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【ツクルバ個人投資家向け会社説明資料解説Vol.4】カウカモの成長戦略

こんにちは。IR担当の重松です。
前回のVol.3では、カウカモの競争環境についてご説明しました。

今回は、カウカモの成長戦略についてご説明します。
なお、成長戦略については、バフェット・コードさんと作成した会社説明資料についての解説記事でも解説しています。今回は、当該解説から実際に行った取り組み等も付加して改めて成長戦略について解説します。

・この記事は約7分で読めます・

1.カウカモの成長可能性

中古・リノベーション住宅市場の市場規模の解説記事でもご説明したとおり、東京都だけでも1.4兆円の市場があり、これに対しカウカモは東京都の中でも都心の一部でしか展開していないため、市場シェアは約2%にとどまります。

ですので、カウカモは、東京都だけでもまだまだ成長余地があります。これに加え、エリア拡大や中古・リノベ市場自体の今後の成長を踏まえれば、市場ポテンシャルは十分と考えられます。

2.カウカモの成長サイクル

カウカモ事業の成長戦略の基本的な考え方である"Flywheel(成長サイクル)"は上記のとおりです。図の右側から順を追って説明すると以下のようになります。

① オンラインで内見しているかのような体験が得られるストーリー調の魅力的な記事等により、潜在的買主を含めた買主がカウカモ上に蓄積

②増えた買主に対するオンラインとオフラインを統合した洗練された顧客体験により取引が増加

③ 取引が増えると「カウカモには魅力的な市場がある」ということで売主も増加

④売主が増えると魅力的な物件も増加

⑤魅力的な物件を目当てに買主がさらにカウカモ上に蓄積(上記①に戻る)

このように、蓄積された買主ユーザー・データ基盤を起点とした成長サイクルがカウカモの成長サイクルです。

2015年にカウカモ事業を立ち上げてからは、まずは買主の蓄積に注力していました。売り物件の獲得に目が向きがちな不動産業界において、買主視点で買主のためのサービスを行って潜在的に行って潜在買主を蓄積していくということは、実は結構目新しいことだったのではと思います。
これにより、今では登録会員35万人超、年間利用者240万人超という買主基盤を構築できました。

現在では、買主サイドへの取り組みに加え、買主基盤を基にした売主・売物件の獲得(売主サイドへの取り組み)に注力し、成長サイクルを加速させています。

3.成長戦略に基づく直近の取り組み

売主サイド、買主サイドに対する主な取り組みは上記の通りです。

上記のとおり、売主サイド・買主サイドのそれぞれに対して、GMV(カウカモにおける流通総額:どれだけの金額の物件がどれだけの量取引されているか)とテイクレート(GMVからどれだけの粗利が得られるかの率)に効く取り組みを行っています。

上記AからFに記載されている事項について、以下で解説します。

A:個人売主チャネルの開拓

まず、カウカモなら「早く適正な価格での売却」が可能ということを武器にして個人売主チャネルの開拓に注力しています。これにより、カウカモ上に魅力的な物件を増加させてGMVとテイクレートを増加させることが可能になります。

具体的には、デジタルマーケティング等やマネーフォワード社を含めた他社とのアライアンス等によりチャネル開拓を行っており、上記の通り当社の計画以上の成果を獲得しています。

なお、マネーフォワード社とは「マネーフォワード 住まい」というサービスを2022年4月にローンチしています。

B:個人売主向けサービス開発

上記のマネーフォワード住まいの他に、弊社独自のサービスとして、ウルカモhttps://cowcamo.jp/urucamo)というサービスも立ち上げています。

こちらでは、実際に売りだす前の「売るかも?」というような物件の情報を入力するとAI査定による査定価格を知ることができます。また、内装の写真を登録するとデザインの価値も付加した査定を受けることもできます。
これらの査定価格を基に希望売却価格を自身で入力して掲載すると、他のユーザーから、「スキ!」や「買うかも」といったリアクションを受けることができます。これによって市場の反応を自分で見ることができます。

