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神経たち

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室温と体温を計測することにとりつかれた男は都内のあらゆる家の女性たちを監視し続ける。ある日男のもとに訪れた旧友が、男にある依頼をすることから、物語の歯車は動き始める。
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#連載

神経たち #7

神経たち #7

「少し時間がかかりそうだ。別の仕事が入っちゃって」
ケイゴに嘘を付くのは良心が傷んだが、僕はなんだか本当のことをすぐに彼に伝える気になれず。どう伝えるかを考えるのも面倒になって、ただナナコの部屋に仕掛けられたカメラのことを考えながら、悶々と一週間ほどを過ごした。僕が珍しく鍵開け以外のことで鍵屋に連絡すると、彼は面白がった。
「なんだそんなことか。前に言ったろ、アンタ以外にも変な奴がいるんだ、それか

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