見出し画像

新規事業立ち上げのためのデプスインタビューのはじめかた

この記事は、私が新規事業開発・プロダクト開発のための「デプスインタビュー」をはじめるにあたって、その基本情報と手法・やり方のデスクトップリサーチのついでにログとしてまとめたものです。

デプスインタビューとは

「depth(深さ)」+「interview」からなる言葉で、調査対象と深く関わりながら、より踏み込んだ・掘り下げた心理を聞き出すために行う1対1の面談形式のインタビューのこと。適切な質問をしないと、心理や欲求を聞き出せないのでインタビュアーのスキルが必要。

関連用語との関係性を図示するとこんな感じになるかと

また、「半構造化インタビュー」という言葉がありますが、同じものとして理解していいのかなと思います。名付け方が手法フォーカスなのか目的フォーカスなのかの違いかなと。

「半構造化インタビュー」とは、事前に決められた質問項目を用いて、一問一答形式の「構造化インタビュー」とテーマだけを決めて自由に対話をする
「非構造化インタビュー」の中間の、決められた項目だけを聞くのではなく、ユーザーの回答に対してアドリブで別の質問を重ねて行くことで、ニーズや背景状況の深掘りをするインタビュー方式。

【保存版】ユーザーインタビューとは?実施する目的やコツ、設計方法まで分かりやすく解説 | NIJIBOX BLOG

デプスインタビューでできること

・個人の意見を深く掘り下げ、本人も意識していなかったニーズや要望が知れる
・複雑な意思決定におけるプロセスが解明できる
・デリケートな話題に対しても効果を発揮する
・忌憚のない意見が聞ける

デプスインタビューのメリットとデメリットを理解する ークロス・マーケティング

デプスインタビューの事例

株式会社スマートバンク ー  「B/43」

株式会社スマートバンクさんの家計簿プリカ「B/43(ビーヨンサン)」では、二人以上世帯向けの「ペア口座&カード」という新機能の開発前にリサーチインタビュー/デプスインタビューを実施していました。

<インタビュー実施の目的>

ペインが発生する状況や頻度といった課題の特定と代替え手段の有無の確認

スマートバンクが実施しているUXリサーチについて ーShota Horii|note

<インタビュー実施を通して知りたかったこと>

1. 現在どのような方法で家計管理が行われているか?
2. どんな人が、どんな課題を感じているか?
3. 最も強い課題を感じているのはどんな人たちか?

ゼロからのスタートアップ立ち上げにおけるリサーチ事例 (Research Conf2022書き起こし)

<インタビューの概要>

  • 対象者(インタビュイー):
    個人的なつながりや紹介経由の人 20人程度
    →TwitterやInstagramのDMで声をかけた人

  • 時間:60分

  • 事前に準備していたもの:調査計画書、インタビューシナリオ(台本)、謝礼

  • 実施後行ったこと:インタビューレポート @notion

 スマートバンクさんは、まず個人的なつながりや紹介経由で20人ほどの人にインタビューをし、その結果を元に立てた仮説に合わせたターゲットにTwitterやInstagramのDMなどで声をかけ、インタビュイーを集めていました。
 インタビューの実施の際には、属人化をさけ、インタビュー内容の標準化するために調査計画書とインタビューシナリオ(台本)を用意していました。

画像出典元:スマートバンクが実施しているUXリサーチについて ーShota Horii|note
画像出典元:スマートバンクが実施しているUXリサーチについて ーShota Horii|note

株式会社Gaji-Labo ++ ー  事業開発支援

株式会社Gaji-Labo ++さんでは、新規事業やサービス開発/プロダクト開発のためのリサーチとして「半構造化インタビュー」を推奨しています。

<インタビューの目的(モデルケース)>

・調査対象アクティビティの周辺プロセスを知る
・すでに顕在化しているトラブルについて知る
・関係者や利害関係など含め、実際に関わっている人がいるのかいなのか聞き出す

半構造化インタビューでユーザーを知るために活用したいインタビューシートの作り方 ++ Gaji-Laboブログ

<インタビューの概要(モデルケース)>

  • 時間:60分

  • 事前に準備するもの:インタビューのためのシート(スクリプト+メインとなる質問+時間配分)、掘り下げのための質問リスト

  • 実施後行うこと:データ整理とサマリー作成、インタビュー後の分析・インサイト抽出

Gaji-Labo ++さんも、スマートバンクさんと同じように、インタビュイーのスキルに関わらず、インタビューで成果を挙げられるようにインタビューのためのシートを事前に作って用意していました。

画像出典元:半構造化インタビューでユーザーを知るために活用したいインタビューシートの作り方 ++ Gaji-Laboブログ

i09sakaiさん ー エンジニア(SIer)/UXデザイナー

約10名へのユーザー調査の経験を元に、デプスインタビュー・半構造化インタビューにおけるつまずきがちなポイントをまとめてくださっていました。

■全員共通のつまづきやすいポイント
・質問-回答の後に毎回「ありがとうございます」と言ってしまう
・インタビューガイドを死守しようとしてしまう
・次の質問を考えてしまって、ユーザの話をしっかり聞いていない
・聞きたい質問に対しての目的が明確になっていないので深掘りできない
・聞き方が唐突、答えづらい
・意見や考えだけを聞いてしまう
・サブインタビュアーを上手く使えない

■タイプごとのつまづきやすいポイント
①UXデザインやユーザーインタビューについての書籍は読んだことあるが実践経験のない若い人
・目的の認識がズレる
②UXデザインに関しては、こちらからの教育だけで書籍も読んでいない・実践経験もないが、エンジニアとして管理者としての現場経験が長い人
・ユーザの年齢や経験が下の場合が多く、勝手に答えを出したり、説得してしまう
③普段の会話やワークの中でも考え込む時間が長く沈黙も多いが、最終的に自分なりに理解した結果の意見を導き出せる人
・リアクションが薄い
④よく喋り、コミュニケーションが得意だと言う人
・沈黙に耐えれず、誘導してしまう

デプスインタビューでつまづいた、初心者が間違えがちなポイント!!|i09sakai|note

まとめ

デプスインタビューの標準的な手順

事例をもとに私の方で理解した標準的な手順は以下です。

  1. 実施の目的を整理する

  2. 聞き出したいことを整理する

  3. (必要あれば)対象者の属性を絞る

  4. 2. をもとにメインの質問リストと追加の質問リストをつくる

  5. (複数人・チームで実行する場合)1.2.の概要や実施の狙いをまとめる

  6. 会話スクリプトと質問リストを記載したインタビューシートをつくる

  7. レポートにまとめる

デプスインタビュー実施時に気に留めるべきこと

  • 聞き出したいこと=質問における目的を明確にする

  • 設問における目的に沿った掘り下げをする(事前に掘り下げる内容についても予測し、追加設問を用意しておく)

  • インタビューのクオリティーの安定化のために事前準備をきちんと行う


以上です。ここから私も手順に沿ってデプスインタビューの準備を進め、下で実施しています。ぜひご協力お願いします。


もしよければこちらも読んでね。


香りの研究のための、購入費に使います😊