見出し画像

政治講座ⅴ905「今の中国はバブル崩壊後の日本とそっくり」

以前から「中国よ日本に学べ」・「日本を他山の石として」と再三忠告をしてきたが、「中国経済に忍び寄る新たな日本かの波」という記事がでたので、「我が意を得たり」と思いその記事を紹介する。

     皇紀2683年3月7日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国経済に忍び寄る新たな日本化の波

米シティが警鐘、不動産バブルは20年前の日本並み
2023.3.2(木)Financial Times

(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年2月27日付)

1世代前のことは人間は容易に忘れるものだ(写真は暮れなずむ上海の街)

 日本は今後数カ月で、恐らくは忘れたい記念日を相次ぎ迎える。

 だが、中国の指導部にとっては、しっかり認識しておくのが賢明な日付だ。

不動産バブルによって時計がチクタクと動き出した時限爆弾の爆発だからだ。

 何しろ昨今は、一部の人に言わせれば、明らかにこだまが響く時代だ。

 新たな調査リポートは、用心を怠ると、中国は新たな日本化の波に向かう恐れがあると示唆している。

20年前に日本を襲った時限爆弾

 2003年に、日本はもう万事が順調だと自らを騙すことができなくなった。1990年代は同国を、一時は米国を追い抜けるように思えた軌道から突き落とした。

 その後、1980年代の虚飾の時代に山のように積み上がった不良債権の処理を誤ったことで、日本が易々と回復できるという見通しがつぶれた。

 それまでの3年間に日本政府によって促された銀行の大型合併だけでは、互いに絡み合う未解決の危機の数々をごまかせなかった。

 2003年3月、三井住友フィナンシャルグループは巨額損失を抱えるなか、パニックめいた子会社との逆さ合併に踏み切った。

 4月には、銀行最大手の一角を成すりそな銀行の足元が揺らいでいる最初の兆候が現れ始めた。

 5月になると、170億ドル規模の国有化(公的資金注入)計画で納税者が同行を救済した。年末にかけて緊急クラクションが鳴るなか、かつて一流地銀だった足利銀行が破綻した。

 こうした出来事はすべて、もっと早くに爆発していたら被害がはるかに小さかったかもしれない先送りされた爆発だった。今の中国はバブル崩壊後の日本とそっくり

 問題は、米シティグループのアナリストチームが先日宣言したように、今日の中国がポスト不動産バブル時代の日本と「驚くほどよく似ている」ように見えることだ。

 中国の人口は現在、何年も前の日本と同じように縮小している。

 両国の人口動態は、1990年以降、35~54歳の年齢層が減少するに伴い日本の住宅価格指数が低下したことを思い出させる材料だ。

 シティのリポートは、中国の銀行システムの潜在的なリスクに重点的に警鐘を鳴らしている。

 シティグループは類似する複数の分野を特定している。

 日中両国ともインフラ投資と輸出の奨励によって、力強い国内総生産(GDP)成長を遂げる長いフェーズに入った。

(日本の高度成長は戦後の時代に始まり、中国のそれは2001年の世界貿易機関=WTO=加盟後に始まった)

 世界銀行によると、2010年から2020年にかけて、中国のGDP成長に占める資本形成の割合は平均で43%だった。

 1990年にバブルが崩壊した時点で日本の資本形成比率はおよそ36%で、非常に高いと見なされていた。

企業経営より儲かる金融投機

 日本と中国は経済成長を賄う方法も似通っていた。

 日本のバブル時代の燃料となったのは投資銀行によって提供される間接金融で、銀行は政府当局から、優遇される産業へソフトローン(低利融資)を回すよう促された。

 シティグループによれば、中国も同様に、主に間接金融に依存する金融システムを構築した。

 中国人民銀行(中央銀行)が利用できる政策手段に加えて、政府は一連のメカニズムを介して投資銀行の融資活動を方向付けることができる。

 日本の1987~89年の不動産・株式バブルは、当局が内需拡大を促すために緩和政策を導入した後に最も急激に膨らんだ。

 借り入れが劇的に拡大し、流動性が株式と不動産につぎ込まれ、企業にとって金融投機が実際の企業経営よりも儲かるところまで行った。

 それから数十年後に中国もまた、実体経済と金融システムの乖離を許した。

 シティの推計によると、明らかにバブルめいた中国不動産市場の規模は2020年までに65兆ドルに達し、米国と欧州連合(EU)、日本のそれの合計をも上回った。

 2021年には中国の銀行システムの資産総額の41%が不動産関連の融資とクレジット(信用)で占められた。

 日中両国の不動産バブルに向かう過程は、国に課された融資制限やその他の制約を迂回するために発展した巨大なシャドーバンキング(影の銀行)市場の存在によって加速された。

