叶わぬ恋に心をつくすより【超短編小説】
「ちょっと待ってて」
そういって電話を切られた。
5分待っても私のスマホは声をあげない。
1時間、3時間、10時間待ったけど
あなたにとって”ちょっと”っていったいどれくらい?
数日後何事もなかったかのようにまた電話が来た。
「この間、ちょっと待っててって言われたから待ってたのに」
「あー、ごめんごめん」
そういって理由も告げずに笑ってごまかされた。
私から電話を掛けて繋がった事なんて無い。
落ち込んでいるとたまに元気な声で電話くる。
そして私は水を得た魚のように生き返る。
そんな事の繰り返し。
そんな人辞めなと周りから言われる。
でも、この人のちゃんとした優しさを知ってるのは私だけ、と心の中でまた彼への執着を強める。
苦しくて切ないけど刺激を与えてくれる彼の電話を今日も待つ。
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