『パルウイルス』(高嶋哲夫・著)
2019年12月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最初の患者が、原因不明の肺炎を発症しました。
その後、世界に広がり、2020年3月にWHOがパンデミックを宣言する状況となり、その後のロックダウンなど厳しい対策が取られ、収束へ向かっていきました。
日本においては、この春に感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同等の5類に見直されました。
この3年、“感染症への対応”を学び、再びパンデミックへ向かうことのないように行動をしていると思います。
その時期に、“未知なるウイルスの覚醒”を描いた『パルウイルス』(角川春樹事務所・刊)です。未知のウイルスの衝撃、そして人類への敬意を感じながら読みました。
本書の舞台は、新型コロナウイルス感染症を抑え込んだ後のアメリカ、そして永久凍土のあるシベリア(ロシア)とアラスカ(アメリカ)です。
それぞれの場所で、アメリカとロシアの研究者、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が活躍します。
“今”そして“これから”に起こりそうな描かれ方です。
ただ、現実は、ロシアのウクライナ侵攻により、シベリア(ロシア)を訪れたり、アメリカとロシアの研究者が交流したりは難しく(できなく)なっていることが、「現実には起こらない…」と思いながらも、「ひょっとしたら陰に隠れて…」との不安も湧いてきます。
謎のウイルス「パルウイルス」を巡り、プリンストン大学 遺伝子研究所のカール・バレンタイン教授を中心に物語が進みます。
コロナウイルス禍に献身的に貢献し、変異種を3種類発見したカールに、ナショナルバイオ社のニック・ハドソン副社長が、“細胞”を持ち込み、P3ラボで“遺伝子”を取り出すことを依頼します。
これは何だったのか…。
地球温暖化で永久凍土が溶け出し…。
永久凍土から現れたマンモスが…。
先住民の村が…。
ウイルスをねらう企業が…。
コロナ禍から“何を学び”、それを活かしていくのか。
未知のウイルスへ挑んでいく研究者の凄さに“敬意”を抱きつつ、カール達の行動にワクワクしました。
あなたも、“パルウイルス”を探しに、カールと一緒にでかけませんか。
【関連】
◇高嶋哲夫オフィシャルページ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?