弁護士 佃克彦【佃法律事務所】

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弁護士 佃克彦【佃法律事務所】

【住所】東京都港区西新橋1-20-3 虎ノ門法曹ビル403 【電話】03-3500-4162 【HP】http://tsukuda-law.jp/ “正義の味方”にあこがれて弁護士になり30年。強い信念を持って皆さんの人生やお仕事における前進のお手伝いを致します。

最近の記事

【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part5

テレビ朝日「スーパーモーニング」という援軍1審の完全勝訴の後、多くのテレビ局がこの問題に関心を示し、番組で取り上げてくれました。テレビ朝日の「スーパーモーニング」もその1つ。 この番組は自民党品川区議団の政務調査費問題を継続的に追いかけ、そして独自取材をして、控訴審に提出された区議の陳述書のウソを明らかにしてくれました。スパモニが暴いてくれたウソを少しご紹介すると… 区議の陳述書で「昼食を兼ねた検討をした」と言っているお店が、昼間は開いていないお店だった。 区議の陳述書

    • 【弁護士・佃克彦_2021年11月16日論稿】ヘイトスピーチに対する民事的規制について

      1 はじめに「憲法訴訟」をテーマとする連載でこのようなことを言うのは恐縮だが、本稿は、ヘイトスピーチの民事責任についての考察である。「民事責任」と言う以上、ことは憲法というよりも民事法の話であり、また、訴訟法の話ではなく実体法の話である。 しかし、ヘイトスピーチに対して法的規制を及ぼそうとする場合、表現の自由との相克を免れない。そもそも合憲的な規制が可能なのか、仮に可能であるとしてその規制の基準ないし要件をいかに解すべきかは、憲法の領域の議論である。そこで、「憲法」つながり

      • 【弁護士・佃克彦_2021年9月11日論稿】労働事件と名誉毀損

        本稿では、労働者が就業の過程や労働事件を遂行する過程で名誉毀損の責任を問われる事例について裁判例を検討した結果を報告する。 1 基本的な名誉毀損法理本題に入る前に、基本的な名誉毀損法理について確認をしておきたい。 民事の名誉毀損事件の場合、特定の言論が“そもそも名誉毀損にあたるのか”から争われるのが普通であるが、多くの事件では、抗弁の成否、即ち、「真実性・真実相当性の法理」と「公正な論評の法理」の成否が主戦場になる。この2つの抗弁は、最3小判平9.9.9(民集51巻8号3

        • 【弁護士・佃克彦_2016年8月8日論稿】日本の名誉毀損法理とスラップ訴訟

          1 まずは「スラップ訴訟」の定義から「スラップ訴訟」という言葉を最近よく聞くようになった。しかし「訴訟」の問題でありながら法学界での議論はまだ始まったばかりのようであり、そもそも「スラップ訴訟」の定義自体、議論をする者の間で共通の認識になっているとは言いがたい。 しかし、定義に関して議論をしようとすればそれはそれで大議論が必要になるような気がする。そこで、定義に関する議論は他に譲ることとし、本稿では「スラップ訴訟」につき、言論で批判をされた側が、そのような批判的な言論を抑圧

        【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part5

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part4

          勝訴!2006年4月14日が来ました。判決の言渡期日です。   結果は、こちらの完全勝利でした。   東京地裁民事第2部(大門匡裁判長、関口剛弘・菊地章裁判官)は、こちらの請求通り、被告に対し、自民党区議団へ769万円の支払請求をするよう命じたのです。 細かいことを言うと、上記769万円に遅延損害金が上乗せされますので、判決は実質的には1000万円を超える支払請求を命じるものでした。 立証責任は被告に判決は、オンブズマンの皆さんが作成した調査報告書などを根拠にして、 と

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part4

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part3

          第2次訴訟の始まり第2次訴訟は2004年9月に始まりました。 実は、第1次訴訟と第2次訴訟との間に法改正があり、この種の住民訴訟は、議員本人や議会会派を相手取って起こすのではなく、区の機関(本件の場合は品川区議会事務局長)を被告としなければならないことになりました。これまでは、議員や議会会派を被告として「区にお金を返せ!」と直接訴えることができたのですが、法改正後は、住民が区の機関を被告にして「区は議員や議会会派にお金の返還請求をしろ!」という訴えをすることになったのです。

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part3

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part2

          あ…やっぱり…さて、私たちオンブズマン側は、早期決着のために請求内容を208件から一気に8件に請求を絞ったのですが、脳裏をよぎる不安もありました。   「被告側はこちらの請求金額を全額支払って訴訟を終わらせようとするのではないか?」   そうです。赤坂署事件の被告と同じ戦法を自民党品川区議団も使ってくるのではないかと懸念したのです。 このまま訴訟を続ければ、被告側は、8件の支出(キャバレー・パブ・カラオケバー・ライブハウスでの支出)について、調査研究のための支出だということ

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part2

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part1

          「政務調査費」とは?「政務調査費」とは、地方議会議員が調査研究をするための費用として自治体から議員に支給されるお金です。このようなお金を議員に支給することは地方自治法上認められており、全国の自治体が条例を制定して議員に政務調査費を支給しています。   この政務調査費が本当に議員の「調査研究」のために使われているのであれば何も問題ありません。しかしこのお金が議員の飲み食いや遊びに使われていたとしたらどうでしょうか?それは、「調査研究」を装った公費の私消であり、もしそのようなこと

