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言葉は愛で対話は絆。だから沈黙は罪となり歪んだ罰の世界を創るんだ

vol.31【ジロウにもぼんやり自覚があるらしい。「なんで?どうして?」をジロウにいつも尋ねる私にある日、「ジロウは自分の気持ちを表現するの、苦手やねん」と告白されたんだ。

2017年5歳の冬、優雅に絵本を読む時間はなくなり、2021年の春先からは読む時間どころか会う時間すら私たちは失った。

4年近くタシノ子育てノセカイ

#これからの家族のかたち 応募作品の中で
先週特にスキを集めました!

あなたの貴重なお時間をありがとうございます!

学びを深めるほど世界の闇も深くなり、底の果てしなさに震えるんだけど、光の深みもいっそう果てしなくなる。

学びは闇を包む、光だからだ。

人は言葉から学び、言葉で命をつむいでゆく。言葉が命みたいなものだから、言葉を放棄すると命は蝕まれて重くなり、闇にゆっくりと沈みゆく。

だから沈黙は、罪なんだ。

命の言葉を伝える光だけが、闇を包み込み、果てしない世界を輝かせてゆくのかな。

ところで私には「実子誘拐」で5年間離れて暮らす、10代のふたりの息子がいる。

2023年4月の夕刻、制服姿の長男タロウが登場する。

「お母ちゃん、シャーロックホームズ読みたいねん。本屋さん連れてって」

「いいねぇ。コナンドイル?」と尋ねる私は思い出が溢れだし、感情整理に忙しくなる。タロウと暮らした親子時間と、タロウに重ねる10代の私が、一気に流れ込んできたんだ。

タロウは0歳からの9年間、私と一緒に絵本を楽しむ時間があった。タロウ4歳からは次男ジロウも加わって、飽きもせず毎夜毎夜、歯磨きするみたいに絵本を眺めた。

気がつくと家には200冊以上の絵本が並んでいて、お布団にもぐる時間になると、タロジロは好きな絵本を手に取ってウキウキ。

言葉を理解し、文字を覚え、物語に心躍る子どもたちの姿は、私にとっては奇跡みたいだった。

2017年12月、タロジロとの絵本時間はぷっつり途切れる。気がつけば2023年。タロウはたぶん、1万冊くらいの物語に、触れているのかな。

小学5年生くらいになるとタロウは、お気に入りだったアニメ「名探偵コナン」の小説を好んで読むようになった。アニメ→映画→小説、の順に興味をもったらしい。

小説を読んだタロウは会うたびに報告をくれて、映画との違いを事細かに説明してくれる。タロウが喋りだすと、カゲロウみたいな親子時間が、鮮明に濃縮されるように流れだすんだ。

タロウはどうやって、コナンドイルに辿りついたんだろう。

さて、本屋さんにて別々にシャーロックホームズを探しながら、私は学生時代を蘇らす。

小学生の私は、TVアニメの名探偵ホームズにはまり、猛ダッシュで下校していたんだ。中学生になると、赤川次郎の三毛猫ホームズに没頭し、学校の勉強そっちのけで読みふけった。

コナンドイルだけに、なんだか遺伝子がくすぐったい。

タロジロ幼少期、おやつの時間に紅茶たてて、お喋りした謎は、もしかしたら近くタロウが解いてくれるかもしれないな。ホームズはコーヒー派だけど。

ジロウは文字への興味が強く、2歳からひらがなを読みはじめた。朝の起きぬけ絵本が日常で、夜の絵本タイムでは「ジロウが読んであげるな」と言って、タロウと私に読みきかせてくれた。

そして3年生の終わりを迎える8歳ごろ、読書を好きじゃなくなった。お喋りなタロウの口を閉ざすほどだった弁舌も、同時期から嘘みたいに固まりゆく。

ジロウにもぼんやり自覚があるらしい。なんで?どうして?が口癖のような私に、ある日告白してくれたんだ。 

「ジロウは自分の気持ちを表現するん、苦手やねん」

2017年5歳の冬、優雅に絵本を読む時間はなくなり、2021年の春先からは読む時間どころか、会う時間すら私たち親子からなくなった。

4年に渡る、裁判所の係争で生まれたモノは、崩壊しつくされた「家族」だったんだ。子が親から養育されることも、親が子を養育することも、日本という国では保護されていない。

「子育て罰」なんて言葉がうまれるのも仕方ないな。子育てしようにも、国が親子関係を保護していないんだもの。子育ては国育てなのに。

戦後、国の礎がないまま、2023年の今にいたる。

言葉を懸命に探すジロウの姿にであうたび、失った時間にないものねだりする私を温め、ジロウの存在をただただ見つめ、ありがたい今に感謝する

ジロウと密会中のぬうような時間をつまめたとき、私たちはお互いの好きなところを伝え合う。2023年5月、10歳ジロウがはにかみながら、私へ言葉を贈ってくれた。

「話す力があって、明るいトコが好き!」

よし。今後はいっそう、お喋りで明るくあろう。

言葉は、光で、命で、愛なんだ。

そういやジロウは、嫌なことにはとりあえずNOを示すし、叶えたいことはとりあえず口にする。

大丈夫。ちゃんと、命が、輝いている。



2019年7月異人館
ホームズごっこで神戸を謎解き
真夏日にノリノリで探偵服ご着用

▼命のお話

圧力による言論封殺は、命への冒涜だ。梅村みずほ議員に対する世間の偏向報道と扇動状態に、日本のからっぽさを染み入る。委員会質疑で人を感動させられる国会議員、どれだけいる?

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