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うなぎこわい

昔は魚が苦手な子でした。勿論、今も大好きで肉より魚!という程好きではありませんが、それでも年をそれなりに重ねれば、魚の旨味というものを少しは理解できるようになった気がします。そしてここ最近、決定的に食わず嫌いを克服できた魚が最近います。

鰻です。

昔に両親から「穴子は鰻だ」という、今にして思えば納得できない話を聞かされており、幼い私はそれをそのまんま信じていました。その事もあってか、穴子は好きだったのですが鰻と言えば、なんか穴子より脂のってそうだしそもそも美味しくなさそう。という刷り込みを自分自身で行っていたのです。そりゃいつまで経っても食べません。

ところが先日、連れから「鰻を食べたいから食べに行こう」とのお誘いが。今まで食べたことなかったし、何よりこの年で「鰻食べたことないし嫌いや」とも言いたくなかったので、折角だしと食べに行くことに。鰻や川下りで有名な柳川へ向かい、早速鰻とご対面。二人ともひつまぶしを頼みました。

はじめてひつまぶしを見た感想は、なんかすごいぎゅうぎゅう詰めで正直、重箱より鰻を味わえそうでお得感があるなーという何ともおバカな感想でした。おすすめの食べ方があったので、それに倣い食べてみたところ鰻ってこんなに美味しいものだったのか!!と美味しさのあまり興奮していました。思っていたほど脂ものってなくむしろ身が引き締まっており、身に弾力があり掴もうとする箸や噛もうとする歯を弾き返さんばかりにぺんっと弾む程でした。口に含めば、甘辛いタレと弾力のある身がいい塩梅で絡められてご飯が止まらない止まらない!出汁と薬味を乗せてお茶漬け風にすれば、タレがマイルドになり一気に優しい味に。食べ方を変えれば変えるだけいろんな顔を鰻は見せてくれて、今までなんでこんなに毛嫌いしてたのだろうかと、少し後悔しつつも箸を止める事なんて出来ずただ黙々と食べてました。結局全部食べる前にお腹一杯になってしまい、連れに残りをあげましたが…。山椒をかけて食べる姿をみて、その食べ方まだしてない!しまった!と少し後悔しました。

「穴子=鰻」の方程式を唱えていた両親の気持ちが今なら何となくですが分かる気がします。そりゃ、あんなに美味しい味を幼いうちに覚えさせたら食費なんて大変だったでしょう。舌が肥えて、事あるごとに鰻食べたい!と唱えられ、スーパーでさえ1パック2,000-3,000円前後するものをせがまれる…自分が親の立場で気持ちを想像しただけでも恐ろしいと思ったほどです。まるで「まんじゅうこわい」を連想させられるな、とそんな事を思いながら田園風景を眺めつつ帰路につきました。またいつか食べる機会があれば、真っ先に山椒をかけて食べてみたいものです。

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