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タロジロラブレター第4章【慈愛と私。きらきらタロジロ】①サンタとタロウと13歳の誕生日

タロウ誕生の12月は奇跡に廻りあう時期なんだ。 
 
だってほら。 
 
タロウとジロウとお母ちゃん。
9ヶ月ぶりに三人で会えたでしょ? 
 
奇跡は「起きる」んじゃなくて「起こす」ものかもしれないな。 
 
 
強い想いが『奇跡』となって自分を包み込む。 
 
その時。 
同じ景色を一緒に眺められるはずなんだ。 
 
 
 
あきらめずに大切な人の手を握りしめたままなら。

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あわてんぼうのサンタはいるらしい。 
 
 お母ちゃん!!
 お父ちゃんからLINEきた!? 
 
息を弾ませたサンタロウがいきなりやってくる。
 
フイに現れたタロウで胸いっぱいの私。 
我に返ってLINEからの推察に答え合わせ。 
 
どうやら正解らしい。 
 
 
両頬のエクボをくぼませてタロウは目を輝かせる。 
 
 あんな!誕生日に会えると思うで!!
 お母ちゃんと会えるかタロウが聞いてん! 
 
胸っていくらでもいっぱいになるようだ。 
 
 
親子分断生活6年目に突入。 
やるやんタロウ。 
 
 
期待と落胆の6月ジロウの誕生日から半年。 
未だ開封されないプレゼントのレゴ。 
 
 
 
お母ちゃん信じてた。 
考えて行動して会いに来るって。  
 
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12月27日タロウ誕生日。 
予定より5時間早くタロウの声が響く。 
 
 来たで!お母ちゃん!!
 雪でワンチャン部活なくなるかもって、
 タロウ昨日から思っててん!! 
 
タロウの「ワンチャン」に頬が緩む私。 
雪道で頬を赤らめたタロウを胸に引き寄せる。 
 
 
 誕生日おめでとう!!
 生まれてきてくれてありがとう。 
 
 
タロウの頬の膨らみが肩から伝わる。
 
彼の表情を目に焼き付けたくなる私。
両腕を緩めてニキビの影もない頬へと手を移す。 
 
 冷たいっ!!! 
 
目をつむって永久歯をすべて覗かす13歳タロウ。 
 
 
 
ずっと変わらぬエクボがそこにある。 
 
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2021年9月から継続する密会。 
そんな中掴んだ秘密でない親子の時間。 
 
すべては偶然ではない。
タロウが考えて行動した結果なんだ。 
 
 
 誕生日であれば許可を得やすいかな。
 YESかNOで答えられる質問がいいかな。
 伝えるタイミングはいつがいいかな。 
 
 
苦い過去を糧にして今の幸せをどう掴むか。 
自分で切り開いた最高の誕生日やんか。 
 
 
 
13年前の2008年12月。
産道を抜ける命がけの誕生を成し遂げたタロウ。 
 
 
大丈夫。
あなたはどんな逆境にも立ち向かえます。 
 
 
 
そして。
すべての人がそうなんだ。 
 
ほんの少しの愛さえあれば。
 
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13歳の誕生日。
タロウは定番祝いの「旅」を見送る。
ジロウの合流が18時以降になるからだ。 
 
加えて。
ジロウが知らないんだ。 
タロウが朝から母と会っていることを。 
 
私には何が起きたかよーわからん。 
 
だけど。 
 
タロウがジロウを想いやっているのはわかるんだ。 
 
しかも自己犠牲じゃない。
 
 
 
タロウの想いは「愛」やねん。 
 
 
 
だって。 
タロウはことあるごとに教えてくれるんだ。
 
 人が僕をなんて思うかは別にかまへん。
 タロウがいいって思ってるからええねん。  
 
見返りや他者評価は心地よさではない。
タロウは人の喜びをただ自分の喜びにする。
 
 
眩しくてしかたない。 
 
 
そして。 
 
不器用なタロウが私は愛おしくてたまらないんだ。 
 
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旅をさておき。
ランチデートを可愛らしくご所望するタロウ。
 
