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政治(金融)講座ⅴ1258「共通通貨構想」

 物やサービスとの交換に用いられる「お金」を、経済用語では貨幣、または通貨と呼ぶ。貨幣は商品交換の際の媒介物で、価値尺度、流通手段、価値貯蔵の3機能を持つもののことである。貿易における決済には自国通貨(貨幣)は、価値尺度、流通手段、価値貯蔵の3機能として機能できるかは当事国のみならず、第三国にその機能を要求できるであろうか、要は第三国が喜んで受け取ってもらえる通貨(貨幣)であるかであろう。例えば、インドの通貨(貨幣)ルビーは為替規制があり取引できないのである。それぞれの国にはそのような自国通貨(貨幣)を守るための資本取引規制をしている。
国際市場で、他国の通貨と容易に交換が可能な通貨のことをハードカレンシー(英: hard currency)と呼ぶ。
 金本位制の時代に、いつでもハード(硬い金属の意、つまり「金」)な正貨と交換可能な通貨というのが語源である。ハードカレンシー以外の通貨はソフトカレンシー(英: soft currency)やローカルカレンシー(英: local currency)と呼ばれる。

通貨が「ハードカレンシーであるための条件」

以下の条件が挙げられる。

  • 国際的に信用があること

  • 発行国が多様な財を産出していること

  • 国際的な銀行における取引が可能なこと

  • あらゆる場所での換金が可能なこと

明確な基準は存在しないため、どこまでをハードカレンシーに分類するかは、論者によって一定ではない。
一般にアメリカドル・ユーロ・日本円を指して「世界三大通貨」「G3通貨」と呼ぶ。
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのBRICS諸国は自国通貨発行権を放棄して、通貨発行銀行を発足させて、統一経済圏をつくり、自主経済政策は放棄せざるを得なくなる。ギリシャの経済危機は粉飾した国家運営に起因するのであるがBRICS諸国の経済危機の対応は加盟国全部に及ぶ。今中国の経済危機が騒がれている昨今において、通貨統一に等しい共通通貨でその通貨の信用維持は難しいものと思われる。今回は BRICS諸国は共通通貨の開発を検討しているという報道記事を紹介する。

     皇紀2683年8月7日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

ブラジル大統領 BRICS諸国は共通通貨を開発すべき

8/4(金) 19:36配信

【8月4日 CGTN Japanese】ブラジルのルーラ大統領は現地時間2日、大統領官邸で記者会見し、今月末に南アフリカで開催される第15回BRICS首脳会議に期待を寄せ、BRICS諸国は米ドル依存から脱却するため、共通通貨の開発を検討すべきだと改めて強調しました。  ルーラ大統領は「私が国家間の貿易に自分たちの通貨を使うことを支持していることは誰もが知っている。このことについて公に意見を表明してきた。なぜブラジルが中国やアルゼンチンとビジネスをする際にドル決済が必要なのかわれわれは独自の通貨を使うことができる」としたうえで、「新開発銀行(NDB、通称:BRICS銀行)は発展途上国の経済発展を確実に後押しし、世界的な不平等を減らすのに役立っている」と述べました。  ルーラ大統領はまた、BRICSの拡大を歓迎し、「BRICSへの参加資格のある国の加盟を認めることは、われわれにとって非常に重要だと思う。世界的な観点から見ても、BRICSは経済において重要な役割を果たすことができる」と語りました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News

BRICSに共通通貨? 脱「米ドル依存」では一致も、高いハードル

有料記事

ブエノスアイレス=軽部理人 北京=西山明宏2023年6月2日 6時00分

 1日から外相会議が始まったブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)では、基軸通貨の米ドルへの依存から脱却し、共通通貨の創設を求める声も上がっている。「非米欧」の対抗軸として存在感を高めるBRICSだが、共通通貨構想をめぐる各国の思惑には温度差があり、実現へのハードルは高そうだ。

 共通通貨構想を積極的に支持しているのはブラジルだ。貿易などでの米ドルの覇権に異を唱えるルラ大統領は4月に中国を訪問した際に、「なぜBRICSには、自らの共通通貨がないのか。なぜ世界が、必ず米ドルで取引しなければならないのか」と訴えた。中国はブラジルにとって最大の貿易相手国で、中国メディアによると、両国間の貿易で人民元決済を始めるとしている。

他国の危機が自国のリスクに

 ただ、中国側の立場は微妙だ。ルラ氏は習近平(シーチンピン)国家主席との会談でも構想を伝えた模様だが、中国メディアは提案についての習氏の態度や政府の反応を報じていない。

 国内総生産(GDP)世界第2位の中国は、経済力がBRICSの中で突出している。仮に共通通貨をつくれば、他国は中国経済の信用力の恩恵を受けられる可能性がある。だが、中国にとっては他国の経済危機が自国に波及するリスクも生まれる。

参考文献・参考資料

ブラジル大統領 BRICS諸国は共通通貨を開発すべき(CGTN Japanese) - Yahoo!ニュース

BRICSに共通通貨? 脱「米ドル依存」では一致も、高いハードル:朝日新聞デジタル (asahi.com)

政治講座ⅴ1075「基軸通貨の条件を中国の『元』は満たすか?」|tsukasa_tamura (note.com)

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