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】政務調査費返還請求事件_Part1

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】警視庁銃器対策課不正経理疑惑事件_Part3

          控訴審の審理控訴審の審理は2000年6月19日に始まりました。 控訴審では、一審判決の当否や法律論について主張の応酬をした後、秋ころには双方の主張が出そろい、証人尋問の段階に入りました。 そしてこちらからは、問題の帳簿に名前が出てくる警視庁職員2名の証人尋問請求をしました。この職員2名は、問題の帳簿の記載上、原告の人たちに謝礼を渡し、原告の人たちから領収書を受け取ったとされている人です。裁判所はこの尋問請求を採用し、警視庁職員2名の証人尋問が、2001年1月24日に実施さ

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】警視庁銃器対策課不正経理疑惑事件_Part3

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】警視庁銃器対策課不正経理疑惑事件_Part2

          第1回期日が始まった東京地裁での審理は1999年6月29日に始まりました。 私たちは、某警視庁職員氏の撮影した「現金出納簿」と「捜査費証拠書類」という綴りが撮影された写真を証拠として提出しました。 その写真には、原告の人たちの名前を勝手に使った領収書や、原告の人たちに謝礼を渡したというウソの内容の報告文書がバッチリと写っています。つまりここに撮影されている書類は、警視庁職員が原告の人たちに謝礼を支払ってもいないのに支払ったように見せかけるものなのです。 原告の人たちは、

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】警視庁銃器対策課不正経理疑惑事件_Part2

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】警視庁銃器対策課不正経理疑惑事件_Part1

          今度は「フライデー」によるスクープから始まった“警視庁内では、捜査員によって領収書が偽造され、裏ガネ作りが行なわれているらしい。” そんな衝撃の記事が、写真週刊誌「フライデー」の1999年4月23日号に掲載されました。「内部告発『これが警視庁”裏ガネ作り”の手口だ』」と題する記事です。 その記事によると、警視庁の生活安全部銃器対策課では、他人の住所氏名を勝手に使って帳簿・領収書などを作成し、その他人に情報提供謝礼を支払ったように見せかけて裏金作りをしているというのです。こ

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】警視庁銃器対策課不正経理疑惑事件_Part1

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・番外編

          「週刊文春」の出版差止めについて2004年、私が「最高裁編」のpart2で触れた懸念(「裁判所による出版差止めの肯認のハードルが低くなってしまうのではないか」という懸念)が現実化した事件が起きました。それは、3月16日に東京地方裁判所によって出された、「週刊文春」の出版差止めの仮処分決定です。 私はこの報道に接したとき、「裁判所はついにここまで来たか」と思いました。「石に泳ぐ魚」事件で出版差止判決を勝ち取り、その判決を肯定的に評価している立場の私が言うのはおかしいかも知れま

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・番外編

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・最高裁編_Part4

          以上、最高裁判決とそれに対する批判的見解を紹介しながら私の考え方を縷々述べてきましたが、最後に、今まで触れなかった部分にまとめて触れて、「石に泳ぐ魚」事件の報告はひとまず終了としたいと思います。 差止要件論について表現物の事前差止めの要件については、今回の最高裁判決は突っ込んだ判断をしませんでした。二審の個別的比較衡量のアプローチの結論を是認するに留めたわけですが、それが妥当な判断であったことは、part3の冒頭で述べた通りです。ただ、表現物の事前差止めの要件論は、表現の自

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・最高裁編_Part4

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・最高裁編_Part3

          二審の個別的比較衡量のアプローチの結論を是認したことについて東京高裁編Part2で引用したとおり、二審判決は、個別的比較衡量のアプローチに基づいて、出版の差止めを認めました。 最高裁判決は、この個別的比較衡量のアプローチに基づく二審判決の結論を是認し、特に新たな規範を定立しなかったのですが、最高裁が差止めの要件につき新たな規範を定立しなかったことに対して、批判的見解が多く見られました。 たとえば、元裁判官の竹田稔弁護士は、読売新聞の2002年9月25日朝刊において、 と

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・最高裁編_Part3

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・最高裁編_Part2

          最高裁判決の評価私は「石に泳ぐ魚」事件の最高裁判決につき、法律家団体の機関誌「青年法律家」2002年11月号で報告をしました。その原稿の最後の一節に、今回の最高裁判決に対する私の感想を集約してありますので、まずはそれを引用したいと思います。 このように私は、今回の最高裁判決の取った手法や結論には全面的に賛成なのですが、この判決の今後の影響を考えると、判決の拡大解釈や一人歩きを防ぐためにもう少し工夫が欲しかった、と考えています。 以下、今回の最高裁判決に対する批判的見解を引

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・最高裁編_Part2

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・最高裁編_Part1

          審理は最高裁第3小法廷で柳さんらの控訴を全面的に排斥した2001年2月の二審判決を不服として、柳さんらは最高裁に上告をし、舞台は最高裁の第3小法廷に移りました。控訴審で柳さんらが「控訴人」であったように、最高裁の上告審では柳さんらは「上告人」となり、Aさんは「被上告人」となりました。 上告審では証人尋問はなされず、そればかりか基本的に法廷(口頭弁論期日)自体が開かれません。上告人も被上告人も、するべきことといえば自分たちの主張を書面で提出することのみです。一審や二審の場合に

          【弁護士・佃克彦の事件ファイル】「石に泳ぐ魚」出版差止事件・最高裁編_Part1