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「解像度を上げる」とは

塾でアルバイトをしていた時に、「先生、こんなにたくさんの宿題できません」と生徒に言われた。

そんなにたくさんの量を出してるわけじゃないんだけどなーと思ったが、「いや、大した量じゃないんだからやってきてね」と放り投げるのは職務怠慢だ。

自分視点では大した量の宿題ではないが、生徒からしたら大した量なのだ。この認識の差を埋めるのも、塾の先生がやるべき仕事の1つだと思う。

まず、「この宿題を全部やるのに、どれくらいの時間がかかりそうかな?」と生徒に聞いた。すると、「うーん、分からない。」と答えが返ってきた。なるほど、まずはここからスタートだ。

「じゃあ、時間を測って1ページだけ今やってみようか。ちょっとでも宿題が進んだら後が楽でしょう?」と言ってみた。その生徒は渋々ではあったが、承諾してくれた。

1ページにかかった時間は約10分だった。1週間分の宿題として出していた量は10ページだったので、トータルでかかる時間は約100分ということになる。

「1ページで10分かかるってことは、10ページの宿題をやるのに何分かかるかな?」「えっと、100分。」「そう!じゃあさ、この宿題を5日間かけてやるとしたら、1日何分やればいいかな?」「うーんと...100÷5だから...20分?」「そうそう!1日20分だけでいいから、頑張ってみてくれない?」「...わかった、やってみる。」

その生徒がとても素直で理解が早い子だったおかげで、なんとかやる気になってくれた。実際にはここまで上手くいくケースはあんまりないけれど...。

「宿題の量が多すぎてできない」という状態から、「宿題は全部で何ページあるのか?」「1ページにかかる時間はどれくらいか?」「何日後までに完了すればいいのか?」と問いを立て「これならできそう」と見通しが立つ状態まで持っていく。

これが、いわゆる『解像度を上げる』という作業なんだと思う。

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塾のアルバイトをやめて、違う環境で働き始めると「タスクが多すぎてしんどい」が口癖になっている自分がいた。

当時の自分はどのタスクにどれくらいの時間がかかっているかを把握していなかったし、当然いつまでに何が終わりそうかの見通しなんてまるで立てられていなかった。

塾で偉そうに生徒に言っていたことを、いざ自分が働き始めると、全くできていなかったのだ。

それから「これは無理でしょ...」という難題にぶち当たった時は、まずは課題の解像度を上げる作業に取り組むようになった。

「1番の課題は何か?」「なぜこの課題が生まれたのか?」「いつまでに解決すべきなのか?」と問いを立てて、ゴールまでの道筋が立てられないか模索する。

この解像度を上げる作業をサボらず積み重ねていくと、ふと見える景色が変わる瞬間がいつか来るのではないかと思う。




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