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レジ袋の有料化はコンビニにとって一石三鳥

プラスチック削減のため、コンビニ等のレジ袋を有料化しようという話が進んでいます。私が驚いたのは、コンビニがこれに反対していたという事です。最近になってようやく反対を取り下げたようですが。

レジ袋の有料化は、コンビニにとって一石三鳥の大変喜ばしい話です。第一に、客の一部がマイバッグを持参してレジ袋を受け取らなくなるので、今まで無料で配布していたコストがその分だけ削減できます。第二に、残りの客がレジ袋の代金を支払うので、その分だけ収入が増えます。第三に、コンビニも環境問題に真剣に取り組んでいるというイメージを顧客に与える事ができます。

コンビニの社長としては、「わが社だけがレジ袋を有料化すると、顧客をライバルに奪われてしまうから、有料化は出来ない」と考えているはずです。これがいつの間にか頭の中で「レジ袋の有料化は行うべきではない」に変化し、「政府の有料化案には反対だ」になってしまったのかも知れません。

そうだとすると、それは大変残念な事です。本来であればコンビニ各社が「公正取引委員会に内緒で談合」してレジ袋を有料化すべきなのです。今回のレジ袋の有料化は、それを政府がやってくれる「官製カルテル」なのですから、有り難く受け取るべきものなのに、それに反対していたわけですから。

合成の誤謬という言葉があります。皆が正しいことをすると皆が酷い目に遭う、ということで、たとえば劇場火災の際に皆が非常口に向かって走ると悲惨な事が起きる、といったものです。今回はその反対ですから、逆合成の誤謬とでも呼びたい気分です(笑)。各社が有料化するのはライバルに顧客を奪われる愚策ですが、皆が一斉に行えば皆が儲かる、というわけですから。

合成の誤謬については、よほど想像力を働かせないと事前には何が起きるのか予想できないため、様々な問題が起こり得ます。逆合成の誤謬についても同様です。

私の記憶に焼き付いているのが、80年代の対米自動車輸出自主規制です。米国の圧力を受けた日本政府が自動車各社に対して「対米輸出台数を減らすように強制した」のです。これに対して自動車各社は反対しましたが、結果としては米国市場で日本車が品薄となり、日本車が高値で売れるようになり、自動車各社は利益を得ることが出来ました。これも、官製カルテルだったわけですね。

自動車の場合は、「輸出台数を減らしても価格が上がらずに自動車会社の利益が減るだけ」という可能性もあったので、反対した人にも一理はあったわけですが、今回のコンビニはそうした可能性が考えられないので、反対する理由は無いと私は考えています。


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