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政治講座ⅴ526「米国が中国共産党を怪物にした(対中政策の誤り)」

国益!国益!とよく言うが目先の短期利益で米国は騙されるのである。
そこが歴史の教訓から国家百年の計で物事を考える日本との違いである。
権力集団はその権力保持のために権力の座を奪うものを敵視し、滅ぼしてきた。今丁度、平家を滅ぼした後の「鎌倉殿と13人」で繰り広げられる権力闘争を見ているが、現代においても同じである。中国の歴代王朝の歩みは裏切りと謀略の歴史である。
米国の政策は長期的には謝りの連続である。騙されるお人よし国家であり、後で騙されて利用されたことに気付いて激情して滅ぼしに着手する。この繰り返しである。
事の始まりは、ソ連に対抗するためにニクソン大統領が中国を取り込んだことから始まっているが、もっと遡れば、米国にも阿片貿易でしこたま儲けた人物(ローズベルト一族)が、商売に邪魔な日本を中国大陸から排除しようと画策して、日本がソ連と中国との脅威と立ち向かっているときに、日本を敵視し、中国に軍事物資を支援したことから始まるのである。
本来、敵視すべきソ連と中国共産党と中華民国を助けたローズベルト大統領が日本を敵視して、宣戦布告に近い「ハルノート」を突き付けたことから間違いが始まる。
今の中国共産党という怪物を育てたのは、遡ると、米国であると考える。
日本が抑え込んでいた中国共産党とソ連と対峙して国力を疲弊させたのは米国自身の因果応報・自業自得である。米国も「盛者必衰の理」から逃れられないのである。超大国ともてはやされて有頂天になっている間に中国共産党はしたたかに米国から富を奪っていったのである。

        皇紀2682年11月1日
        さいたま市桜区
        政治研究者 田村 司

完全に裏切られた中国への「期待」、なぜアメリカは対中政策を間違ったのか

中国共産党を見誤っていた歴代政権の「関与政策」

2022.10.29(土)日本戦略研究フォーラム

(古森 義久:日本戦略研究フォーラム顧問、産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 中国共産党が5年に一度の党大会を終えて、習近平氏が党の総書記、国家の主席という独裁的地位に再び就任した。習主席はこれまでの世界覇権を目指す志向を改めて強調し、「中国式で民族復興」などというグローバルな野望を明示する政治標語を掲げた。アメリカとの対決はさらに激しくなるだろう。一方のアメリカも中国を危険視して、対決姿勢をますます強める。共和党のトランプ前政権が決定的にした中国への対決政策を民主党のバイデン政権もほぼそのまま引き継いだようにみえる。この姿勢は習近平氏の3期目の独裁統治の始まりとともに、さらに強固になるだろう

歴代アメリカ政権の対中政策は間違っていた

 しかしアメリカ側のトランプ、バイデン両政権に共通するのは、過去の歴代アメリカ政権の対中政策はみな間違っていた、とする認識である。では、なにがどう間違っていたのか。

 この点に関する分析を、ワシントンでのセミナーでアメリカの対中政策の権威から直接聞いた。その内容を報告しよう。その集いは大手研究機関「AEI」(アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート)でのアーロン・フリードバーグ教授の講演と討論会だった。フリードバーグ氏といえば、プリンストン大学の教授を長年務めた著名な政治学者で、とくに中国や米中関係の研究を専門とする。2代目ブッシュ政権の高官も歴任し、著作も多い。そのフリードバーグ氏が今回『Getting China Wrong(中国を誤解する)』と題した本を出版した。同書はアメリカ政府が1979年に中国との国交を樹立して以来、長年にわたって採用してきた対中政策が基本部分で大きく間違っていたという諸点を多角的に分析していた。

 AEIでは今年(2022年)8月末にこのフリードバーグ教授を招き、同教授の最新の書の紹介を兼ねて講演を催した。私もこの集まりに加わり、講演や討論に耳を傾けた。そのなかでのフリードバーグ氏のアメリカの対中政策の錯誤への反省という部分に焦点をしぼって、内容を紹介しよう。

「関与政策」主唱者たちの3つの期待

 フリードバーグ氏はまず現在の中華人民共和国という存在が、アメリカを中心とする国際的な自由民主主義の秩序にとっての最大の脅威であるという基本認識を明確に語った。そしてこうした現状を生んだのは多分にアメリカとそれに同調する西側陣営諸国による過去の政策の失敗の結果だと、大胆に総括した。その「西側陣営」には当然わが日本も含まれる
 フリードバーグ教授はまず、アメリカなどの関与政策の主唱者たちが、その政策が生むであろう前向きの成果として以下の3つの大きな期待があった、と報告した。

