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メンバーの話を平等に聞くと、自立性と創造性が高まる(1)

こんにちは。企業や組織の個性を見つけ潜在力を引き出す、オートパイロット経営コンサルタントで中小企業診断士・司法書士・メンタルトレーナーの小野司です。

リーダーが現場に行かないと作業が滞るのをなくしたい、経営を自動化したいという、若手リーダー、経営者様にそのヒントをお届けしています。

私は、現場の自立性や創造性を高めるため、カイゼン活動(小集団活動、グループワークなど)を支援しています。

その活動の中では、
「平等」を活用することで
メンバーの自立性や創造性を引き出しています。

その3つのポイント
①発言回数の平等
②発言時間の平等
③考える量の平等
について、2回にわたり紹介します。

1.発言回数の平等

カイゼン活動に限らず、会議などでも、
ベテランやキーパーソンの発言回数が多く、若手などそれ以外のメンバーの発言回数が少なくなる傾向はあります。

話し役と聞き役というように役割が固定してきます。

そして、話し役は自立的になり、聞き役は依存的になります。
また、話し役は創造的になりますが、聞き役は思考が停止してきます。

そのため、カイゼン活動では、メンバーの発言回数を平等にしています。

やり方は簡単です。
カイゼンリーダー(または、カイゼン活動の進行役)は、席順に端から順番に発言を促すだけです。

トピックスにより、発言するのに適切な方がいれば、順番を飛ばしてその方に発言を求めますが、原則は席順などです。

話しているうちに考えがまとまってきた、
話しているうちにいい考えが浮かんできた、
ということはよくあることです。

創造性は、話すことで作り上げられることがあるのです。

ですから、メンバーの発言回数を同じにし、創造性をメンバー全員の中に育ててゆきます。

2.発言時間の平等

発言回数は同じでも、ベテランやエースの発言は長く、若手は短くなる傾向があります。

また、ベテランはいいことを言います。
もっと聞いていたい、もっと深く話してほしいと思うことも多いです。

それでも、発言時間を若手と同じにします。

そうしますと、ベテランは、要点をまとめて話そうとします。
この”要点をまとめて”というところが、ベテランの創造力アップに効くことがあるのです。

また、ベテランの中には、話が長くなる方もいます。
この場合、カイゼンリーダーが、
時間ですよ、と伝えることで、自分の話の長さに気づけるようになります。

一方、若手の場合は、
何を発言しようかなど考え、考えている(黙っている)時間が長くなることがあります。
この時、他のメンバーはじれったく感じることもあります。

しかし、このような状況でも、カイゼンリーダーは、発言時間の平等を守ります。

そうしますと、若手はがんばって自分の頭で考えて、発言しようとします。
そして、ちょっとしたことでも発言できると自信が生まれます。

  その自信は、自立性と創造性につながります。


他のメンバーは、
このようにやっと発言したことをどのように受け取るでしょうか?

多くの場合、”発見”があります。

この若手は、なんとか発言をしようとしたのです。
そして、自分の頭で考え、自分で言葉を探し、そして発言するのです。

当たり前のような発言でも、その言葉にはエネルギーを感じます。
(ホンダのワイガヤでは、“魂の言葉“といいます)
それも他のメンバーに伝わってくるのです。

そして、ベテランにとっても、若手が考えていることがわかるようになります。

それが発見になります。

あるカイゼン活動での事例です。
その活動では、入社1年目の方から勤続10年以上の課長まで集まりました。

その中に、コミュニケーションが苦手という入社1年に満たない若手がいました。
その方は、自分の頭で必死に考え発言されました。
発言の内容は、ありきたりのものでしたが、課長に伝わりました。

その課長は
「今の若い人は何を考えているかわからない、と思っていた。でも分かってきた。発見があった」
と言われていました。

若手にはそれ以上の発見がありました。
ベテランや役職者の発言を聞いているうちに、考えていることがわかってきました、と言われていました。

世代間のギャップが解消されてきました。

カイゼンリーダーは、この発言時間の平等を事前に伝えておきます。

ベテランに対しては、話が長くなった時、
発言時間の平等のルールなので、途中ですが話を切らせてくださいと伝えます。

若手に対しては、考えて(沈黙して)いる時、
だまって、そして見守りながら発言を待ちます。

この時、リーダーが若手にすることは、
「じっくり考えれば、発言できる。」
「大丈夫。ゆっくり考えて。」
など、ココロの中でエールを送り、信じて待つだけです。

リーダーの見守っているという空気感が、他のメンバーにもなぜか伝わるのです。

このように平等は、自立と創造を高めるのです。

次回は、もう一つの平等、③考える量の平等について紹介します。

みなさまのヒントになりましたら、とてもうれしいです。


平等については、拙著『ちっちゃな「不」の解消から始めるカイゼン活動』p88にございます。参照いただけたらうれしいです。


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