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1億の中のあなたに届いたことが嬉しいです。 野球、教育、日本、カルチャー、地球、環境、身体などについて、愛情込めて考えています。

最近の記事

【本の紹介】里崎智也『捕手異論』―サトザキ流「捕手」コミュニケーション(第二弾)

サトザキの"ちょっとズルい"危機回避術サトザキの自己主張には"哲学"がある。 前回に引き続きテーマは「自己主張」だが、今回はその「自己主張」が、自分の心を「防御」することに役立つ、という話をしたい。 ここで質問。 みなさんの周りに、「怒られやすい人」と「怒られにくい人」はいないだろうか。 実に興味深いことだが、たとえ同じミスをしたとしても、しっかり怒られる人もいる一方で、「まぁ、次がんばりたまえ」と軽く指摘されて終わる、という人もいるものだ。 前者は人生を損しているし、後

    • 【本の紹介】里崎智也『捕手異論』―サトザキ流「捕手」コミュニケーション(第一弾)

      「バッテリー」という言葉は特別な響きを持つ。それは野球というスポーツにおける投手と捕手が特別なポジションだからだ。 投手が投げなければゲームは始まらないし、投手は他の選手よりもひとつ高い位置の「マウンド」という特別な場所に立っている。 そういった意味でも、野球というスポーツは投手を中心に動いているように見える。 しかし、日本プロ野球史に残る名捕手の古田敦也はそれに異を唱える。 古田曰く、「野球は、キャッチャーがピッチャーにサインを出してからはじまるスポーツ」とのこと。

      • 980日ぶり勝利!【本の紹介】高津臣吾『一軍監督の仕事』~高津監督が見た「異常」な奥川

        2024年6月14日、奥川恭伸が5回を1失点に抑えて980日ぶりの勝利をあげた。 遡ること2年。奥川は2022年3月29日の巨人戦で登板するも、右ひじを痛めて登録抹消。それから今回の登板までにかかった日数は808日。ヒーローインタビューで声を詰まらせてからの男泣きには私も胸がいっぱいになった。 正直、私は奥川がヒーローインタビューであんなに大泣きするとは思わなかった。 いや、そもそも奥川恭伸とはどのような人間なのか私はあまり知らないし、世間でもそれほど知られていないのでは

        • 【本の紹介】新庄剛志『スリルライフ』―選手との関わり方を中心に―

          日本ハムファイターズの監督に就任して3年目の新庄監督にとって、2024年はまさに今まで蒔いてきた種が花開いた年だと言えるだろう。 新庄剛志というのは魅力的な男だ。監督としても人間としても。 そんな新庄監督から、私たちのような野球を愛する人間が学べることはたくさんある。 この記事では新庄監督の就任一年目となる2022年のキャンプ前に出版された著書『スリルライフ』から、新庄監督の考えを紹介する。 特に新庄剛志の「指導者」としての側面にスポットライトを当て、それを中心に見てい

        【本の紹介】里崎智也『捕手異論』―サトザキ流「捕手」コミュニケーション(第二弾)

        • 【本の紹介】里崎智也『捕手異論』―サトザキ流「捕手」コミュニケーション(第一弾)

        • 980日ぶり勝利!【本の紹介】高津臣吾『一軍監督の仕事』~高津監督が見た「異常」な奥川

        • 【本の紹介】新庄剛志『スリルライフ』―選手との関わり方を中心に―

          二軍監督の目線から見る、「野球の楽しさ」の思い出し方

          この言葉は、今(2024年度)ヤクルトスワローズの一軍監督をしている高津臣吾さんの二軍監督時代のときのものだ。 高津さんの二軍監督時代(2017~2019年)の教え子には、2023年のWBC準決勝メキシコ戦で劇的なサヨナラ打を放った日本を代表するスラッガー村上宗隆や、こちらも日本を代表する投球センスを誇る高橋圭二らがいる。 高津さんは選手たちが「気持ちよく」野球ができるように心掛けて、二軍監督としての時間を送っていたようだ。 そんな高津さんの原点には、「野球が楽しい」と

          二軍監督の目線から見る、「野球の楽しさ」の思い出し方

          今日(令六5/8)の山本由伸はメジャーに行ってから一番脚の使い方が良かった。 今までは力んで脚の外側を使っていたため重心移動が不安定で、その分上体の力に頼っていた。 しかし今日は脚の裏と内側を力を抜いて使っていたため球に力があった。 だからストライクをドンドン投げ込めたのだろう。

          今日(令六5/8)の山本由伸はメジャーに行ってから一番脚の使い方が良かった。 今までは力んで脚の外側を使っていたため重心移動が不安定で、その分上体の力に頼っていた。 しかし今日は脚の裏と内側を力を抜いて使っていたため球に力があった。 だからストライクをドンドン投げ込めたのだろう。

          『オッペンハイマー』を、日本人はどう観るべきか

          我々日本人にとって、さまざまな意味で「もやもやする」映画となっている『オッペンハイマー』。 事前に"バーベンハイマー騒動"もあったため、「どうやらアメリカ人と私たちは、原爆について大きく意見が異なっているようだ」という印象を持ってしまった人も多いと思う。 私もそのひとりだった。 しかし、そんな作品がアカデミー賞で7部門も賞を取った。 いや、取ってしまった、と言うべきかもしれない。 「原爆の父」を描いた映画が、アメリカではそんなふうに持ち上げられているのなら、ここはいっちょ

