決戦は土曜日 DAY 17
十年前、初めてのフルマラソンに出場した。
言わずと知れた 42.195km の長丁場に対して不安しかなかった。
─ 走り切ることはできるのか?
シーズン真っ只中のそこかしこで開催されるマラソン大会。
私にとってマラソンは「ラン」という枠の中の一部でしかないのだろうけど、それでも北九州マラソンに懸ける思いは強い。
2014年2月。
全国各地で10,000人規模の大会が多く開催され始めた頃だった。
その勢いに乗ってか、北九州市制50周年記念の北九州マラソンは凄かった。
どこまでも途切れる事のない応援。
数えきれない人たちとハイタッチ。
「頑張ってくださーい」と声を掛けてくれるボランティアスタッフ。
重い脚をひきずるようにフィニッシュラインを迎えた時の感動は今でも覚えている。
温かい拍手で迎えられ、持ってけドロボーと言わんばかりのバナナを頂き、余らせたくないという思いからか参加賞のバスタオルを二枚、三枚ともらった。
この時の思い出を当時所属していた視覚障害者のメーリングリストに投稿した事を覚えてる。
長文で5kmおきぐらいの気持ちを綴ってたような気がする。
書き残しているので探せば出てきそうだがやめとこう。
十年前の自分の気持ちを読むのは恥ずかしい。
サボる期間があるにせよ、何故、今も走るのか自問自答することがある。
一言で言うなら2014年の北九州マラソンが忘れられないから。
割れんばかりの声援、どこまでも続く人だかりの応援。
笑顔で迎えられ「頑張れー!」と手を振ってくれた多くの人たち。
こどもも大人も老若男女問わず、何かとんでもなくめでたい事が起きたような、地の底から湧き起こるような騒めきと興奮。
あの時の嬉しさと驚きはごちゃ混ぜになり、走っていることを忘れさせてくれた。
私は頂いた感動を笑顔で返すことしか出来ない。
だから笑顔は走り続けるための原動力なのかもしれない。
あれから十年。
色褪せない思いがここにある。
2024年2月18日 9:00
スタートの号砲が北九州路に鳴り響く。