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頑張り屋さんのあなたへ

ハンドメイドで売上10万円を目標に掲げた「あなた」ですが、いまだ達成できたことがありません。頑張っても上手くいかないわけと、10万円の壁を超えるヒントについて今日は書きます。

このnoteは、10年前の私である「あなた」に向けて書いています。
「あなた」は作品販売に挑戦する売れないハンドメイド作家。
「わたし」はワークショップ歴10年のプロ講師です。

ハンドメイド作家のある一日

ある手づくり市の日。
睡眠不足も何のその、重たいカートを曳いたあなたは元気にイベント会場に到着しました。隣の出展者さんに挨拶を済ませるとブース設営にかかります。手に取りやすいように配置を考えたり、こだわりを書いたPOPを添えたり工夫もします。

開場し お客さんが入ってくると「こんにちは。どうぞ見ていってくださいね。」声掛けや商品説明は感じ良く丁寧な印象を心掛けます。購入してくれる方もいれば見ただけで帰る方もいますが、立ち止まってくれるだけでも嬉しいものですよね。人の流れには波があるので、落ち着いた時には近隣ブースの出展者さんとの雑談も楽しい時間です。

イベントの終わり時間が近付きお客さんが減る頃、目星をつけておいたブースでお買物。出展するのはもちろん、素敵な作品を買えるのも販売イベントの魅力です。

イベント後は商品やテーブルクロスを丁寧に片付け、お隣のブースにご挨拶をして会場を出ます。その後 作家友達と打ち上げご飯。どんなに足が疲れていたって気になりません。むしろおしゃべりすればするほど体力が回復するような楽しさです。

こんなに楽しくて充実してて、ハンドメイドをやってて良かった!
準備には面倒くさいこともあるし睡眠不足の日もあるけれど、お客さんが喜んでくれると全部報われる。ううん、むしろプラス!ハンドメイド大好き。ずっと続けたい!!

売上目標10万円

充実気分で帰宅したあなたはイベントの振り返りノートを書きました。記した数字に気分が落ち込みます。今月も目標に遠く及ばないからです。

目標10万円。
あなたがものづくりで食べていきたいと思った時に、おぼろげながら浮かんできた数字でした。なんとなく、稼ぎと呼べるまとまった単位かな。月にハンドメイド10万円+アルバイトで数万円補えば1人なら自由に暮らせそうだな。そんな感じでふわっと 10万円という単位が一区切りになるように感じて、まずはそこを目指そうと考えましたね。

数か月やってきて今日まで10万円売り上げたことのないあなた。自力で稼ぐなんてやっぱり無理なのかもという不安に蓋をして、頑張り続ければ少しずつでも目標に近付いていくはずと自分に言い聞かせています。
楽しいから頑張れるけれど、頑張っているのに売れないと自分には才能が無いと言われているようで本当に辛いですよね。

あなたの目標への向き合い方

あなたの活動ペースは月に1回程度。週末に近場(都内)で開催されている手作り市に出店して、売り上げは良くて1日2万円くらい。
そんなあなたにとって10万円はもっと頑張ればいつかいけるかもしれない遠い数字です。

「もっと」「頑張れば」「いつか」「かも」
あなたは前向きな頑張り屋さんなのでいつまででも努力しようとしていますが、わたしはこれらの単語に根拠のない根性論を感じてしまいます。
…………そんな風に言われたら傷付きますね。あなたの頑張りも不安も知っているから、書くことを決めた私も心がぎゅっと痛いです。どう伝えようか言葉を悩みました。

でもね、これはあなたがいつか向き合わなくてはいけないことです。向き合った先には、あなたが目標達成できない当然の理由があります。

「頑張る」の限界

端的に言うと、あなたが月に10万円売れない理由は、10万円分の在庫を持ってイベントに出ていないからです。

今後、10万円分の作品を毎月作り続けられますか?
あなたは「頑張ります」と答えるでしょう。今はまだできていないけど頑張ればやっていけるはずだと信じ、いつかそうなりたいと願って。

でも本当に出来るでしょうか?
フルタイムで働いて、夜に制作や告知やその他の事務作業。週に何度も机で寝落ちてよく首を痛くしているあなた。週末は制作に加えて材料の買い出しやイベント出展でバタバタ。これに最低限の家事を付け足すだけであなたの生活はいっぱいいっぱいです。

あなた十分頑張ってるんですよ。
真面目なあなたは自覚していなくても、周りの人によく「頑張り屋さんだね」と言われていませんか?

あなたはハンドメイドだけに着目して「目標達成できていない=頑張りが足りない」だと思い込んでいますが、ハンドメイド以外の生活を削らないと今以上には頑張れません。10年20年先も活動を続けたいなら生活を削るのは悪手です。

わたしも何年も気付かずに過ごした身なので偉そうには言えないのですが、今のあなたは「頑張ればできる」のではなく「精一杯頑張ってるけど このまま頑張っても目標に届かない」状態なのです。

現実に向き合う

正直、わたし自身のことを振り返ると気付かなかったのではなく向き合えなかった部分もあると思っています。「もっと頑張ればできる」と思い込んでいるうちは「頑張ろう」の一言で問題を片付け(たつもりになっ)ていました。
もし「これ以上頑張れない」なんて言ったら、結果も出せないままここで終わってしまうようで無意識に恐怖を感じていたのかもしれません。それに、頑張っているのに売れてないなんて認めたくありませんでした。

当時は不安でつらくてたくさん悩みました。長い時間を費やして少しずつ自分の気持ちを整理できるようになったり、収益のことを意識するようになったりしながら、ゆーーーーっくりと冷静になっていきました。そうしてようやく、客観的な事実と向き合えるようになりました。

量産は気が乗らない。
そもそも毎月10万円分の作品を作る時間もない。
これ以上は頑張れない。

認めたくなかった事実を受け止めたとき、そこにいた自分はまぎれもなく「売れないハンドメイド作家」でした。

目標達成のための決断

このままではいたくない。頑張る以外に何かを変えなくては。
そう思った時に初めて、価格を上げる、売り方を変えるなど「頑張る」以外の選択肢が見えるようになりました。

結論から言えば、わたしはこの時ワークショップに特化することを選びました。商品を変えたのです。
だからといってすぐに結果が伴ったわけではありませんでしたが、何をどうしたらいいのか全くわからない状況を「頑張ろう」で片付けていた自分に気付けただけでも少なくとも一歩進んだという思いがありました。

今のわたしも、つい「頑張ります」と言ってしまうことがあります。
でもこの頃の経験を思い出して「頑張る」を言い訳に思考停止していないか ときどきチェックするようにしています。

悩みの渦中で頑張っているあなたは結果が出せなくて苦しいと思います。
楽しくハンドメイドをすることが最優先なら、そもそも目標を下げて趣味と割り切る選択肢もあったでしょう。でもあなたは選んでいない。たとえ苦しみ続けることになっても ものづくりを仕事にしたいという強い意志があるからです。

悩みっていうのは必要な時に生まれてきます。行きたい方向に進めない時に痛みとなって感じられるのです。あなたの苦しさは諦めずに向き合っていることの証です。

頑張り屋さんのあなたへ

あなたの頑張り屋さんなところは長所でもあるけれど、頑張りが生活を削っていたら それはもしかしたら「頑張り」ではなく「無理」かもしれません。どうか身体を大切に、頑張り過ぎないでくださいね。
そしてどうか今のあなたの頑張りを自分で認めてあげてください。向き合うのは痛みを伴いますが、現実に目を向けた先には目標の10万円に繋がる選択肢が見えてくると思います。
いつでもあなたを応援しています。

わたしより



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