[つまみ食いラジオ Vol.7] #ローソンPBに思う
みなさん、こんにちは!
このnoteはApple podcastやspotifyで配信している[つまみ食いラジオ]のnoteです。各エピソードの内容や、トーク中に登場した事例や参考文献の紹介、編集後記をご紹介します。
▶ナビゲーター
改めて番組ナビゲーターをご紹介します。
食トレンド研究家 渥美まいこ
1986年神奈川県生まれ。クックパッド社でFoodClipというメディアの編集長。ライフワークとしてnote で食トレンドの考察を紹介している。好きな料理はベトナム料理、好きなファミレスはロイヤルホスト。
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Twitter:https://twitter.com/atsumi_maiko
ホテルと旅のプロデューサー こばみほ
クックパッド→スマイルズと「食」を軸にしたキャリアを経て、現在はホテルプロデュースの温故知新に所属しつつ、フリーで旅や食関連のプロデュースを行う。ホテルや旅、食の魅力を歴史やストーリー・文化から紐解き発信中。好きなスーパーは「ツルヤ」。
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Twitter:https://twitter.com/kobamiho52c
▶Vol.7 #ローソンPBに思う
4月に刷新されたローソンのPBパッケージ。さまざまな意見が飛び交っていますが、ローソンのいちユーザーとして、そして食業界に関わる身として、2人でアレコレ考えてみました。
■私たちのスタンス:応援する気持ちで話しています。
・デザインに対し、好き嫌いやわかりにくい等、様々な意見があるのは認識しています。
・賛否両論ありますが、今までコンビニのいちPKGデザインに関してこれ程までみんなが注目し考えたことがあったでしょうか・・?
・それ自体に意味があるのか!?と言われてしまうとなんとも言えませんが(笑)私達は、自分の中の「当たり前」を疑うきっかけになりました。
・私たちはデザインのプロではないので、良い悪いの答えを出すつもりはなく、日常の中に問を立ててくれた嬉しいデザインだったと捉え、こういう視点はどうかな?もっとブラッシュアップできるのかな?と、応援する気持ちでふたりで話しています。
・多分に想像と妄想と期待を含んでお話ししておりますので、どうぞお手柔らかにお聞きください!m(_ _)m※あくまでも私たち個人の見解です。
▷均質化し続ける、日本のコンビニ
「コンビニ」と呼ばれるようになったのは1980年以降。
従来は既存商品を陳列していましたが、1990年以降になるとコンビニ独自の商品開発が急増。そこから現在に至る40年間様々な変化をしてきたと思います。
しかし、少なくともここ数十年(私が子どもだった時から)、『空間そのもの』の大きなアップデートはあまりされていないのではないでしょうか。
先日、デザイン制作したnendoの代表・佐藤オオキさんがラジオ番組で、今回のPKG刷新について話していたのを耳にしました。
「ローソンのPKGの施策は、今後空間も変えていくための長期的なプロジェクトで、少しずつ変えていく」ための第一歩だったと。
ラジオを聴いて「商品パッケージという各論ではなく、コンビニ空間とプロダクトの関係性をどのように変えようとしているのだろうか」と疑問に思い、私たちはこのテーマについて考えてみたいと思いました。
▷ディスカウントを謳う空間では、商品もお手頃に見える
豊富な品ぞろえとお得な商品を売っているドン・キホーテ。迷路のような店内で出会うお得感のある商品をついつい買いすぎてしまうなんてことも多々あります。ディスカウントを謳う空間の中で商品を見ていると全商品がお買い得に見えてしまう。
同時に、商品視点にたつと「ドンキに置かれるとチープに見えてしまう」という解釈もとれます。
例えば、「クラフトマンシップ溢れるこだわりの商品」や「素材にこだわったとても健康的な商品」があったとしても、あの雑多な店内で出会ってしまうと、その商品の良さや魅力を100%受け取ることは難しいのではないかと思います。
(いやいや、俺は受け取れるぜ!という方もいたらごめんなさい。)
これはコンビニでも同様で「コンビニにあるものはコンビニのもの」というフィルターを通して見てしまうな気がします。
もちろん、最近のコンビニの商品は驚くほど美味しく、好きな商品もいっぱいあります。(Lチキやバスチーなんて、何度食べたか数え切れないくらい!)
