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今日も今日とて【掌編】1,141字

夕方6時、日本料理屋の前で待ち合わせをして彼女と店に入る。

中国人店主の握るカリフォルニアロールの、さらにもどきの寿司を頬張りながら銘柄のない日本酒を味わう。

くぅー、日本酒はなんでも美味いぜ。

後から店に入ってきた韓国人女子大生3人組のケツを眺めていたら彼女がキレる。

俺は昨日、辞書で調べたracistという単語を武器に彼女の口撃を向かい撃つ。お前はracistだ、あんたはladies firstの精神がない、の繰り返しになってきた頃、店を出る。

夜8時、アジアンにハマっている彼女の希望でタイ料理屋。踊りだしたくなるようなタイポップスが流れる薄暗い店内で、甘酸っぱ辛いパパイヤサラダを氷入りシンハ―ビールで流し込む。

夜9時、店を出る。そこに偶然、知り合いのイギリス人カップルが通りかかる。

俺の彼女は男友だちの方とキスをする。この習慣は慣れない。

俺も負けじと女友だちの肩を抱くふりをする。それを見た彼女がキレて何故か歌い出した。

フライにピーナッツバターをかけたような歌をミュージックに俺たちは通りを歩く。ピンクネオンから振られる手には微塵も興味がないという顔つきを今日は向ける。

そろそろ次の場所だ。

夜9時半、カップルを見送ってからクラブに行く。

彼女行きつけのそこでは黒目黒髪の異人は俺しかいない。

俺は我流のダンスでホールを沸かせる。

あなたのダンスってボクシングみたいと見知らぬパツキン美女が話しかけてくる。それに俺は黄色い歯を見せながらダサく親指を立てる。それが彼女との出逢いだった。

クラブではジントニックを頼む。他のが飲みたいがこれしか聞き取ってもらえないのだ。

深夜11時半、踊り疲れてクラブを出る。

酔っ払いたちが殴り合いの喧嘩をしている。流血している彼らをゴリラみたいな警備員が止めに入る。愉快な街だ。

2メートルはありそうな野郎が彼女をナンパしてきた。俺がいるというのに。

しかし、彼女は相手にしていないようだ。俺が日本のボクシングチャンピオンだと昔、彼女についた嘘を、彼女はそのまま2メートルに伝える。

すると彼はシャドーを始める。おいおいおい、おいおい。そんな展開望んでないぜ。

俺はジムキャリーばりに目と唇の筋肉を動かしつつ、よくわからないジェスチャーをしてその場を離れた。あんたは凄いと伝われば何でもよし。

クラブ前の通りで客待ちをするタクシードライバーを1人1人チェックしていく。

待ちながらマ○ファナを吸っていることがあるからだ。

やってる奴は目が充血してるからすぐわかる。

ほどほどの奴を見つけ、甘ったるい臭いが残る車内に乗り込む。

深夜12時、同棲している彼女の家にタクシーが到着する。

昼に庭に出していたテーブルと椅子のセットが無くなってる。どうやら盗まれたようだ。

ろっくんろーるだぜ。


2021年6月
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見出し画像にイラストをお借りしました。


私はエスニック料理が好きなんですが、なんやかんやでやっぱりインドネシア料理が一番だなぁと思っています。

ところでこの話の舞台はどこかわかりますか? ピンクネオン、ピーナッツバター、マ〇ファナ辺りがヒントです。1ヶ月無駄に滞在していましたが風車は見に行けなかったんですよ。この話はフィクションです。



爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!