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デプスインタビューでつまずいた、初心者が間違えがちなポイント!!

はじめに

10名くらいにユーザ調査(計画、スクリーニングからインタビュー内容設計、インタビュー実施、分析まで)について教えました。その中のインタビュー実施の様子を評価して感じた初心者がつまずきやすいと感じたポイントを挙げていきます。
※デプスインタビュー=ユーザーインタビュー(半構造インタビュー)は以降インタビューと略します。

■全員共通のつまずきやすいポイント

まずは、性格や属性に関わらず皆がやってしまったポイントから挙げていきます。

・質問-回答の後に毎回「ありがとうございます」と言ってしまう
質問-ストーリーの形がインタビューですが、お礼を言ってしまうと話の流れが止まってしまい、ただのQAになってしまいます。お礼を言いたくなるのは分かりますが、話を変えたいときだけで十分です。話が途切れてしまうので、お勧めしません。

・インタビューガイドを死守しようとしてしまう

半構造インタビュー形式を取っていたので、ガイドには最低限明らかにしたいことだけを記載しています。しかし、お利口にそれを守ってしまい、ただのQAになっていました。ガイド通りにインタビューする必要はないので、話の流れによって、こっちの質問を先に聞こう!と柔軟に対応すべきです。深掘りをしていると、後で聞きたかった話に到達することもあります。その際は、流れを乱さないためにも先に聞いてしまって問題ありません。後で聞いてしまうと、「さっき話したじゃん」「なんで前後してるんだろう」とユーザに不信感を抱かせる原因にもなってしまいます。
なぜインタビューガイド通りにやってしまうのかというと、おそらく目的が曖昧で聞きたい内容の全てを把握できていないからだと思います。最初は難しいので、たくさん練習して臨みましょう。奥さんにインタビューしてみた、普段の友人との会話でインタビューしてみた、など自ら練習してくれた人もいました。やはり経験の積み重ねが上達への近道だと思います。

・次の質問を考えてしまって、ユーザの話をしっかり聞いていない
深掘りは相手の回答に集中して聞いていないとできないので、まずは集中して聞きましょう。質問内容や態度で自分の話をきちんと聞いてくれているのか?をユーザも感じ取ります。少しでも聞いてないなと感じたら、詳しく話すのを止めよう、本気で話さなくていいやと思ってしまうのでラポール(信頼関係)を築く上でも必須です。ここも目的さえ明確だったら、次の質問を考える必要もなく、ユーザの話から深掘りしたいポイントが見つかるはずです。
もし困ったら、相手が言ったこと・単語に「?」を付けてくり返すことで、詳しく話してくれる場合もあるので試してみてください。
また、私は紙に聞きたいポイントだけ書いて自分なりに理解・考えるのが一番やりやすいです。記録のために書くのではなく、自分できちんと考えて深掘りするために使います。ポイントだけ書いていると、あれ?、これ何で?、どういうこと?とたくさん疑問が湧いてきて詳しく聞きたくなります。この方法が合う人もいましたが、書くことに夢中になって話を聞けなくなるパターンの人もいたので試行錯誤してみて、自分に合う方法を見つけてみてください。
実際のメモ)何も読めないほど汚い字ですが、記録は動画を撮っているのでこれで十分です。

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・聞きたい質問に対しての目的が明確になっていないので深掘りできない
インタビューガイド作成時に各質問に対する目的を立ててもらうようにしていますが、目的になりきっていないことが多いです。そのため、深掘りの方向が分からなかったり、深掘りしているようでただ話を広げているだけになったりします。
全部の質問に対して自分が本当に知りたいこと、目的やこれを知って何に使いたいかを考えてみよう。
例)採用活動に関するユーザ調査にて
  質問内容:就活の時に企業を選ぶポイントを教えてください。
  悪い目的:企業選びのポイントを把握するため(質問とイコールで目的になりきっていない)
  良い目的:若者がどういう働き方をしたいのか、どんな人生を歩みたいと考えているのか知るため (何のために聞いて、聞いた内容をどう活かすかのイメージが分かる)

・聞き方が唐突、答えづらい
質問文を違和感ない状態にしましょう。ユーザが答えやすいように聞きましょう。答える範囲が広い質問や意図や対象がよく分からない質問には気を付けましょう。自分だったらどう答えるか?を考えてみると、カイゼンした方が良いポイントが見えてくると思います。
例)自己研鑽に関してのユーザ調査にて
 Q.相談しあえる仲間はいますか?
 A.(ユーザの疑問→何を?どんなときの相談?会社・プライベート?)

