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”幸”付加価値を描こう


テクノロジーの進化と精神的価値


テクノロジーの進化により、私たちの生活はとても便利になった。

昭和のドラマを盛り上げたツール不足による「すれ違い」はなくなり
わからないことは検索ツールやAIが解決してくれて
買い物はレコメンドまでしてくれるのが当たり前になり
自分という人間を自分以上に理解して届く広告が毎日飛び込んでくる。

…その利便は、心を満たしているのか?愛を感じるものなのか?

そんな問いが日に日に強くなっている。
広告会社に長く働いていたから尚更かもしれないが…

私は大学生の頃「人の想いや地域の魅力をチームで形にして社会に届ける」広告業界に魅力を感じて、就職した。
この私自身の思いは今も変わっていない。

ただ、入社当時と比較して社会の変化の中で業界が最高にワクワクするアイデアよりも最新のテクノロジーを活かした最適化に時間と意識をもっていかれているようにどうしても感じてしまう。

大学時代にゼミでチャレンジした釜山国際広告祭。
想いをのせた表現は世界を超えて伝わると思えた。

私たちは効率や生産性を追求するあまり、
心の豊かさや幸福感、もっと強い言葉で”人間らしさ”を見失っているように感じる。

SNSの変化と自由な表現の喪失


SNSが普及していった頃は「想いやモノ・コトの魅力を伝えていける手段が増えた」というワクワク感とともに多くの人が自由に自己表現や体験のシェアを楽しむ場だったように思う。
でも最近はどうだろう。
SNSは戦略的に活用するツールになり、発信する側がそのアルゴリズムを意識してセルフブランディングを行うようになり、“心を満たす、心が自由になれる場”ではなくなっているように思う。

PERMA理論と心を満たすプロジェクト


そこで注目したいのが、幸福の5つの要素であるPERMA理論。

PERMAは、Positive Emotion(積極的感情)、Engagement(没頭)、Relationships(人間関係)、Meaning(意味)、Accomplishment(達成)の頭文字を取ったもので、これらの要素をビジョンやアクションに組み込むことで、心を満たすプロジェクトを立ち上げることができるのではないかと考えている。

伝える術や広げる術はテクノロジーの力を借りるとしても、プロジェクトそのものの目指す方向が人間の心を満たすものになっていれば、人間の五感・感情は失われない状態を守っていけるのではないか…?

人間の幸福度をあげる地道でアナログな幸付加価値プロジェクトが土台にあって、テクノロジーはその助っ人として活用していく社会をつくっていきたい。

長崎市でのプロジェクトデザイン


私は幼少期から大学生まで福岡や大阪などの都市部で過ごしていたが、7年前に結婚を機に長崎市に移住した。

長崎市での生活を通じて、テクノロジーが都市のスピード感で発展していなくても、もがきながらも生活者の心を満たすプロジェクトが存在しているまちの方が、真に豊かであることに気づいた。

たとえば、長崎市外海・出津(しつ)地区の、かんころ餅専門店「出津農楽舎」では、人手不足に苦しみながらも、長崎市の隠れキリシタンの当時の生活文化を伝え続けていくために、かんころ餅の提供だけでなくかんころ(干し芋)づくりやかんころ餅づくりを体験できるプログラムを立ち上げ、外海というエリアを活性化していくプロジェクトをDMOと連携しながら進められている。

域内外のプレイヤーが連携しながら想いの乗ったプログラムづくりに取り組んでいる

私は長崎市市街地から約1時間をかけて移動し、海を望む景色とその地の歴史を感じながら、その歴史を守っていこうと努力を続ける事業者との会話を楽しんだり、その地域の課題と向き合って一時的にでも支え合えあう時間。

そういった不便と課題を受け入れながら五感を刺激する時間に「幸付加価値」を感じる。

出津農楽舎さんのプロジェクトはまだまだ始まったばかり。
彼らの思想・資源・生産力をより解像度高くデザインしていくことでもっともっと共感と共創の輪はダイナミックに広がっていくと信じている。

繰り返しになるが、五感を刺激し心を満たすプロジェクトがテクノロジーの力で多くの方に広まっていく、そんな社会を願い行動していきたいと思う。

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