月舟

1億の中のあなたに届いたことが嬉しいです。 教育、日本、カルチャー、地球、環境、身体な…

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1億の中のあなたに届いたことが嬉しいです。 教育、日本、カルチャー、地球、環境、身体などについて、愛情込めて考えています。

最近の記事

『オッペンハイマー』を、日本人はどう観るべきか

我々日本人にとって、さまざまな意味で「もやもやする」映画となっている『オッペンハイマー』。 事前に"バーベンハイマー騒動"もあったため、「どうやらアメリカ人と私たちは、原爆について大きく意見が異なっているようだ」という印象を持ってしまった人も多いと思う。 私もそのひとりだった。 しかし、そんな作品がアカデミー賞で7部門も賞を取った。 いや、取ってしまった、と言うべきかもしれない。 「原爆の父」を描いた映画が、アメリカではそんなふうに持ち上げられているのなら、ここはいっちょ

    • 月舟チョイス!2023年の【劇場で観た映画】ランキング

      日記を見返して数えてみたところ、私が2023年に劇場で観た映画は、全部で15作品だった。 15という数字は、熱心に映画館に通われている方や映画YouTuberの方からしたら決して多くない数字だろう。 しかも、私はホラーやサスペンスなどは映画館ではほとんど観ないため、かなりジャンルが偏ったものであることも事実。 だが、だからこそ、同じような趣味嗜好を持った方には響くものになると思うし、まったく違うジャンルが好きという人にとっても、「へぇ~こういう人もいるのね」と参考にして

      • 鉛筆で北斎『凱風快晴』

        • 私達は、歴史が動いた瞬間の目撃者だ

          2023年10月2日、メジャーリーグの歴史で初めて、日本人のホームラン王が誕生した。 その選手の名は、もちろん大谷翔平! 今年は、彼が3月に名古屋でバッティング練習をはじめてから、大谷翔平にびっくりさせられっぱなしの約半年間だった。 20年前、"ゴジラ"松井秀喜が、日本人の夢とともにメジャーリーグへと挑戦した。 彼ならメジャーでもホームラン王になれるのではないか••• いや、たとえなれなくても、トップ10くらいには入るのでは••• それはたったの20年前。まだ、日

        『オッペンハイマー』を、日本人はどう観るべきか

          映画『SAND LAND』 ベルゼに会えたらいいのにな(ネタバレなし)

          『ドラゴンボール』など大ヒット漫画を数多く世に送り出した鳥山明原作の映画『SAND LAND』が、2023年8月18日に公開された。 正直、この作品の予告を映画館で観たときには、「ドラゴンボールの映画がない年のための中継ぎかな」くらいにしか考えていなかったが、その考えは大いに間違っていたと反省し、撤回したい。私にとって、この夏の、ひょっとしたら秋にかけての、ダークホース的一本となった。 久しぶりに、「スッキリした~」という爽快感あふれる気持ちで劇場を後にした。YouTub

          映画『SAND LAND』 ベルゼに会えたらいいのにな(ネタバレなし)

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"(全部入り)

          学校や教員を批判するということについて、個人的な感情としては複雑な思いがある。 私は学生時代に教職のゼミで、仲間たちとよりよい教育を実現するため、たくさん本を読み、たくさん議論して、実践もさまざまに創意工夫し、ときには厳しい言葉を言い合ったりしながら成長してきた経験があり、そんな経験を共有した仲間の多くが、今も教員として一生懸命、日々目の前の子どもたちと向き合っているからだ。 だがしかし、近年社会で話題になるのは学校の先生たちのマイナスの面ばかりであり、プラスの面が話題になる

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"(全部入り)

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―⑥安西先生から学ぶ学習理論

          モデルの提案前章まで、学校における母性のディストピア構造を見てきた。 ここからは、母性のディストピア構造を打ち破り、学校をより魅力的な場所に進化させるための策を考えて行きたい。 とすれば、「いかにして母性のディストピア構造を破壊するか」ということを考察していくことが求められるだろう。しかし、この構造と正面からぶつかって破壊することは、私にはほとんど不可能に思える。 なぜなら、そこには教師のアイデンティティや自己実現の問題が絡んでいるからだ。実際、現在学校で仕事をしている教師

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―⑥安西先生から学ぶ学習理論

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―⑤「教職」「学校」・・・変化を阻害する外的要因

          学校の授業が時代に合ったものに変わっていかない原因は、個々の教員のアイデンティティや職業的な自己実現の志向性に問題がある、というだけではない。むしろその根本原因として、教員の意欲を奪い、能力を発揮することを妨げる”外部的な要因”がある。 この章では、「教職」という職業が、あるいは「学校」という組織が持っている性質を細かく確認することで、その原因と結果を明らかにしていきたい。 「不確実」な仕事の不安 授業や部活動、生活指導など、教員が求められる仕事には「不確実性」が満ちてい

