。






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