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降りつもる言の葉 書き散らし(創作集)

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記事一覧

小さな歌

大きな歌はつくれないから、小さな歌を歌います ぽろりはらりと唇からこぼれ落つ、私の吐息 誰…

運命が変わるなんてことがあるのか

婚約者に捨てられた、ボロ雑巾のように捨てられた。よりによって、あんな女に彼を奪われるなん…

割り箸冒険記

ヒトシは使用済みの割り箸を集めています。工作好きの小学生のヒトシは、きれいに洗った割り箸…

Still Crazy

偶然見つけてしまった、あの人のアカウント。あの時と変わらぬ笑顔が胸をつらぬく。 10年以上…

初受賞しました

冬ピリカグランプリの個人審査員賞(さわきゆり賞)を受賞しました。 審査員の皆様、ありがと…

手渡す灯り

あなたは心の中に、灯りを持っています。それは小さいけれど、人の心をあたためることのできる…

やっと君が食べられる

君がそこにいるのを初めて知ったのは、いつだったかな。驚いたよ、こんなところに可愛い可愛い君がいたなんて。一目で君のとりこになってしまった。初めて見た時の君は、信じられないくらい小さかった。そのくせ生意気に、一丁前にツンツンしていた。 幼子は好きじゃないから、君が育つのを夢見て見守ってきたよ。だって君の家はすぐ近所、会いに行くのは簡単だから。だから何度も何度も、君の姿を求めて家まで行ったんだ。 会いに行くたびに少しずつ大きくなる君。ツンツンしながら成長していった。 あれは風が

あなたが結婚しないのは

お誕生日、おめでとう。 この言葉を言うのは36回目ですか。異性の友人は長続きしないと言わ…

秒の失恋

「わかった、友達紹介するよ」気が付くと俺、北城裕人はそう言っていた。通話の相手は大学時代…

セカンドパートナー、セカンドピアス

「はい、これプレゼント」 カフェの席につくなり彼が小さな紙袋を差し出した。驚いて記憶をた…

思い出にエール

あの頃の私に会いたくなったから、懐かしい街を訪ねた 変わった景色と変わらない景色 変わらな…

理・不・尽

「人は平等」なんて、学校で教えなければいいのに。なぜ、そんな嘘を教えるのか。 どう考えた…

渇き

 「暑・い・・・・、水・・・・水・・」 老婆が独りさまよっている。 耳鳴りのように、何十匹…

花びらのなか

訳もなく泣きたくなる時がある 身も世もないと大声で、泣き崩れたくなる 私は何をため込んでいるんだろう 何に気づかないふりをしているのだろう 認識も言語化もできない胸のオリ いつの間にかため込んでしまった すべて外に捨ててしまいたい それは花びらのように、私の心から飛び出して 舞い散り、私を覆いつくす 生きてきたからこその、傷、悲しみ、痛み 届かぬ愛、途切れた気持ち すべて花びらに変えて、踊り狂う 素足を地につけ、始原のステップを 砂漠の黄色い風に吹かれ 太陽をさえ呼び覚