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⑨一斉に咲き誇るクローンの美醜

第4章タロジロラブレター
慈愛と私。きらきらタロジロ

くだらない価値観なんて積み木みたいにコトコトと組み替えてしまえばいいんだ。 
 
プライドと価値観を私たちは間違える。 
 
社会性と称して間違いを再生産し、価値観と称したプライドで自分を覆う。 
 
 
生きる力とは強制される価値観から逃げ出す力なんだ。 
 
 
本物のプライドは「真の価値」だ。
 
誰も気づいていなくても、
心が欲する大切な何かは、
短期的には無視されようとも、
長期的には希望に満ち溢れている。 
 
今瞬時に自分と誰かを満たす何かはだいたいただのドラッグだ。 
 
 
堕ちるな。
朽ちるな。 
 
人はほんとは強いんだ。 
 
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2015年。
6歳タロウが叫ぶ。 
 
 お母ちゃんあかん!! 
 
叫ぶと同時にガシャンと割れた。 
両腕を伸ばして頭の上から床へと陶器を放した。
破片が飛び散らないようビニール袋に入れて。 
 
私は声を殺して泣きながら、袋を拾い上げてゴミ箱に捨てた。 
 
立ち尽くすタロウを立膝で抱きしめる。 
昼寝するジロウの寝息が聞こえる。 
深呼吸したら視力がほんの少し戻った。
 
 
 
窓のずっと奥の桜の枝がいつの間にかピンク色だったんだ。
 
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甥の12歳天ちゃんが春の息吹を運んできた。 
ステイホームさながらの2週間のホームステイ。 
 
 タロジロと遊びたいから俺誘ってくるわ。 
 
タロジロの家まで徒歩5分強。
ダウン着こんで向う天ちゃん。 
 
 
あっという間に13歳タロウを私の元へ連れてくる。 
 
 
ジロウの姿はそこにない。
ないものねだりを桜のつぼみに押し込めた。 
 
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外出許可取り先にタロウ架電は不通。
いとこと歩く農道にてポッケのスマホが鳴る。 
 
 天ちゃん来たから
 お母ちゃんとこ行ってくる。 
 
胸ざわつく状況下にて。
タロウが伝えるのは事実のみ。
 
自分を守ろうとするタロジロに母は容赦ない。
事実確認が済むと「感情」の解放を求めるんだ。 
 
タロウは毎度一瞬躊躇してさらりと回答する。
ジロウは最近プチパニックさながらで回答する。 
 
最近はひと月前。
日常は価値観の強制に溢れている。
 
もとい。
 
 
外出理由は「天ちゃんが来たから」ではない。 
行動理由にどうか思考停止してしまわないで。
 
主語はタロウじゃないとあかん。 
 
母の口癖が「なんで?」なのは、なんで? 
 
 
事実が人を鎮める。
感情が人を動かす。
 
自分自身と対話せよ。
 
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夕食交渉にすごすごと撤退したタロウ。
主語がタロウでない理由を並べ立てる。 
米研ぐ母をバツ悪そうにチラチラ見る。
 
可愛いらしいからダメ母は甘やかす。 
 
 今日楽しく過ごせたのは、
 タロウが自分で判断して、
 天ちゃんと歩いて来たからやね。
 お母ちゃんうれしかった。
 天ちゃんは明日もおるよ。 
 そういやコロナ休校の時期、
 しょっちゅうSkypeクッキングしたね。 
  
タロウは天ちゃんと何やら相談している。 
 
 お母ちゃん!
 明日も来るから。
 
 
翌日。
タロウと天ちゃんは一緒にお昼ご飯を作った。 
 
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子どもたちが料理する姿に彼らの幼少期が被る。
5年間の空白が消えて一緒に暮らした時間が蘇る。
 
 
だけど。
目の前で立って笑って喋ってるのは今なんだ。 
 
 
愛らしい姿がなんだかぼやけだした。 
 
 幸せすぎて泣きそうやから泣いていい? 
 
天ちゃんは「なんでやねん!」と大爆笑。
タロウははにかんで鰹節を鍋に投入。 
 
 
できあがったお昼ご飯はいろんな香と味がした。 
 
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約束の時間にタロウは帰宅。
天ちゃんと夜のお喋りタイムになった。 
 
 昨日も今日も天ちゃんがおって、
 タロウにも会えてうれしい。
 天ちゃんのおかげやわ。
 主体的な動きに心があったかくなる。
 まーねーはとっても幸せ。 
 ありがとう。
 
 ※まーねー=伯母まどか
 
掛布団の上でゴロゴロする天ちゃんは笑っている。
 
 俺はずっとタロウに会いたかったし。
 ジロウにもはよ会いたいわ。
 ところで主体的ってなに? 
 
布団にもぐりこむ天ちゃん。 
 
 まーねー、あんな。
 俺、お母さんに会えへんなんて
 寂しくて絶対無理や。
 タロジロもそうやと思うで。
 泣きたいときは泣いたらええねん。
 我慢するのなんかつらいやん。 
 
2021年夏の終わり。
タロウも人の感情の解放を願ってたな。
 
 
伯母号泣寸前。
天ちゃん笑う。 
 
 
子どもたちはすべてを知っている。 
 
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まもなく就寝。
天ちゃんと互いのいいところを言い合う。 
セロトニンをメロトニンへ。
 
天ちゃんの「いい」が湧きだす伯母まどか。
思春期天ちゃんは少々困惑するも意を決す。 
 
 まーねーのいいとこは
 いっぱいいいとこあるとこ。 
 俺、好きなとこばっかり。
 
とことことこ。
具体例は翌日に持ち越した。 
 
 
天ちゃんは天使であり天才である。 
 
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2018年春。
親子分断4ヵ月目。
ジロウは幼稚園に入園する。 
 
担任はタロウと同じ先生。
タロウも私も大好きな先生だった。 
家庭の事情は私視点だけど伝えておいた。 
 
私に桜の記憶は一ミリもない。 
 
2021年春。
本州一低い分水嶺で母とタロジロはお花見。 
おにぎりといちごを頬張るタロジロがいる。 
 
ピンクに染まる景色が嘘みたいで、このまま時が止まるんじゃないかと思った。 
 
 
2022年の桜にまだ想い出はない。
 
だけど。
世界は希望に満ち溢れている。 
 
飛び出せ。
真の価値を探せ。 
 
今日も愛してる。
 
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ーーーー⑩につづくー
心の声の無意識かくれんぼ
絆を深めるお喋りは愛の証
世界を創造するありのままの言葉
百折不撓で今を生きる
  /つむぐ絆に深まる想い
ココにいる僕は私で私は僕
    /そして私は私で僕は僕
夢のみつけかたと優しい負けず嫌い
勉強する意味と鎖国の私たち
サンタとタロウと13歳の誕生日
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⑨Facebook編2021.04.07
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2014年チームいとこ
5年後に9名編成へ
手を繋がせるのは大人の愛だ


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