          『オッペンハイマー』を、日本人はどう観るべきか

          月舟チョイス!2023年の【劇場で観た映画】ランキング

          日記を見返して数えてみたところ、私が2023年に劇場で観た映画は、全部で15作品だった。 15という数字は、熱心に映画館に通われている方や映画YouTuberの方からしたら決して多くない数字だろう。 しかも、私はホラーやサスペンスなどは映画館ではほとんど観ないため、かなりジャンルが偏ったものであることも事実。 だが、だからこそ、同じような趣味嗜好を持った方には響くものになると思うし、まったく違うジャンルが好きという人にとっても、「へぇ~こういう人もいるのね」と参考にして

          月舟チョイス!2023年の【劇場で観た映画】ランキング

          鉛筆で北斎『凱風快晴』

          鉛筆で北斎『凱風快晴』

          私達は、歴史が動いた瞬間の目撃者だ

          2023年10月2日、メジャーリーグの歴史で初めて、日本人のホームラン王が誕生した。 その選手の名は、もちろん大谷翔平! 今年は、彼が3月に名古屋でバッティング練習をはじめてから、大谷翔平にびっくりさせられっぱなしの約半年間だった。 20年前、"ゴジラ"松井秀喜が、日本人の夢とともにメジャーリーグへと挑戦した。 彼ならメジャーでもホームラン王になれるのではないか••• いや、たとえなれなくても、トップ10くらいには入るのでは••• それはたったの20年前。まだ、日

          私達は、歴史が動いた瞬間の目撃者だ

          映画『SAND LAND』 ベルゼに会えたらいいのにな(ネタバレなし)

          『ドラゴンボール』など大ヒット漫画を数多く世に送り出した鳥山明原作の映画『SAND LAND』が、2023年8月18日に公開された。 正直、この作品の予告を映画館で観たときには、「ドラゴンボールの映画がない年のための中継ぎかな」くらいにしか考えていなかったが、その考えは大いに間違っていたと反省し、撤回したい。私にとって、この夏の、ひょっとしたら秋にかけての、ダークホース的一本となった。 久しぶりに、「スッキリした~」という爽快感あふれる気持ちで劇場を後にした。YouTub

          映画『SAND LAND』 ベルゼに会えたらいいのにな(ネタバレなし)

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"(全部入り)

          学校や教員を批判するということについて、個人的な感情としては複雑な思いがある。 私は学生時代に教職のゼミで、仲間たちとよりよい教育を実現するため、たくさん本を読み、たくさん議論して、実践もさまざまに創意工夫し、ときには厳しい言葉を言い合ったりしながら成長してきた経験があり、そんな経験を共有した仲間の多くが、今も教員として一生懸命、日々目の前の子どもたちと向き合っているからだ。 だがしかし、近年社会で話題になるのは学校の先生たちのマイナスの面ばかりであり、プラスの面が話題になる

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"(全部入り)

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―⑥安西先生から学ぶ学習理論

          モデルの提案前章まで、学校における母性のディストピア構造を見てきた。 ここからは、母性のディストピア構造を打ち破り、学校をより魅力的な場所に進化させるための策を考えて行きたい。 とすれば、「いかにして母性のディストピア構造を破壊するか」ということを考察していくことが求められるだろう。しかし、この構造と正面からぶつかって破壊することは、私にはほとんど不可能に思える。 なぜなら、そこには教師のアイデンティティや自己実現の問題が絡んでいるからだ。実際、現在学校で仕事をしている教師

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―⑥安西先生から学ぶ学習理論

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―⑤「教職」「学校」・・・変化を阻害する外的要因

          学校の授業が時代に合ったものに変わっていかない原因は、個々の教員のアイデンティティや職業的な自己実現の志向性に問題がある、というだけではない。むしろその根本原因として、教員の意欲を奪い、能力を発揮することを妨げる”外部的な要因”がある。 この章では、「教職」という職業が、あるいは「学校」という組織が持っている性質を細かく確認することで、その原因と結果を明らかにしていきたい。 「不確実」な仕事の不安 授業や部活動、生活指導など、教員が求められる仕事には「不確実性」が満ちてい

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―⑤「教職」「学校」・・・変化を阻害する外的要因

          「学校」という"母性のユートピア"、あるいは"ディストピア"―④教師はいかにして教室の「秩序」をつくるか

          作家の乙武洋匡氏は、2007年から2010年まで杉並区の小学校で教員をしていた。『だいじょうぶ3組』は、その体験を元に書かれたフィクションの小説で、2013年には映画化もされている。 引用した場面は、子どもたちがとある結果を求めて努力してきたものの、それが叶わず落胆しているところに、乙武氏がモデルとなっている赤尾先生が、その経験を学びに昇華させるべく生徒に語りかけている、というシチュエーションだ(ここに至る過程がとても感動的であるため、ぜひ小説もしくは映画を観てほしい)。 私

          「学校」という"母性のユートピア"、あるいは"ディストピア"―④教師はいかにして教室の「秩序」をつくるか

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―③教師の幸福

          教師たちは、自分たちの職業をどのようなものだと認識しているのだろうか。 大変な点はどこか、何に喜びを見出すのか、その仕事から受け取るメリットにはどんなものがあると感じるているのか。 小学校と中学校の教員が抱いている教職観について、94年以前の少し古い調査になるが、以下に結果を示す。 各項目のパーセンテージは、それぞれの質問に対する「強くそう思う」「ややそう思う」「あまりそうは思わない」「全くそうは思わない」の4択の回答のうち、「強くそう思う」「ややそう思う」の合計である。

          「学校」という"母性のユートピア"あるいは"ディストピア"―③教師の幸福