2022年 年賀詰 解答(1)
先日の年賀詰(1)の解答です。
問題はこちら。
1.$${\textrm{Torus-}P(2022)\textrm{-Leaper}王}$$ 協力ステイルメイト3手
※受方持駒なし
解答:25飛、52玉、88龍 迄
表記を簡単にするために、$${\textrm{Torus-}P(2022)\textrm{-Leaper}}$$を単に$${P(2022)}$$、$${\textrm{Torus-}(a,b)\textrm{-Leaper}}$$を$${L(a,b)}$$と書くことにします。
まずは$${P(2022)}$$の利きを確認しましょう。$${2022=2\times3\times337}$$と素因数分解されるので、$${P(2022)}$$は下記のように計算できます。
$$
\begin{align*}
&P(2022) \\
=&L(1,2022)+L(2,1011)+L(3,674)+L(6,337) \\
=&L(1,6)+L(2,3)+L(3,8)+L(6,4) \\
=&L(1,3)+L(2,3)+L(3,1)+L(3,4) \\
=&L(1,3)+L(2,3)+L(3,4)
\end{align*}
$$
例えば$${L(3,674)}$$は、$${674=9\cdot74+8}$$より$${L(3,674)=L(3,8)}$$となり、$${L(a,b)=L(a,-b)}$$より$${L(3,8)=L(3,-8)=L(3,1)}$$のように計算しています。
$${P(2022)}$$を将棋盤の55の地点に置いたときの利きは、下記のようになります。
利きが2・8段目、2・8筋に並んでいることが分かります。それは$${P(2022)}$$を構成する$${L(a,b)}$$が$${L(a,3)}$$という形で揃っているからです。
そのため、飛車を2枚置けば$${P(2022)}$$を動けなくすることができます。
念のため、$${P(2022)}$$を盤の別の場所に置いて同じことを確認しましょう。83の地点に置くと利きは下記のようになります。
やはり、飛車2枚を下記のどちらかのように置けば、$${P(2022)}$$は動くことができません。
ここで、$${P(2022)}$$が動けないときの$${P}$$・飛・飛の位置関係を確認してみましょう。
左下図では、$${P}$$から右上方向に3マス進んだ場所に飛車があり、その飛車からさらに右上方向に3マス進んだ場所にもう一つの飛車があります(トーラス盤として考えています)。88飛から右上に3マス進めば$${P}$$に戻ってきます。
右下図も同様です。
83Pの場合も同様の位置関係になっています。
実は、$${P(2022)}$$と飛車2枚を盤上に置いたとき、$${P(2022)}$$が動けないことは、盤をトーラス盤と見なしたときに3駒が(3,3)の等間隔に一直線に並んでいることと同値になります。
問題図では飛車ではなく龍が登場していますが、$${P(2022)}$$に対しては飛車も龍も大差ありません。
以上から、解くべき詰将棋を「3手で玉・飛・龍を上記の位置関係にしろ」という問題に読み替えることができます。
まずは、初形の玉を1手ではステイルメイトにできないことを見ておきましょう。
15玉から斜めに3マスの地点に☆と★をマークしました。
15玉を動けなくするためには、飛車と龍を同じ色の星に配置させる必要がありますが、1手では不可能です。
では、次に3手でステイルメイトすることを考えます。まずは龍か飛車で王手をする必要があります。
初手に龍で王手した場合、手順は下記の構成になります。
龍で王手
玉が移動
飛車が移動 または 龍が移動
龍で王手をした後の、龍から斜め3マスの地点をマークしました。龍がaに動いた際の斜め3マスの地点をA、bに動いた際の斜め3マスをBとしています。
龍がaに動いた場合、玉がAのどこかに移動し、玉と対角のAに飛車が移動できればステイルメイトになります。しかしながら、26飛が1手でどこかのAに移動することはできません。
龍がbに動いた場合も、26飛が1手でどこかのBに移動することはできません。
よって、初手に龍で王手をして3手目に飛車を動かしてステイルメイトはできません。
また、龍で王手をしたときの龍と飛車の位置関係から、3手目も龍を動かしてステイルメイトすることはできないことが分かります。
以上より、初手は龍で王手ではありません。
初手、飛車による王手はcとdの2通りです。
上図から、「25飛、52玉、88龍」でステイルメイトできることが分かります。$${P(2022)}$$は3対4の八方桂を含むので、確かに15玉は52玉と移動できます。
よって、「25飛、52玉、88龍迄」が答え(の一つ)になります。
初手に16飛と王手した場合、1手で龍をどこかのDに移動させるのは不可能です。
また簡単な確認で、3手目も飛車を動かして飛車と龍を斜め3マスの位置関係にすることはできないことが分かります。
したがって、「25飛、52玉、88龍迄」が唯一の解になります。
年賀詰 2題目の解答はこちら。
<更新履歴>
2022/1/1
解答の3手目を修正「82龍→88龍」(駒井めいさんご指摘)
具体例の符号を修正「87P→83P」
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