景気回復でも賃金が上がらない理由は「株主主権」では?
記事中の「一つの企業に長く勤める意識が強いと賃上げしない」というのは、理屈はわかりますが、それはバブル期もそれ以前も同じでしたから、バブル期と今を比べる議論には使えません(笑)。
「労働生産性が上がらないから賃上げ出来ない」というのは、一面では真理ですが、絶対では無いので注意が必要です。労働生産性が上がると少ない人数で生産できるので、雇用が減り、失業が増え、賃金が下がる場合もあります。また逆に、労働生産性が上がらなくても儲かっているのだから、「賃上げして労働力を確保すれば更に儲かる」と考えて賃上げする企業も多いはずです。
バブル期と今の最大の違いは、「企業は従業員の共同体だから、儲かったら配当ではなく賃上げをする」から「企業は株主のものだから、儲かったら賃上げではなく配当する」への変化でしょう。
こうした「企業文化」の変化が景気回復を妨げているのです。労働者は賃上げ分を消費しますが、投資家は配当分を再投資しますからね(笑)。
以下、引用です。現状の問題は「労働需給が引き締まっても、賃金上昇率に与える影響が弱くなっている」ことだと指摘。その要因として、バブル期と比べて投資が不足しているため、労働生産性の向上が進まず賃金上昇に寄与しにくいことをあげた。一つの企業に長く勤める意識が強いなど、労使のリスク回避姿勢も賃金上昇を抑えていると分析した。