個人売主が売却前にウルカモで市場調査を行っていただくことにより、カウカモでの売却につなげるというのが、ウルカモの狙いになります。

ウルカモのユーザーメリットは以下のとおりです。

①不動産業者の査定ではなく、潜在買主の評価を自身で確認して市場調査が可能(高すぎる又は安すぎる査定価格からの回避が可能)
②「買うかも」ボタンを押した人は内見ファストパスが付与され、実際に売却された場合には優先的に内見が可能。これにより、すでにマッチングで成立している場合、短期間で売却を実現できる可能性がある。
③購入検討者に対し直接自宅をアピールしたり、購入意向を受け取ったりすることができ、不動産事業者のペースではなく自分のペースで売却を進めることができる

②については、最初の成約事例では、売り出し(媒介契約)から成約(売買契約)まで21日という非常に短期間での成約が実現しています。

なお、実際のウルカモの売却事例は下記のnoteをご参照ください。

C:自社企画商品の供給拡大

自社企画商品には、以下の2種類があります。

①ツクルバ自身が物件を購入してリノベーションをして売るという企画商品(仕入取引)
②提携事業者が物件を購入し、ツクルバがリノベーションを企画して売る(仲介)

これらの自社企画商品の拡充は、(i)魅力的な物件を充実させることによるカウカモユーザーの満足度・問い合わせの向上(GMVの向上)及び(ii)テイクレートの向上を目的とするもので、2022年7月期第3四半期時点で前年同期比で約260%増となっています。

D:買主向けサービス・プロダクト改善の継続

2022年7月期には、カウカモユーザーの裾野の拡大を目的としたエリア拡大と、テイクレートの向上を目的としたリノベーションサービスの充実も取り組んでいます。

カウカモは、港区、目黒区、渋谷区、新宿区、世田谷区等の都心部のマンションから展開をスタートしましたが、そこから徐々にエリアを広げていっています。特にコロナ禍以降は、少し郊外といった需要もありそのような需要を取り込むためのエリア拡大も行っています。

また、今期からはリノベーションサポートチームによる提案等をより充実させ、購入後の追加リノベーションも順調に増加しています。

数字としては、カウカモでマンションを購入いただいた方の約4割が追加リノベーションを行い、リノベーションの平均金額は約400万円となっています(下記PRご参照)。

E:買主向け営業体制の拡充

カウカモで扱う物件は実際に住むための物件(実需物件)であり、また値段も高額ですので、完全にオンラインで取引が完結するということはありません。内見や購入判断のコンサルティング等の適切なサポートが必要になり、そのため営業人員を適切に増加させていくことが重要になります。

営業人員については、昨年同期比で約60%増加し、売上・売上総利益の向上に貢献しています。

今後も営業人員を拡充させつつ、営業生産性の向上に努めていきます。

F:買主向けOMO施策の推進

OMOというのは、Online Merges with Offlineの略で、カウカモではオンラインとオフライン双方で顧客体験の向上に取り組んでいます。

具体例としては、ショールームやショップを設置することで、実際のリノベーションの事例を見て、お客様に「リノベ物件に住んでみたい!」というHOT度を上げてもらったりしています。実際、ショールームに来店された方とそうでない方との間で成約率が3倍超も違うというデータもあります。

また、リノベーション体験をより向上させるため、フルオーダーから部分リノベ、パッケージリノベーションまで、色んなサービス形態を準備し、顧客体験の向上を図っています。

4.編集後記

IR担当の重松です。
個人投資家向け会社説明資料・解説記事連載の第4回目、いかがでしたでしょうか。

前回の成長戦略の記事では、戦略の概要をメインで解説しましたが、今回は実際の取り組みを重点的に記載しました。これらの取り組みにより、6月13日に発表した3Q決算では売上・売上総利益ともに過去最高を更新しています。

カウカモは、マーケットプレイス型の中古・リノベーション事業の流通プラットフォームです。プラットフォームの仕組みを作ること自体はさほど難しくないですが、実際に買主と売り物をバランスよく充実させて成長させていくことは、費用や時間がかかり簡単ではありません

しかしながら、カウカモは、すでに買主ユーザーの獲得については、成長サイクルを把握してメソッドを構築済みです。また、これにより蓄積された買主ユーザー基盤とデータがあります。さらに、その買主ユーザー基盤とデータを基に売主に対し「早く適正な価格での売却」という価値を提供できるという実績もあります。

このように、武器は既にありますので、戦略と意志をもって実行していくのが大事になります。引き続き、カウカモの成長サイクルの加速に邁進してまいります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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