ですが、それが高級か安価かなどは関係なく、作り手の意図を最大限受け取れる空間かどうか?と言われると、個人的にはあまり自信がありません。大げさに例えると、もし素材にこだわった商品がコンビニとどこかのセレクトショップ両方に売られていたとしたら、セレクトショップにあるモノの方が「なんとなく良さそう」と思ってしまいそうです。
空間がプロダクトに与える影響というのは非常に大きい。だからこそ今回の刷新はPBのデザインを起点に、空間のあり方、もしくはコンビニのあり方自体を考えていく第一歩だったのでは…?とも私たちは受け止めました。
▷目指したい世界観やスタンスの意思表示
今回このデザインをみて思ったのは、はじめてコンビニから「おいしさ」や「わかりやすさ」以外のスタンスや意思表示を強く感じました。
「いつもご利用頂いているローソンと申しますが、実はこういう方向性を目指しはじめようと思っていまして…!」というようなコミュニケーションを取ってくれたような気がしたんです。
だからこそ「昨日まで仲良くしていた恋人が急にめちゃくちゃイメチェンしてきた!」的な驚きやショックがあった人も多いのかなぁと(笑)
私も個人的には可愛いデザインと思いましたが、確かに人によって、例えば高齢者(自分のおばあちゃんを思い浮かべた)などの立場からすると、わかりやすさ・視認性には改善の余地があるようにも感じています。
とはいえ、今まで「おいしさ」や「わかりやすさ」など店頭で目にとまることパッケージが正解とされる中で、生活に馴染むという視点で、買った後の私たちの暮らしまで思いを馳せてくれた商品ではないか?とも思いました。(もちろん買ってもらえないと元も子もないので、そのデザインにまだ磨く余地があるとしても)
▷わかりやすさや便利さ+αのデザインは、共存できるのか否か?
色んな方の意見にもあるように、いまやコンビニは老若男女にとって重要なインフラになっています。だからこそ、スタンスをとることの難しさも当然あったでしょう。失うものが大きすぎるので。
とはいえ、日本ではこれから人口に対してのコンビニの出店数は当然頭打ちになってきます。そうなったときに如何にローソンを選んでもらうか?来店頻度をあげていくのか?他のコンビニと似たようなものではなく「これが買いたいからローソンに行く」そんな行動を促したくなるのは自然なこと(戦略)ですよね。
もしかしたら、これまでのコンビニのデザインの勝ちパターンから、一歩ジャンプしようとしたチャレンジなのではないかとも感じました。
今回、色んな方の意見を見ると「便利さ」「選びやすさ」「わかりやすさ」「親切さ」、それらの欠如を問題視されていらっしゃる方が多いように見受けられます。
例えば、長野県のローカルスーパー、ツルヤのPBのPKG。
シンプルで暮らしに馴染みやすい優しいテイストですが、商品の情報もわかりやすいデザインのように感じます。もちろん好き嫌いもあるだろうし、人によって捉え方は違うと思うので、これが正解という意味でも今回のPKGと比較したいわけではありません。
ただ、共存の道を目指すこともできそうな気がしてきませんか?
もし多くの人にとって、利便性や視認性も、そして暮らしに馴染むという側面でもハッピーなデザインを実現できたとするならば。
わかりやすさ・便利にプラスして、「なんか好き」と思わせてくれるデザインが実現できるのならば・・・。
そのデザインを起点に、店頭やコンビニ自体の空間がアップデートされていったら…?ローソンというフィルターを通じてみる商品の価値も違ってみえてきて、作り手の意図をもっと受け取れる空間になったら…?
そんなことが実現できたら、コンビニのスタンダードが変わるかもしれない。今まで当たり前に思っていたコンビニという空間が、より良い形でアップデートされるかもしれない!そんな風に私たちは勝手にわくわくしています(笑)
▷ローソンにエールを送りたい
私たちの考えすぎ(!)な部分もたくさんあるとは思うのですが・・・
今回の件で、デザインってなんだろう、コンビニって生活者にとってどういう空間であってほしいのだろう?と自分自身に問い直すきっかけになりました。
大企業が、既存顧客を維持しながら大変革にチャレンジすることは、本当にとても大変なことだと思いますが、コンビニのスタンダード、そしてデザインのスタンダードを素敵にアップデートしていってくれたら嬉しいなと。
そんな企業が身近にいてくれると、私たちの感性も知らず知らずのうちに磨かれていったり、消費に対するモチベーションも変わっていくのではないかなぁ〜と可能性を感じています。
これから一体どう変わっていくのか?大きなチャレンジ、陰ながら応援しています。
9日のこちらの配信、私たちの想像とは違うかもしれないけれど、また違った視点や意図をお聞きできるのを、楽しみにしています。
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最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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