(1)中国は、自由民主主義の国際秩序を保持することによる自国への利益を認識し、その国際秩序に挑戦したり破壊することはないだろう

(2)中国はグローバル経済に参入することで国家主導の経済を市場主導の経済へと移行させるだろう。

(3)アメリカなどが中国との関与を広げれば、やがては中国国内の政治的自由化を促すことになるだろう。

 フリードバーグ教授によると、関与政策の支援者たちは、中国がアメリカやその民主主義的な同盟諸国に対して脅威を与えることなく以上のような変化を示すだろうと主張していた。

期待に沿う動きは起こらなかった

 しかし現実にはそのような「期待」に沿う動きはなにも起こらなかった。関与政策は失敗したのだった。
フリードバーグ教授はその失敗の直接の理由として以下の諸点を指摘した。
(1)中国共産党政権の指導者たちは西側のアプローチを挫折させ、自国の目標を推進するための対抗策の確立に成功した。

(2)西側諸国の中国研究の専門家や対中政策形成者たちは中国共産党の弾力性、発想性、冷酷性を過小評価した結果中国の動きを誤認することとなった。

 そのうえでフリードバーグ教授は、アメリカなど西側諸国はとくに中国の経済面での実態についての誤算が大だったとして、以下の点を強調していた。

(1)西側の数十年に及ぶ中国の未来についての主流の主張は、中国が経済的に発展すれば、中国人民は経済面での冨に合致する政治的自由を求めるようになるため、必ず民主化が進むだろう、という骨子だった。だから中国の自由化のためには中国との経済関与を深め、広げることが最善の策だと信じられてきた。

(2)だが中国共産党政権の対外的な好戦性の拡大と、国内での国民の監視と抑圧の深まりによって、この西側の見解や政策には決定的に欠陥があることが判明した。西側のアプローチのなにが間違っていたのか。アメリカもその同盟諸国も中国の台頭の意味についてなにを誤認したのか。全世界の民主主義陣営はいま中国による既存の国際秩序の規範や規則の侵食や破棄を防ぐためになにをすればよいのか。これらは切迫した課題である。

同じミスはおかしてはならない

 フリードバーグ教授は、以上のように現在と将来の課題については、あえて疑問形の問題提起でまとめていた。今後の中国の国際的な動きにどう対処するか。アメリカだけでなく、日本にとっても国家存立自体を左右するほどの重大な課題なのである。

 同教授のこの分析によって、中国への対処に関してアメリカや中国がなにを、どう間違えたのか、という基本の命題は明らかになった。同じミスはおかしてはならない、という教訓でもあろう。

[筆者プロフィール]  古森 義久(こもり・よしひさ)
 1963年、慶應義塾大学経済学部卒業後、毎日新聞入社。1972年から南ベトナムのサイゴン特派員。1975年、サイゴン支局長。1976年、ワシントン特派員。1981年、米国カーネギー財団国際平和研究所上級研究員。1983年、毎日新聞東京本社政治編集委員。1987年、毎日新聞を退社し、産経新聞に入社。ロンドン支局長、ワシントン支局長、中国総局長、ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員などを歴任。現在、JFSS顧問。産経新聞ワシントン駐在客員特派員。麗澤大学特別教授。
 著書に、『危うし!日本の命運』『憲法が日本を亡ぼす』『なにがおかしいのか?朝日新聞』『米中対決の真実』『2014年の「米中」を読む(共著)』(海竜社)、『モンスターと化した韓国の奈落』『朝日新聞は日本の「宝」である』『オバマ大統領と日本の沈没』『自滅する中国 反撃する日本(共著)』(ビジネス社)、『いつまでもアメリカが守ってくれると思うなよ』(幻冬舎新書)、『「無法」中国との戦い方』『「中国の正体」を暴く』(小学館101新書)、『中・韓「反日ロビー」の実像』『迫りくる「米中新冷戦」』『トランプは中国の膨張を許さない!』(PHP研究所)等多数。


参考文献・参考資料

完全に裏切られた中国への「期待」、なぜアメリカは対中政策を間違ったのか 中国共産党を見誤っていた歴代政権の「関与政策」(1/4) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

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