対米関係にも類似点

 シティのアナリストらは、日中両国の米国との関係にさえ類似点を見いだしている。

 日本の貿易黒字が膨れ上がっていくと、米国との競争摩擦は1980年代の全面的な貿易戦争へとエスカレートし、技術と知的財産権、安全保障上の懸念が争いの中核を占めた。

 そして今、例えば米国の最近の法制定やその他の措置が先端技術に対する外国企業のアクセスを制限しようとしたところに類似点がある。

 こうした類似は完全に同一ではないかもしれないが、全体的な効果は同じかもしれない。

 20年前、日本はバブル崩壊後の不況のどん底に到達しようとしていた。

 ゾンビ企業の債務が困窮した金融機関のバランスシートに巣くい、企業と家計は長期的なデレバレッジ(債務の圧縮)フェーズに入り、低金利が維持された。

 これは中国の特色ある日本化だとシティは結論づける。そして投資家が注意すべきリスクは銀行システムに潜むものだという。

By Leo Lewis© The Financial Times Limited 2023. All Rights Reserved. Please do not cut and

中国経済に深い傷痕=倒産や失業、成長の重荷―ゼロコロナ終了3カ月

 中国が新型コロナウイルス感染拡大を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を昨年末に終了して3カ月。コロナ禍は企業倒産や若年層の深刻な失業といった深い傷痕を残した。政府は冷え込んだ景気の回復を急ぐが、容易ではない。

買い物客でにぎわう成都市中心部=2月20日、中国四川省成都市© 時事通信 提供

 「足元の発展はさまざまな困難と試練に直面している」。李克強首相は5日開幕した全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で危機感をあらわにした。政府は2023年の経済成長率目標を「5%前後」に設定。前年目標より0.5ポイント低く、厳しい景気認識を反映したと受け止められている。

 中国では22年、ゼロコロナで上海市や四川省成都市がロックダウン(都市封鎖)となった。ゼロコロナ終了で、経済は正常化に向かっている。成都市中心部は人出でにぎわい、30代女性は「人混みは(23年1月下旬の)春節(旧正月)ごろを境に目立って増えた」と話す。

 もっとも、消費が順調に回復するかは不透明だ。政府活動報告では23年の失業率目標が「5.5%前後」と、22年の「5.5%以内」から後退した。雇用は特に若者で持ち直しが遅れ、家計の購買力も落ち込んだまま。四川省では「失業した」「会社から給与が支払われなかった」と、人々の生活不安は根強い。

 米金融大手ゴールドマン・サックスはリポートで「家計は消費に引き続き消極的だ」と分析。習近平指導部が重視する内需が盛り上がらなければ、景気回復のハードルは高くなる。 

「中国恒大集団」危機:中国不動産バブル崩壊で、日本でも暴落あるか?

バブル崩壊の経緯とその先の波及を読む

2021年09月21日 06:00
高幡 和也  住宅・不動産ライター/宅地建物取引士

  • 中国の不動産大手「中国恒大集団」が巨額の有利子負債で経営危機

  • 中国の不動産価格下落は可能性大。日本のバブル崩壊時と似た経緯と原因

  • 日本の不動産市場に与える影響はあるのか?価格動向から見えるのは?

中国の不動産大手「中国恒大集団」が、巨額の有利子負債(日本円で9兆円超、2021年6月時点)を抱え経営難に陥っている。中国当局は昨年12月、不動産市場にバブル懸念が生じたとして、銀行の住宅ローンや不動産関連企業への融資に総量規制を設けると発表。これにより中国恒大集団は資金繰りが悪化したうえに、中国当局がマンション購入に一定の規制をかける措置を講じたことから不動産事業の業績も悪化したとみられている

※参考「中国大手銀、不動産向け融資悪化 当局の締め付け影響」日経新聞 9/13

中国の都市部を中心に高騰しすぎたマンション価格を抑制する措置として、現在、中国当局が行っている対策は、不動産関連融資に対する総量規制・マンション取引に対する事実上の価格統制・マンション購入の許可制などだ。不動産価格の下落は見られないが、今後さらにこれらの規制が厳しくなっていけば、中国のマンション価格は長期的に見ると下落に転じる可能性が極めて高い。

日本の不動産バブル崩壊時に酷似?

