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なぜ部下は上司に似てくるのか。なぜ現場の人は社長に似てくるのか(2)

こんにちは。企業や組織の個性を見つけ潜在力を引き出す、自動操縦経営コンサルタントで中小企業診断士・技術士(経営工学)・メンタルトレーナーの小野司です。

リーダーが現場に行かないと作業が滞るのをなくしたい、経営を自動化したいという、若手リーダー、経営者様にそのヒントをお届けしています。

前回・今回と、なぜ部下は上司に似てくるのか、ということを心理学的な視点を入れて、感じていることを紹介させていただいていますます。


部下の多くは、上司に認められたいものです。
上司から高い評価を受けたく、低い評価を受けたくないものです。

手取り早く認められるためには、部下は上司をまねるようになります。
(上司から低い評価を受けるようなことはしないようになります。)

一方、上司の悪いところも似てきます。

例えば、上司が会議に遅れてくることが多かったとします。
この場合、部下は少しくらい遅れても大丈夫と思うようになります。
(少しぐらい遅れても評価を下げないと無意識に思います)

もちろん、会議の時間をキッチリ守る上司であれば、
部下も(無意識に認められたいので)時間を守るようになります。

カイゼン活動で感じるのは、

「部下は、上司のいいところより悪いところの方が似てくる」という点です。

さらに、
「上司も、社長のいいところより悪いところの方が似てくる」
ことが多いように感じます。

心理学に「代理強化」という概念があります。

部下Bがある行為をして、上司に認められた場合、
部下Aは、自分も同じようなことをしよう、
という思いを抱く、というものです。

これは悪い面でもあてはまってしまいます。

部下Bは会議に5分遅刻してきたとします。
そして、上司は部下Bに対し、何も言われなかったとします。
それを見ていた部下Aは、5分くらい遅刻しても大丈夫と思うようになります。

このようにして、会議の5分の遅刻グセが組織全体に広がってゆきます。

この場合、社長も会議に5分程度遅れてくる人であることも多いです。

(部下Aの)上司が5分以内の遅刻をした場合、
社長も遅刻グセのある人であることから、
その上司を注意しなかったとします。

社長も、自分を棚上げすることになり、注意はしにくいものです。

そうしますと、その上司は、5分くらい遅刻しても大丈夫と思うようになります。

このようにして、社長の振る舞いが、末端の部下まで似てくるのです。

ある会社の事例です。

カイゼン活動がドタキャンになりました。

日程調整のため、キーパーソンに電話をかけても忙しくて電話に出てもらえません。さらに折り返しもありません。

それが続き、カイゼン活動の次の日程が決まらないという組織がありました。

ある時、その組織のトップに電話しました。忙しくて出ていただけません。2〜3回電話しましたが、数日経っても折り返しもありませんでした。

注.その時は、たまたまで、いつも折り返しがないわけではありません。

その後、現場の方に聞いてゆきますと、
・電話は出なくても大丈夫(作業中で手が開かないのだから)
・折り返ししなくても大丈夫(なんとかなるだろう)
のように思っていることが分かりました。

トップの振る舞いが、現場まで似てきているのです。

一種の代理強化でもあります。

これを受けて、リーダーどのように行動すればいいでしょうか?

トップやリーダー自身が変わると、メンバーも変わる、と思うことです。
メンバーの悪いところは、トップやリーダーの行動に似ていないか、と振り返ることです。

人間は弱くて、楽をしたい生き物です。
メンバーが楽をする方向で行動すると、
悪いところの方が似てくることことが多いのです。

若き変革リーダーのみなさま。
リーダーが変われば、メンバーは変わってきます。
メンバーには承認欲求がある、と考えると理解できてきます。

みなさまのヒントになりましたら、とてもうれしいです。


よろしければ、下記もご参考になさって下さい。
拙著『ちっちゃな「不」の解消から始めるカイゼン活動』日刊工業新聞社(p56)



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