気づけばネガティブを払拭していた
その日の午前中、私はひとり悶え苦しんでいた。
あと数分で面接が始まろうとしている中、前日に突如として発したネガティブな思考に捉われたまま気持ちが切り替えられず、今すぐにでも逃げたいという焦燥に駆られている。
この場でひとり、言葉にならない悲鳴や奇声だの唸り声などを上げようが、定刻が間近に迫ってきている以上どうしようもない。どう振舞ったとしても、どのみち悪い方向に転ぶことは目に見えていた。
この日の面接を受ける二日前に、私は別の会社で面接を受けてきたばかりである。そこで面接官からは、これまでの経歴や志望動機に退職理由をはじめとした、どこの企業を受けても必ず質問される事項を聞かされた。
その他には、応募している部門がとある専門職であるため、それに付随する細かい技術面について根掘り葉掘り尋ねられた。途中でしどろもどろになりながらも、ほとんど固まってしまうことなく、自分なりに答えられたつもりでいた。
選考結果は来週あたりに通知する予定だと、面接官と同席していた採用担当の方からそう伺っていた。しかし翌日の夕方頃、その結果を知らせる一通のメールが届いたのである。
文面に書かれた内容を一通り目に通した後で、私はがっくりと肩を落とした。予想していたものとは、まったく相反する形となった結果となってしまったのだ。そう理解した時には、自分の思考は黒い霧のようなネガティブに取り憑かれていた。
それよりも、今回の結果をどう捉えるべきなのか。既に採用側で自分よりも良い人材を見つけたため、その消化試合なるものとして、はじめから落とすつもりでの形として面接を設けたのか。
であれば、はじめから面接の機会を設けることなく、書類選考でいっそのこと落としてくれれば良かったのに。そうすれば、こちら側が余計なしこりを生むことなく、平然として他でも受けることができたものを。
考えれば考えるほど、自分の内にある怒りや苛立ちといった負の感情が、次々と露わになっていく。それほど通知を受けた今回の結果に関して、特にタイミングにおいて納得のいかない感想を心の底から抱いたのだと思う。
そんな唐に過ぎてしまったことを、今更になって言葉に変えて書き殴ったとしても埒が明かない。なんにしても、後味の悪い結果を目の当たりした私は、瞬時に発生したネガティブをなかなか払拭できないまま、次に行われる面接を控えていた。
今回の面接では、昨今で主流になりつつあるオンライン形式で行われる。現地に出向いて余計なプレッシャーを感じることなく、自宅で受けられることが唯一の救いであった。
その点においては、ネット環境がリモートで配信できる環境まで整った、今の時代に感謝すべきなのだろう。
これでもし仮に、従来の対面形式で行われるのだったら、自分自身の気持ちの整理がつかないまま、おそらく仮病なり社交辞令な理由を託けてバックれていたかもしれない。
「ところで、なんのはなしですか?」
話は冒頭に遡る。もはやどんな結果に転ぼうが、タイミングが悪かったと云って弁えるしか手段はないのだろう。これまでに過ごしてきた日々が、すべて「今」に繋がっているのだとしたら、甘んじて受けるしか道は開かれない。
だからこそ、至る所が準備不足だと痛感して、成す術もなくじたばたしても、時間はまたここから先も刻々と消えていくのだ。
すべてを受け入れた上で…いや、すべてを受け止めきれなくても。これより先に、踏み出していくことの意味を忘れなければ、まだ自分を律してやっていけるはずだ。
そして、面接を受ける企業側からメールで貰っていた、Webミーティング用のサイトを立ち上げるとー
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