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―⑤「教職」「学校」・・・変化を阻害する外的要因

          「学校」という"母性のユートピア"、あるいは"ディストピア"―④教師はいかにして教室の「秩序」をつくるか

          作家の乙武洋匡氏は、2007年から2010年まで杉並区の小学校で教員をしていた。『だいじょうぶ3組』は、その体験を元に書かれたフィクションの小説で、2013年には映画化もされている。 引用した場面は、子どもたちがとある結果を求めて努力してきたものの、それが叶わず落胆しているところに、乙武氏がモデルとなっている赤尾先生が、その経験を学びに昇華させるべく生徒に語りかけている、というシチュエーションだ(ここに至る過程がとても感動的であるため、ぜひ小説もしくは映画を観てほしい)。 私

          「学校」という"母性のユートピア"、あるいは"ディストピア"―④教師はいかにして教室の「秩序」をつくるか

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―③教師の幸福

          教師たちは、自分たちの職業をどのようなものだと認識しているのだろうか。 大変な点はどこか、何に喜びを見出すのか、その仕事から受け取るメリットにはどんなものがあると感じるているのか。 小学校と中学校の教員が抱いている教職観について、94年以前の少し古い調査になるが、以下に結果を示す。 各項目のパーセンテージは、それぞれの質問に対する「強くそう思う」「ややそう思う」「あまりそうは思わない」「全くそうは思わない」の4択の回答のうち、「強くそう思う」「ややそう思う」の合計である。

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―③教師の幸福

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―②示された改善の方向性、そしてソリューション。一方学校は・・・。

          学校教育を時代に合ったものに停滞する日本社会。時代に合った力を持った人材を育てられない学校教育。当然、国もこの現状を知っている。 文部科学省は、この現状を打開するために新たな学校教育の方針を打ち出した。 2017年3月、学校が各教科で扱う内容を定めた学習指導要領が改定された。これは戦後9度目の改訂となる。以下、新しい学習指導要領の内容を見ていこう。 まず、学習指導要領が示す方針について。 学校には、児童・生徒の「学力を伸ばす」という目的がある。今回の学習指導要領の改訂は、そ

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―②示された改善の方向性、そしてソリューション。一方学校は・・・。

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―①今、日本では人が育っていない

          学校の先生たちが前向きに、目の前の生徒たちのために身を粉にして働いていることを、私は知っている。 近年、社会で話題になるのは学校の先生たちのマイナスの面ばかりであり、プラスの面が話題になることは少ない。 確かに学校は遅れているかもしれない。しかし日本社会全体も、世界の"先進国"と比べれば遅れているのだから、学校だけを責めるわけにはいかない。 繰り返すが、学校の先生たちはみな、一生懸命働いている。 私たちはそのことを認め、そんな先生方に尊敬の念をもって接し、そのような人として

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―①今、日本では人が育っていない

          『バチェロレッテ2』の気になるところ

          令和4年7月28日、Amazon Prime Videoにて配信されていた『バチェロレッテ2』が幕を閉じた。 『バチェラー』『バチェロレッテ』シリーズは、ここまでさまざまな意見や事件もあったが、総じておもしろく観ていた。 しかし、今回の『バチェロレッテ2』は、過去作とは異質の作品だと感じた。 その「異質さ」ゆえに新たな「おもしろさ」と、「問題」が浮かび上がってきた(実は、この「問題」は『バチェラー』シリーズの最初からあったものだが、今回を機に指摘しておきたい)。 それについて

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          『トップガン マーヴェリック』に見る、現代に希少なものとは?(ネタバレ無し)

          『トップガン マーヴェリック』が大好評である。感想もおおむね大好評で、世界的に2022年を代表する映画になった、と言っていいだろう。 私は前作『トップガン』(1986年)に特別な思い入れがあるというわけではないが、思い入れの有る無しに関係なく、今作『マーヴェリック』は文句なしに「良い映画」だった。 空を飛ぶことの快楽と厳しさが、文字通り「肌で」感じられるという、近年珍しい特別な映画体験をすることができたからだ。 この映画にあるもの。それは2つの圧倒的な「説得力」だ。 ま

          『トップガン マーヴェリック』に見る、現代に希少なものとは?(ネタバレ無し)

          『時代遅れのRock'n'Roll Band』を1.5倍楽しめるかもしれない2つのトピック

          あなたはもう聴いただろうか?桑田佳祐が作詞作曲した『時代遅れのRock'n'Roll Band』という曲を。 「桑田佳祐の新曲」と聞けば、ファンじゃなくても気になる、という方も多いだろう。 その上この作品には、佐野元春、世良公則、Char、野口五郎、という豪華なミュージシャンが参加しているのだから、音楽好きとしては注目せざるを得ない。 『時代遅れのRock'n'Roll Band』は、2022年5月23日、桑田佳祐のYouTubeチャンネルにてまず音源のみのバージョンが配信

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          あちらこちらに居るにもかかわらず姿を見せない、あらゆるところに満ち満ちているもの:いのち

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