見出し画像

政治講座ⅴ1112「『債務の罠』解決へ協議(スリランカ)」

 中国はGDP世界2位と言われながら、未だ発展途上国の甘い汁を吸おうとして先進国入りを頑なに拒んでいる甘ったれの国である。先進国としてODA支援をすべきなのに正反対のことをしている。「一帯一路」の構想の下に他の発展途上国に借金をさせ、インフラ整備に関する人員は中国人、資材・機材はすべて中国製品を使い、現地人を使わず、現地の資材を使わず、融資した資金すべてを吸い上げて、現地の政府・国民には借金と収益性の無いインフラ設備だけが残り、債務不履行に陥る事例が多発している。悪質な悪徳商法として極まった『債務の罠』である。今回はそれらの報道と日本のODAを対比して紹介する。なお、中国は発展途上国を主張して近年まで日本からODA支援を受け、その資金をインフラ投資に充当することなく軍事費に使っていたことを申し述べる。恩をあだで返す国であることは世界中で嫌悪されている。

     皇紀2683年5月27日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

日本のODAにおける4つの特徴

(1)自助努力支援(オーナーシップの尊重)

 そもそもODAの最終的な目的は、途上国が援助を受けなくても自国の経済活動だけで国を運営できるようになることであり、その経済成長の基盤を作ることにあります。

 つまり一時的な支援で終わりではなく、被援助国が自らの力で経済成長していこう(=自助努力)という気持ちを起こさせる必要があるのです。そのため、日本のODAでは自助努力の促進が重視されています。実際、外務省が公表している政府開発援助大綱(*1)では、基本方針の1番に以下の文があります。

(1)開発途上国の自助努力支援
良い統治(グッド・ガバナンス)に基づく開発途上国の自助努力を支援するため、これらの国の発展の基礎となる人づくり、法・制度構築や経済社会基盤の整備に協力することは、我が国ODAの最も重要な考え方である。このため、開発途上国の自主性(オーナーシップ)を尊重し、その開発戦略を重視する。(一部抜粋)
                                 (出典:外務省

 日本のODAでは、有償資金協力(円借款)を通じて自助努力を促しています。下の円グラフを見てみると、多国間援助の約半分、二国間援助の6割以上が有償資金協力だと分かります。有償資金協力を純粋な国際協力という意味でODAと見なすことに後ろ向きな国もあり、ODAにおける有償資金協力の割合がここまで大きい国はほとんどないです。ちなみに、開発援助委員会(DAC:Development Assistance Committee)が発表した2018年度のデータでは、日本の援助の6割以上が有償資金協力だったのに対し、DAC加盟国(簡単に説明すると先進国の集まり)の平均は2割そこそこでした。


(2)要請主義

 要請主義とは、公式に途上国から日本国政府に「こういう援助をして欲しい!」という要請に基づきODAを検討・実施することです。(*3) これは、上記の自助努力支援と密接につながっています。途上国自身が自ら考え要請を出すことで、自分の国に何が足りていないのか、考えて行動するきっかけになるためです。

 しかしながら、途上国側に任せてもなかなか要請を出せないことも多いため、実際には官民問わず様々な日本の関係者が案件形成のために活動しています。

(3)インフラ整備に関わる案件が多い

 インフラは経済成長の基盤として不可欠です。ここでいうインフラとは、港湾や空港(輸出入)、道路や鉄道や橋(内国輸送)、発電所や下水処理場、送電線や下水管の整備などです。インフラが不十分だと、発展に必要な資機材の運搬や利用、住民の生活基盤の向上がとても難しくなってしまいます。

 さらに営業活動や生産拠点の設置などが難しく、民間企業からの海外投融資の資金も集まりにくいです。インフラの整備は基本的に円借款で支援されます。これも自助努力支援の方針に基づいており、インフラを整えることで、その後は途上国自身の頑張り次第で、発展できる国の基盤を作るのです。

(4)アジア地域への支援が多い


2018年版開発協力白書(*4)のデータを基に、援助対象国の地域別割合をまとめています。
 この資料に見ると二国間ODAの約7割がアジアに集中していることが分かります。外務省が作成した政府開発援助大綱における重点課題として、「日本と緊密な関係を有し、日本の安全と繁栄に大きな影響を及ぼし得るアジアは重点地域である。」(*3)と書かれています。地域的にも近く、政治的・経済的にも密接な関係があり、成長率の高いアジアとの関係は、日本の経済と安全保障の面でとても重要だということですね。



中国の「債務のわな」解決へ協議 日スリランカ首脳会談

1 時間前

岸田文雄首相は25日、スリランカのウィクラマシンハ大統領と官邸で会談した。経済危機に直面するスリランカの債務再編に向け、全ての債権国が参加する透明で公平な協議が重要だとの考えで一致した。同国は、途上国を借金漬けにして権益を奪う中国の「債務のわな」に陥っているとされ、中国に責任ある対応を求める狙いがある。

首相は会談冒頭、スリランカは「『自由で開かれたインド太平洋』の実現のための重要なパートナーだ」として、「両国の包括的パートナーシップのさらなる発展に向けて議論をしていきたい」と表明した。

ウィクラマシンハ氏は「日本の助けなしに債務再編をこれほど迅速に行えなかった」と述べ、過剰債務問題の解決に向けた日本の支援に謝意を伝えた。

政府は4月、フランスやインドと共同でスリランカの債務再編に向けた債権国の協議体を発足させた。今月から本格的な議論を始めたが、最大の債権国である中国はオブザーバー参加にとどまり、中国の対応が最大の焦点となっている。

スリランカは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」関連の投資を受けて対中債務が増加返済に行き詰まり、2017年に南部ハンバントタ港の運用権を中国側に99年間貸与することとなった。22年には、新型コロナウイルス感染拡大で外貨獲得の主力産業だった観光業が影響を受けて外貨不足に陥り、デフォルト(債務不履行)状態となった。

債務協議「11月までに終了」=スリランカ大統領、岸田首相に謝意

3 時間前

首脳会談を前に握手する岸田文雄首相(右)とスリランカのウィクラマシンハ大統領=25日、首相官邸© 時事通信 提供

岸田文雄首相は25日、スリランカのウィクラマシンハ大統領と首相官邸で会談した。同国は、中国などからの借り入れで事実上のデフォルト(債務不履行)に陥り、日本が主導する多国間会合で救済に向けた協議を進めている。大統領は日本の支援に謝意を伝え、「11月までには債務再編の協議は終了すると予想する」との見通しを示した。


岸田文雄首相(右列手前)とスリランカのウィクラマシンハ大統領(左列手前から2人目)の首脳会談=25日、首相官邸© 時事通信 提供


参考文献・参考資料

中国の「債務のわな」解決へ協議 日スリランカ首脳会談 (msn.com)

債務協議「11月までに終了」=スリランカ大統領、岸田首相に謝意 (msn.com)

【5分で読める】日本のODAにおける4つの特徴とは?~自助努力を引き出す仕組み~│国際協力 基本のキ (kokusaikyoryokuguide.com)

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?