幼稚園舎を再利用した市内のお店へ。
 
 
大好きなカルボナーラとマルゲリータ。 
美味なベーコンが地元産かと興味津々。
窯焼きピザの耳には驚愕してウットリ。
 
 ジロウがいたらもう一品味見できたかな。
 
栗のムースに添えられたイルカのバナナ。
頬張りつつ悩みだすムースとは何ぞや。
おいしいのにお腹パンパンも悩ましい。 
 
 ジロウがいたら食べてくれたかな。
 
お母ちゃんと寝転がる店内のyogibo。
真っ白な園庭でお母ちゃんと作る雪だるま。
青すぎる空の片隅に漂う真っ黒な雪雲。 
 
 ジロウは今、何しているんだろう。
 
 
車に乗り込んだタロウが私にささやく。 
 
 ジロウも今度連れてきてあげよな。 
 
 
母親との日常を失くしたタロジロ。 
過ごす時間がすべて旅みたいなんだ。 
旅は非日常であり感覚をより鋭くさせる。 
 
だけど。
大切なのは「旅」に出ることじゃない。 
なんなら「非日常」でもない。 
 
 
 
目の前の景色を誰とどのように感じるかなんだ。 
 
 
 
そしたらきっと。
日常すら特別になって輝きだす。
 
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帰り道。
誕生日ケーキはいらないと言い出すタロウ。
繰り返し一緒に作ったお菓子をオファーする。 
 
 タロウ甘いもん好きちゃうやん。
 でもパンプディングは好きやねん。
 お母ちゃん一緒に作ろ。 
 
帰宅後。
お母ちゃんのハンバーグが食べたくなるタロウ。 
ミンチを買ってくると急ぐ私を引き留める。 
 
 ハンバーグやなくてあるもんでいい。
 買い物の時間がもったいないやん。
 お母ちゃん一緒に遊ぼ。
 
 
うれしいやら情けないやら感情が忙しい。 
コンタクトで乾燥する目が潤いつづけている。 
 
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27日18時ごろ。 
9歳ジロウがやってきた。 
うつむく顔に隠せないハニカミ。 
 
両腕を広げてハグ体制万全の私。
ひまわり笑顔でジャンプのジロウ。 
 
 
抱っこなんかいっ!!!
 
 
ふらつく私に目を細くするタロウが話す。 
 
 ジロウの体重38kgやで。
 タロウと一緒やねん。 
 
 
マジかっ!!!!! 
 
 
視界に映るほっそりタロウとぽっちゃりジロウ。
タロジロの何気ない兄弟の会話が耳に届く。 
 
 
私は体重の一緒に驚きながら、タロジロの一緒に気がついた。 
 
 
ふたり揃う姿は9ヵ月ぶりの光景だ。 
 
喉がフルエテ、
鼻水がタレテ、
目がマッカッカ。
心がそのまま声になる。
 
 
 お母ちゃん幸せやわ。
 
 
視線を交わすタロジロは微笑んで私を見上げる。 
 
 
天使たちが悪魔を包む瞬間。
怖いほど私は幸せに震えた。 
 
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タロウ11歳の2020年12月。
サンタの存在を揺るがす出来事が起きる。 
 
ジロウがサンタに頼んだプレゼントの買い出しに遭遇したんだ。 
 
タロウ12歳の2021年12月。 
サンタ存在の葛藤をお母ちゃんに打ち明ける。 
 
真顔でタロウに相談するお母ちゃん。
 
 ほなサンタ探しに行こか。
 フィンランドらへんがええかな?
 
タロウがエクボをふたつへこませて応える。 
 
 12月は忙しいから見つけにくいやろ。
 世界中にちらばってんねんから。
 あ!サンタ追跡するアプリあるらしいで。 
 
 
 
不器用なタロウの、ジロウと母への愛なのかな。 
愛に溢れるタロウの、不器用な素直さなのかな。 
 
まぁ、どっちでもいいや。
 
 
 
とにかくあなたは愛を輝かせているんだから。 
 
 
 
タロウの名前の頭文字「輝」。
お父ちゃんとお母ちゃんで決めたんだ。
気に入ってくれてるといいな。
 
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タロウ。
あなたに出逢って私は無償の愛を知りました。 
 
それは無色透明で、
儚くて尊くて、
怖いほどに強いんだ。 
 
私に「お母さん」の景色をくれてありがとう。
私にあなたを愛させてくれてありがとう。
私を無条件に愛してくれてありがとう。 
 
タロウのすべてに感謝しています。 
もちろんジロウもね。
 
 
HAPPY 13TH BIRTHDAY !! 
 
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Facebook編2021.12.30記
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2020年タロウ誕生日stand.fm編
プロローグと奇跡的リンク
聴いてくれたあなたのご加護です!



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