「日本よ、これがクリキャベだ!」の話
「私、父子家庭って事、言ってたっけ?」
ある日の朝。
梅原さんがそう切り出した。
「いえ、初耳です」
「貸してもらった本読んで……『あ、父子家庭の話』って思って。もう亡くなったんじゃけど」
「えっ……そうだったんですね」
「で、そこまでなら『ま、ない話じゃないか』って、読んでて……」
「はい」
「最後、餃子作ってたじゃろ?ウチのお父さんの得意料理だったんよ」
「ええっ?」
「今でも命日に餃子作ってるんよ」
「ええっ?」
「もう、涙が止まらなくなってさ〜」
「えぇぇ……