見出し画像

精神病院に入院しますか?

私に感情がなくなってから、
それまで通っていたメンタルクリニックから
別の病院の精神科に通うことになった。
最初に通っていたメンタルクリニックは
駅前にあったこともあり、とんでもなく混んでいた。
予約の時間通りに行っても必ず、2時間は待つのだ。
ここまで精神状態がおかしい人間にとって、2時間待つのは不可能に近い。
そんなときは、また、デパスを飲んで目をつぶるのだった。
とにかく寝て、現実逃避したかった。
それしか、自分で自分を守るすべはなかった。

新しい精神科は特殊な病院だったため、
空いていて、待ち時間も長くても30分程度だった。
にもかかわらず、私はデパスをやめようと頑張ってたのもあり、
とても、挙動不審だったと思う。
ふつうの人間だったら、待っている間、スマホをいじっているだけで、
時間がどんどん過ぎるものだけど、
感情がなくなってからは
スマホで調べたいことも、楽しみたいことも何もないので、
スマホを見て時間をつぶすという選択肢はないのだ。

診察を待っている間も、とにかく不安で、
(かと言って、家にいても不安なのだが)
脂汗をかきながら、立ったり、座ったりを繰り返し、
最終的には待合室をぐるぐる歩きまわるのだ。
相当、ヤバいヤツと思われていたに違いない。

また、記憶もおかしくなっていたので、
自分は認知症だと言い張った。
先生に「ではMRIを撮りましょう」と言われて、
MRIの装置に入ることになるのだが、
鬱になる前には一切そんなことは感じたことがなかったのだが、
MRIの部屋に入るのさえ、怖くなってしまったのだ。
自分で調べてほしいと、言っておきながら、
めちゃくちゃ怖くなって、
「無理です」と言って、
看護師さんを困らせてしまった。

何が怖いかというと、
狭いところに入るのも怖いのだが、
MRI技師が二人とも男性だったのも怖かった。
なので、女性の看護師さんに、直前までついて来てもらった。
MRIの装置に横たわってからも手を握ってもらい、
作動する直前に、看護師さんは「大丈夫ですよ!」と言って
そっと出て行かれた。

やっぱり看護師さんは白衣の天使なのだ。

そうして、無事に画像は取れたのだが、
先生曰く、問題はない、とのことだった。
でも自分では「いや、きっと先生は見逃しているに違いない」
と思っていた。

一連の度重なる私の奇行や、
私の、眠れない、食べれないの症状を聞いた先生は
ここの病院にはその設備はないのですが、
別の入院設備のある、精神病院に入院しますか?
と、勧めてきた。

あ、ついに来たか。
精神病院、入院。

昔、子供のころ、立ち読みした漫画にあったな。
どこも悪くない人が
精神病と決めつけられ、精神病院に入れられるヤツ。
鉄格子のなかに閉じ込められて、
鉄格子につかまり、大声で
「助けて!!」と叫んでも、
看護師さんはみんな無視。

精神安定剤打たれて、
抵抗する気力もなくされて、
本当に精神病んで、
廃人みたいになってくヤツ。
怖かったな。

ついに自分にもその時が来たんだな。
まあ、私の場合、本当に精神病なんだけどね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?