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「おそらくあの時、世界で一番かっこ悪かった自分に」の話〜前編

当時付き合っていた人が家に泊まりに来ていた。

「朝5時に起こして」

と言われたので、アラームを5時に設定し、眠りについた。

〜♪

普段ならまだ夢の中。

(……ね……眠い……)

と思いながらも

「おはよう……5時よ〜起きて〜」

と優しく起こす。

「ムニャ……もう15分したら……起こして……ムニャ」

と呟きあっという間に眠りにつく彼。

(えー……)

〜♪

すぐには寝つけず、ようやくウトウトしかけた所でアラームが。

「おーい。15分経ったよ。起きて〜」

「ムニャ……もう15分したら……起こして……ムニャ」

イラッ!

(えー……また?)

先ほどと同じ様に、ウトウトしかけた所で

〜♪

「15分経ったよ。起きてくれー」

「ムニャ……眠い……ムニャ……」

ブチッ!

「いやー、もう。勘弁してよ。さっと起きてくれんかな」

冷たく言い放つ。

「…………分かった。さよなら〜」

さっと立ち上がり、部屋を出て行く彼。

「……えっ?」

心臓がスッと冷えるのを感じた。

「え……ちょっと待って!」


いつも穏やかな微笑みを絶やさないその顔から

完全に表情が消えた。

「怒ったん?ごめん!」

「いや……もう大丈夫」

「大丈夫って……何が?怒ってるよな?」

「オレ……キツい人……無理」

「え……ごめんって!」  

「それじゃあ」


車に乗って、彼は消えた。

私の世界から。

(嘘じゃろ……)

後悔しても

恐らく彼は戻らない。 

電話をしてもメールしても……

何も返ってこない。

(こんな事で終わるんか……)

まだこんなに好きなのに。

世界が白黒になったみたいだった。


取り敢えず仕事に行き、働いて、帰宅する。

食欲がない。

それでも

(何か食べんとな……

生きる事を放棄したくない)

夕飯を食べる。

味がしない。

(……何これ。ご飯が美味しくない……)

砂を噛んだような味って

本当だったんじゃな……

(これは……非常にまずいな)

泣き言を言ってる場合じゃなくなった。

食べ物が美味しく食べられないなんて、

生まれて初めての事であった。

(このままじゃ……人生終わる)


私は本腰を入れ、かれを取り戻す事にした。

(漫画 北斗の拳イチゴ味/めちゃくちゃ面白い)


私は信頼のおける人々に相談した。

一人は可愛くて頼りになるサユリちゃん。

自身の恋愛エピソードが波瀾万丈。

少し前に結婚をして、旦那さんと幸せに暮らしている。

何より明るくて、カラッとしているので、すっかり暗くなってる私にはピッタリの相談相手だった。

一部始終を話すと、サユリちゃんは

「メールのやり取りとか見せてもらったけど……多分、彼は本当に優しい人じゃから……しばらくして謝ったら、許してくれると思うよ。

今の気分で待つのもしんどいと思うけど……少し気楽してに待ってみたらどうかな……きっと大丈夫!」

「うおーん!あ……ありがとう〜」

お次はいつもお世話になっている呉服屋さんの旦那さん。

父親くらいの年齢で……諸々視える人。

20代の時に本当にお世話になった。

一部始終話すと

「あー……色々焦り過ぎじゃから……落ち着いて。普段通りにして待っとってみようか。多分大丈夫じゃけぇ」

「……ハイ」

サユリちゃんと同じ事言っとる!

慌てない慌てない、一休み一休み。

って事か!

少し落ち着きを取り戻し、通常運転になった。

彼には

「いつでもいいから連絡下さい」

とメールをして、しばらく待つ事にした。


友人から

「ラーメン&カラオケに行こう!元気出そうや!」
 
とのお誘いにありがたく乗る事にした。

天下一品のこっさりラーメン。

(今の私にちょうど良いな……)

唐揚げをモグモグしていると

〜♪

Σ(`艸´;)ハッ!!

彼からメールだ。

「電話出来るよ」

友人は頷いた。

(行って来い!)

木枯らし吹きすさぶ、天下一品の駐車場で電話をかける。

「……はい」

いつもより暗い彼の声に怯みそうになる。

(いや!一緒に暗くなってる場合じゃねえ!)
 
「ご、ご、ごめんなさい〜!!」

私は平謝りする事にした。

人目は気にしちゃいられねえ!

ここが私の天下分け目!

(過去を思い出して熱くなり、思わずラップバトル風のつくね)
 
私は電話しながらある記憶を思い出していた。
 
久本雅美さんマチャミのあのエピソードを……


(長くなったので)明日の後編へ続く


 












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