インタビューの基本ですが、ユーザは悪気なく、要約・例外を省く・不完全で答えてしまうという特性があります。
悪い例)
 Q.平日、休日どんな時間の使い方されていますか?
 A.読書したり、運動したりですかね。
良い例)
 Q.先週土曜日、朝起きてから何されましたか?
     →身近な話で日にちを限定する方が思い出してもらいながら答えやすいし、具体的に答えてもらえる

複数の質問をまとめて聞いてしまう方もいましたが、当たり前ですが一つずつが答えやすいです。まとめて質問すると質問内容を覚えていなきゃいけないので、1つ1つの回答がおざなりになってしまいます。

・意見や考えだけを聞いてしまう
欲しいモノなどユーザの意見や考えだけを聞いてしまい、その考えになったきっかけや、意見に紐づく体験・行動(ユーザの声 V = ユーザなりに分析した結果 f (体験・行動 x ) )まで聞けていないことが多いです。「なぜ?」、「どのように?」、現在→過去などの実体験を引き出さないと、ただの「何が欲しいですか?」のヒアリングと同じになってしまい、顕在ニーズしか見つからないです。更に、1つの体験だけで満足せず、過去にさかのぼって思い出してもらいながら聞いてみるのもいいでしょう。
また、インタビューする上で、相手について知らない、当たり前のことにも疑問を持つという初心者思考がないと、「そうだよね」で納得して発見に繋がりません。
初心者向けに試した方法として、実際にインタビューを実施する前に価値カードを考えることで深掘りの重要性を実感してもらいながら進めるのも良かったです。

・サブインタビュアーを上手く使えない

自分が回答を深掘れない、考える時間が欲しいというときは、サブインタビューアーを利用しましょう。何か追加で質問ありますか?と振ってあげましょう。意外と客観的に記録しながら聞いているのでたくさん深掘りしたいポイントを隠し持っています。

■タイプごとのつまずきやすいポイント

インタビューを初めて実践した人の種類
◇属性として、大きく2つのパターンがあります。
①UXデザインやユーザーインタビューについての書籍は読んだことあるが実践経験のない若い人
 ・比較的若く、20代後半
 ・エンジニア経験はあるが短く、コーディングやテストがメイン

②UXデザインに関しては、こちらからの教育だけで書籍も読んでいない・実践経験もないが、エンジニア・管理者としての現場経験が長い人
 ・中年
 ・エンジニアの現場・管理・顧客折衝の経験が長い人

◇性格として、大きく2つのパターンがあります。
③普段の会話やワークの中でも考え込む時間が長く沈黙も多いが、最終的に自分なりに理解した結果の意見を導き出せる人

④よく喋り、コミュニケーションが得意だと言う人

↓属性や性格(①~④)ごとにつまずきやすいポイントを挙げます。

①UXデザインやユーザーインタビューについての書籍は読んだことあるが実践経験のない若い人

・目的の認識がズレる
インタビューに限りませんが、目的意識が薄く、ただ会話を繋ぐだけ、インタビューガイド通りにやるだけになることがあります。そうなると深掘りもポイントがズレて、ユーザに時間を頂いたのも申し訳ない状態になってしまうので、ユーザ調査の結果を何に活かすか?まで考えたインタビュー実施ができるようにサポートが必要です。

②UXデザインに関しては、こちらからの教育だけで書籍も読んでいない・実践経験もないが、エンジニアとして管理者としての現場経験が長い人

・ユーザの年齢や経験が下の場合が多く、勝手に答えを出したり、説得してしまう
ユーザの話をきちんと聞けないことが多いです。すぐにアドバイスをしてしまったり、自分の意見・話をちょっと言い過ぎたりする方が多いです。インタビューの目的とズレているので、堪えてください。

③普段の会話やワークの中でも考え込む時間が長く沈黙も多いが、最終的に自分なりに理解した結果の意見を導き出せる人

・リアクションが薄い
沈黙は恐れない方が多いです。しかし、ユーザ側はリアクションがないと不安になってしまいます。「そうなんですね!」「えー!!」という感嘆や「確かに。」「分かる、、、」という共感、相槌は最初の信頼関係築くためにも意識的に多めにしましょう。

④よく喋り、コミュニケーションが得意だと言う人

・沈黙に耐えれず、誘導してしまう
質問しても回答がすぐ得られないと、「こういうことですか?」「○○ですか?」と誘導してしまいます。そうすると、選択肢が狭まり、「そうです」としか答えてくれないのでインタビューとしては失敗です・・・
相手が困っているときは複数の選択肢出すようにしたり、スコープを絞って答えやすくしましょう。
また、悪いところ、理不尽なことなど答えづらい質問には、こちらの自虐的な情報を開示することで発言のハードル下がるのでいいこともあります。

終わりに

初めてインタビューやるよ!って方は自分のタイプを判断して、つまずきやすいポイントを参考にしていただければ幸いです。

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