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掌ー編ハウアー

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主に過去に書いたものを。掌編、短編、ショートショートの違いがいまいちよくわかりません。
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2022年3月の記事一覧

カウントダウンレディオ【掌編】1,001字

さあて、もうすぐ金曜21時です。DJ.Keishiがお送りするカウントダウンレディオのお時間です。 …

爪毛川太
2年前
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トイレの紙様【掌編】2,598字

むかしばなしをしてやろう。 ある田舎町にヤスノリ君っていう少年がいたんだ。ヤスノリ少年は…

爪毛川太
2年前
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新人へオクる言葉【掌編】1,049字

 新入生、新社会人のみんな、まずはおめでとう。  大したことは言えないけど人生の先輩から…

爪毛川太
2年前
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VR砂浜物語【掌編】4,358字

 一直線にのびる白い砂浜。平行する海や空。果てなく続く海岸線。この砂浜をずっと歩いていっ…

爪毛川太
2年前
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ポジティブワード【掌編】549字

ポジティブな言葉は目にするだけで前向きな気持ちにしてくれる。 ネガティブな思考になりそう…

爪毛川太
2年前
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ストローを登って【掌編】799字

奇妙な種を手に入れた。 園芸に特別興味はないが気まぐれで土に植えてみた。 芽が出た時に支…

爪毛川太
2年前
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三者の太陽【掌編】814字

楠弁護士は捲り上げたズボンを全く濡らさずボートから砂浜に降り立った。 「先生、凄いですね!」と僕が言ったのは、半分はヨイショであったが、半分は本心だった。 「ボートの揺れと波の揺れのリズムを捉えてタイミングよく脚を出せば濡れないよ」と先生。芸能界と繋がりのある楠弁護士を通して今回の企画が成立した。 続いて、ボートから降りたのはグラビアタレントのAMiさん。今回、AMiさんにはうちの広告に出てもらう。「えー、先生、すごちー」と言いながら降りていくその足元はびしょ濡れである

どこへ行こうか【掌編】888字

 1人の旅人がある寂れた街の寂れた宿を訪れた。旅人は疲れていたのでカウンターで金を支払い…

爪毛川太
2年前
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心霊のたのしみかた【掌編】3,249字

 私は心霊の類は一切信じていない。  しかし、嫌いではない。こう言うと「それはおかしい」…

爪毛川太
2年前
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サイトウ統一計画【掌編】3,402字

 伊藤と伊東、庄司と東海林。  このように世の中には読みが同じでありながら異なる漢字の名…

爪毛川太
2年前
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今日も今日とて【掌編】1,141字

夕方6時、日本料理屋の前で待ち合わせをして彼女と店に入る。 中国人店主の握るカリフォルニ…

爪毛川太
2年前
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ベスリアキ集衆学1回目の授業【掌編】1,814字

今日はベスリアキ学の1回目の授業だ。 めんどくさいなぁ……と単なる学生だったら思っていた…

爪毛川太
2年前
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ともにいく理由【掌編】320字

なんで1人でいかないんだろう。いきたいならかってに1人でいけばいいのに。 ずっとこう思って…

爪毛川太
2年前
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地獄の色【掌編】399字

「地獄は場所じゃねえ」 口癖のように言っていた親父が死んだ。 まあ、あれだ。 言わんとしてたことはわかるよ。 春の桜も秋の紅葉も、派手に輝くネオンも、すべて血みどろ地獄色に見えるメガネを親父はかけていたってことだ。 俺たち家族の顔も鬼のように赤黒く見えていたに違いない。 親父は……十中八九地獄行きだとは思う。 だけど、何かが間違って、万が一にもないだろうけど、親父が極楽に行ってもそこは地獄に見えるんだろうよ。 地獄は場所じゃないってんなら、極楽も場所じゃないん