映画『ブルックリン』2つの国、2人の男性
アイルランドからニューヨーク・ブルックリンに移住した女性の成長と恋愛を描くドラマ。「レディ・バード」「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」のシアーシャ・ローナン主演。2015年製作。アイルランド・イギリス・カナダ・アメリカ合作。
ストーリー
1950年代、地味な性格で目立たないエイリシュ(シアーシャ・ローナン)はアイルランドのちいさな町からニューヨーク・ブルックリンに単身で移住する。大都会での生活に戸惑いながらも、イタリア系移民の青年トニー(エモリー・コーエン)との恋をきっかけに彼女は変わってゆく。ある日、すっかりブルックリンの生活にも慣れたエイリシュのもとに故郷アイルランドからの悲報が届く。
1950年代、アイルランドからアメリカに渡る労力は相当なものでした。何日も船酔いと戦いながらの船旅。エイリシュも苦しい船旅の末、アメリカに到着します。
ホームシックにかかりながらも、必死に都会の環境に馴染もうとするエイリシュが健気でした。
ブルックリンに到着した当時のたよりない彼女の顔つきが、トニーとの出会いにより、生き生きとした女性の表情へと変化していく様子が見事に表現されていました。
大好きな姉が亡くなり、アイルランドに一時帰国しなければならなくなった時、エイリシュとトニーは役所に婚姻届を提出します。トニーの強い希望でアイルランド帰国前に提出したのです。エイリシュに必ず戻って来てほしいという願いを込めて。
ほんの数日間、独りぼっちになった母親をなぐさめるための帰国の予定が、どんどん滞在が長引いてしまいます。
今の時代なら、アメリカにいるトニーと毎日連絡がとれるのに、1950年代は連絡手段は手紙のみ。まさに遠距離です。
エイリシュはアメリカで結婚した事をアイルランドで話していませんでした。故郷では昔馴染みのジムが素敵な紳士になっており、彼からのアプローチに心が揺れます。
アイルランドには希望していた簿記の仕事も、エメラルドグリーンの美しい海岸もある。友人も、母親もいる。そして、親切にしてくれる魅力的なジムがいる。無理してアメリカで生活しなくても、やっぱり故郷アイルランドの方が生きやすいのではないか。
アイルランドで生きるか、アメリカで生きるか。
エイリシュは決断します。
その決断は、彼女の気持ちだけに純粋に従ったものではなかったけど。
エイリシュという女性は強い生きる力を持っている人で、これからも大丈夫、しっかりやっていける、と感じたラストシーンでした。
劇中、エイリシュの衣装のグリーンがとても印象的ですが、グリーンはアイルランドのナショナルカラーだそうです。
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