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落葉を探し出しては落日を思い出した

ここ最近になってよく活用しているSpotifyで、昔に親からカセットテープを通じて聴かされていたとある楽曲をふと探し出しては、改めて聴く機会が増えてきた。

特に強い印象を持っていたのは、私が幼稚園生だった頃であった。その当時は弟が生まれた頃であり、世間ではミスチルが次々と曲をリリースしては瞬く間にミリオンセラーを叩き出す、まさに空前絶後の年でもあったと記憶している。

その中で私が探していたのは「ICEBOX」という、森永でお馴染みのアイスと同じ名前のユニットが発表していた「落日」というバラード調の楽曲である。
私はそのアーティストと題名を自ら再び見つけ出すまでしばらくの間、それがDREAMS COME TRUEの「落葉」だと勘違いをしていた。

ヴォーカルの歌い方や流れてくるサウンドから、朧げにドリカムに似ているなと思い込んだままあちこち検索をかけていたが、なかなかそれらしき曲は見つからなかった。
そもそも、ドリカムがその年あたりにリリースした曲に「落葉」や「落日」というタイトルはまず見当たらない。

結局あの歌声はドリカムでもなければ、曲名が「落葉」でもなければ、いったい誰があれを歌っていたのだろうか。
そんなふうにしてまた四六時中探す…とはいかないが、自分なりに捻って思い出したのが「愛してると絶対に言えない」というサビから始まる歌詞だった。

そこから検索をかけて辿り着くことができたのだが、CDは既に廃盤になっていてサブスク上でも配信されていない。
今から4年ほど前に「冷たいキス」という彼女らのデビュー曲が、令和元年ver.と題してリテイクしたものが配信されているが、お目当てである「落日」は今もなお現れていない。

忘れた頃にきっとまた配信されるだろうと信じて、一先ずその楽曲だけをiTunes Storeから落とし込んでみるのだった。

あの当時もこうして純粋に、心が落ち着くだとか秋がやってきたなどの単純明快な感想を持って聴いていたなと、何年振りに耳にしながら思い出していた。
それに浸るのも束の間「引き止めては 絶対にいけない」という2番のサビから始まる歌詞に、妙な切なさを覚え始めた。

「この曲って、こんな歌詞があったっけ?」と疑問を感じつつ、何度も繰り返し聴き続けている。やがて一度聴き終わったところで、ほろ苦い日々を綴った青春時代が走馬灯のように駆け巡り、不意に上を向いてしまった。そしてようやく思い出した。


子供であった頃は、メロディーと歌声だけで「良い曲だな」と心地よさを覚えていたはずだった。
年齢を重ねて大人になり改めて聴いた時、どうしてこんなにもどかしくも胸が締め付けられるような感覚に、今更ながらなってしまうのだろう。
ヴォーカルの吉岡忍氏は、その「落日」を絶対に暗い雰囲気で歌ってはいないはずなのに…。

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