バブル当時の日本は高い経済成長率(1988年当時、6.8%)に支えられ、日本中が「財テクブーム」に沸いていた。今では死語となった財テクという言葉の本来の意味は、企業が手元の余剰資金や借入金を有価証券や不動産などに投資して利益を確保しようとすることを指している。

だが、当時は企業だけでなく一般のサラリーマンや専業主婦もこぞって株や債券、不動産などへの投資を行っていた。なかでも不動産は自己住居として利用できるという側面をもち、一般個人にとって投資の対象としては最も身近な存在だ。日本の不動産価格が右肩上がりで上昇し続けるという状況の中、持ち家を取得することは同時に不動産投資を始めることを意味するものでもあった。

日本の不動産バブルが崩壊する直前、当時の日本政府は、土地の高騰を抑制するためにさまざまな施策を行った。なかでも土地価格の高騰抑制に効果を発揮したのが、土地取引価格の上限を事実上国が管理する「国土利用計画法(通称国土法)」と、金融機関の不動産関連融資を制限する「総量規制」である。

取引価格の上限を国に定められ、さらに不動産購入の原資となる資金の借入が急激にストップすれば、買いたいけれど買えない、売りたいけれど売れない状況になり、不動産流通・取引は急激に減る。そして当然それは市場価格を押し下げることになった。

 日本のバブル崩壊は金融政策の転換や外圧などを含めさまざまな要因が重なった結果だが、不動産価格だけに絞って見るのであれば、当時の不動産価格が暴落したのは、国による取引価格の制限と融資の総量規制が直接的な原因であることに間違いない。現在、中国が行っている不動産価格の高騰抑制策もまさしく当時の日本と同様の措置である。

国全体の経済動向の今後は別として、不動産の取引価格制限と融資総量規制を行えば、少なくても不動産流通・取引が減ることは間違いない。その事を明確に示しているのが冒頭で紹介した中国恒大集団が置かれた現状といえるだろう。

今後、中国国内で経営危機に陥る第2、第3の中国恒大集団のような不動産企業が立て続けに現れるようなら、中国は過去の日本同様、不動産関連の不良債権処理に長い時間を費やすことになる可能性もある

中国バブル崩壊で日本の不動産暴落は?

過去、日本で起きた地価の急激な下落は、金融危機と同時にしか起こっていない。もちろん調整局面としての短期的な地価下落はあったが、急激で大幅な下落はオイルショック以降では平成バブル崩壊とリーマンショックのときだけである。

不動産価格はその国や地域ごとのドメスティックな市場感で相場が構成されており、中国不動産の価格が暴落しても、それが直接日本の不動産市場に影響を及ぼすことはない。仮にそれが世界的な金融危機をもたらすなら話は別だが、今回の中国恒大集団のデフォルト問題は、リーマン級の金融危機をもたらす可能性が指摘されている一方、実際にデフォルトしてもそれが即世界的な金融危機につながるとは考えにくいと指摘する声の方が多い。同社の融資債権の多くは政府系金融機関が保有しているとされており、さらには市場の混乱を避けるために今後も中国政府の積極的な介入があると考えられているからだ。

日本の首都圏マンション市場の今後

現在、日本では首都圏を中心とした地価の上昇と住宅需要の急増が顕著だ。今年8月の首都圏新築分譲マンションの平均価格は一戸当たり7,452万円で、前年同月比24%の大幅アップとなっている(株式会社 不動産経済研究所調べ)。

また、(公財)東日本不動産流通機構のデータによると、マンションデベロッパー側の販売戦略の影響を受けない中古マンション価格についても、首都圏の今年8月度の成約価格は前年同月比で 3.5%上昇した。これで首都圏中古マンションの成約価格平均は、2020年6月から15か月連続で前年同月を上回ったことになる。

 これから首都圏でマンションの購入を考えている人にとっては、どんな理由にせよ少しでも価格が安くなって欲しいところだと思うが、日本政府がまた悪名高い地価抑制策を急に講じたり、中国恒大集団のような事業規模の大きい企業がデフォルトし世界的な金融不安を巻き起こさない限り、しばらく首都圏のマンション価格は下がりそうもない。

参考文献・参考資料

中国経済に忍び寄る新たな日本化の波 米シティが警鐘、不動産バブルは20年前の日本並み(1/4) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

中国経済に深い傷痕=倒産や失業、成長の重荷―ゼロコロナ終了3カ月 (msn.com)

「中国恒大集団」危機:中国不動産バブル崩壊で、日本でも暴落あるか? – SAKISIRU(サキシル)

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?