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プロダクトの作り方。

僕は2id Architectsとして、建築家・インテリアデザイナーとして活動する一方、アウトドアブランド we know enough< も運営している。アウトドアブランドでの活動は建築家としての業務範囲と違い、文字通り0から100まで自分達でやっている。

ブランドのコンセプトを考え、商品を企画し、市場をリサーチし、実際のプロダクトをデザインする。製作会社を探し、金額や仕様について交渉し、生産管理をして、商品の組み立てまで行う。まだ終わらない。商品の在庫管理をしながらECサイトの運営、顧客対等、卸先とのやりとり、各メディアへの広報活動、SNS運用、広告、そして、最後は商品の配送作業までも行なっている。

建築家の仕事とはもちろん規模や時間軸は全然違うが、自分でブランドを持つこと、小さくても事業を運営するということは、いかに学びが多いかがわかる。

そして、これだけ多岐にわたる業務を建築家としての活動の傍ら、もうひとつの仕事としてこなせているのは、自分のちょっとしたコンプレックスでもあった、器用貧乏さが意外な形で役に立ってくれている。

今回はその中でも、商品開発・プロダクトデザインについてを、僕なりにどのようにやっているかを、先日一般発売を開始した「mikke」の例を元に書いてみたいと思う。もしかしたらその手のプロからしたらトンチンカンなやり方かもしれないが、それも含めて、参考にしてもらえたら嬉しい。

①案出し

まずは案出し。これはどの業界、職種でも共通する部分だとは思うが、まずはひたすら案を出す。あまり深く考えずに直感的にやってみたいこと、興味関心のあるもの。トレンドなもの。ブランド的にやったら面白そうなもの。この時点では特に制約を設けず出来るだけ多くのアイディアをテーブルの上に並べる。

カードゲーム、エプロン、マルチバッグ、キャンドル、サイドテーブル、薪スタンドなどなどなどなど。あげたらキリがないがまずは思いつくままに書き出す。

②判断軸を決める

次はテーブルに並べたアイディアを整理していく作業。つまり案を絞るための判断軸を何本か選ぶ。実際に僕たちが大切にした判断軸がこれらだ。

*ブランドコンセプトを体現できているか?
*新しさ、新しい価値を作れるか?
*僕らがこれを作る意味があるのか?

僕らのブランドとして大事にしている価値観として、「作る責任」という考え方がある。ものが既に溢れている世の中で、なぜ新しい物、商品を作る必要があるのか。自分達の私利私欲のためではなく、社会にとって本当に必要な物なのかどうか。

これらを想像しながら、出てきたアイディアをもう一度見渡しながら、次の作業に移る。


③課題の整理

改めて現状の課題を整理してみる。ここでいう課題というのは、社会課題について。自分は、みんなはどんなことに困っているだろうか。実体験を踏まえて、想像を膨らませてみる。今回出てきた課題は、

キャンプって実際結構暇だよね。というか子供達が時間を持て余すことが多い。Youtube見たいとか言い出す始末。それではわざわざキャンプに来た意味がない。親としてはもっと自然触れ合ってもらいたい。ファミリーキャンプにおいては、ある種の教育的な意味合いをもって遊んでいる人も多いと思う。

時間が潰せて、自然と触れ合う、僕らのブランドコンセプトでもある、「自然を想う時間をつくる」に繋がるプロダクトもしくはアクティビティはないだろうか。

といった具合に。ここでようやく、②の判断軸にマッチしながら、③の課題を解決をするアイテムの方向性が見えてきた。

「自然を想う時間をつくる、新しいアウトドアのアクテビティをデザインする」

1stプロダクトの焚火台もそうだったが、なにかしらの課題を見つけ、解決するというのが、結果として新しい価値や、自分達がそのプロダクト作る意味。に繋がってきている気がする。


④アイディアを形に

ここからは一気にアイディアを形にしていく作業なわけだが、僕はモノのデザインにいきなり入るのではなく、まずは言葉を大切にしている。いわゆる言葉先行タイプだ。

その商品の核となるアイディアや魅力を一言で伝えられる言葉をひたすらに探す。ここが見つかれば、デザインの半分が終わったとさえ感じられる。(実際はそんなことはないが、そのくらい大切な軸になる。)

mikkeの場合は、こうまとめた。

「自然とかくれんぼする。カモフラージュゲーム」

自然をモチーフにしたアイテムを、自然の中にカモフラージュさせて遊ぶ、宝探しのようなゲーム。自然を観察真ながら遊べるゲーム。その時にまとめたラフ案がこれだ。

コンセプトを形にしたラフデザイン案

⑤デザインの作業

こうなれば、あとひたすらデザインを詰める作業だ。具体的には、まずは形のデザイン。自然をモチーフにした形状を考える。「はっぱ」「くさ」「いし」「はな」「むし」などをキーワードにデザイン進めた。さらにそこに当てはめるカモフラージュ柄をひたすら考える。といった具合だ。

フォルムのデザイン案

⑥生産とパッケージデザイン

これ以降は、製作会社を探し、サンプルを作り、微調整をしてといったように進めていくわけだが、もうひとつ大切なのはパッケージデザイン。
お客様にとって初めて目にするのは、商品自体ではなく、その箱になる。箱にはどんな情報を載せるのか載せないか。どう興味を引くか、箱を開けた瞬間にはどんな驚き、体験を提供できるかなどを徹底的に考えながら、デザインを進める。
今回は長くなりそうなので、パッケージデザインについてはこのあたりに留めておくが、パッケージの形についても1mm単位で調整したり、かなりこだわりを持って作っている。

こんな具合で「mikke」が完成していった。
we know enough<は、ゆったりとした時間軸で進めていることもあり(これが僕らなりの持続可能な運営方法)、 このような進め方になっているが、一般的なブランドは、これらの作業を年間に何度も繰り返し、かつ様々な種類の商品を開発しているわけだから、本当に頭が下がる。

以上、ひとつの商品が生まれるまでについて、整理してみたが、もし新しく事業を始めようとしている方、ブランド等を立ち上げようとしている方の、何かしらの参考になったら嬉しい。

ということで、11月より新発売した「mikke」是非よろしくお願いいたします!買ってね♡


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