【弁護士・佃克彦_2021年11月16日論稿】ヘイトスピーチに対する民事的規制について
1 はじめに「憲法訴訟」をテーマとする連載でこのようなことを言うのは恐縮だが、本稿は、ヘイトスピーチの民事責任についての考察である。「民事責任」と言う以上、ことは憲法というよりも民事法の話であり、また、訴訟法の話ではなく実体法の話である。
しかし、ヘイトスピーチに対して法的規制を及ぼそうとする場合、表現の自由との相克を免れない。そもそも合憲的な規制が可能なのか、仮に可能であるとしてその規制の基準ないし要件をいかに解すべきかは、憲法の領域の議論である。そこで、「憲法」つながり