労働生産性が上がると賃金は上がるのか?

「過剰サービスが無くなると労働生産性が上がり、賃金も上がる」という事が、起きるのでしょうか?

過剰サービスを減らしたことで店の従業員が2人から1人に減れば、(ライバルに客を奪われる事さえ無ければ)労働生産性は2倍になり、企業は儲かるでしょう。しかし、企業としては、「儲かったから、給料は2倍にしてあげる」とは言わないでしょう。高度成長期の「会社は家族、企業は従業員の共同体」と言われていた時代ならともかく、今は「企業は儲かったら株主に配当する」時代ですから。

理論的には、「店を出せば儲かるのだから、もう1店増やそう。そのために、人を雇おう」という会社が増えて、労働力の需給が引き締まり、賃金が上がる、という事が考えられますが、現実にはそうならないでしょう。

一つには、「各社が新しい店を出したら、競争が激化して儲からなくなる」からです。さらに深刻なのは、2人でやっていた仕事を1人でやる店が増えると、余った1人が失業するので、労働力需給が緩み、賃金が低下する可能性です。

P.S.

「単位労働コスト(労働者の給料を1人あたり生産量で割った値)」は、取り扱いに注意が必要です。景気が回復すると、今までヒマだった社員が忙しく働くようになり、1人当たりの生産量が増えるので、単位労働コストが下がる場合が多いからです。

「単位労働コストが物価を決める」と考えると、景気回復は物価押し下げ要因となってしまいますが、そんな筈はありません。

「単位労働コストが下がらないように賃上げする」のでは、景気が回復しても、企業の利益は不況期のまま増えません。そんな筈もありません。

景気がずっと高水準で完全雇用状態が続いている時であれば、「賃金の上昇が単位労働コストの上昇を通じて物価上昇圧力となり始めた」といった事が言えるのですが。

https://comemo.io/entries/885

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