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「進言」⑥ 父から子への真剣な話

第六章

息子はたくさんのことを語ってくれる。
今日あったこと、面白かったこと、悲しかったこと。
それらを語り終わって寝ている息子に、まだわからないであろうことを今日も語りかける。
知恵を妻としなさい。道をそれないようにしなさい。
愛とは何かを知りなさい
少しでも言葉に。将来の君へ。

「わが子よ、
あなたがもし友人のために保証人になり、他人のために誓約し、口の言葉によって罠にかかり捕らえられたならばこうして自分を救いなさい。
ひたすらその友人にひたすら求めなさい。
その隣り人の手に陥ったのだから。
目を眠らせず、瞼にまどろみを与えずに己を救え。
カモシカが狩人の手から逃れるように、鳥が鳥を獲る者から逃れるように。」

「怠け者は、蟻のところに行き知恵を得ると良い。
かしらも、司も、王もないのに、夏に食物を備え、刈入れの時に食糧を集める。
怠け者には、いつまで寝ているのか、いつ目を覚まして起きるのかと問うことになる。
しばらく眠り、しばらくまどろみ、しばらく腕を組み、またしばらく休む。それゆえ貧しさは盗人のように来たり、乏しさは強者のように来る。」

「邪な人、悪人は、曲がったことを言って歩き回り、目配せ、足で合図、指でさして、邪な心を持って悪を計り争いを絶えず起こす。
それゆえ、災いが突然やってきて、彼は滅ぼされ癒されることがない。」

「主に憎まれるもの、心に忌み嫌われるものが7つある。
高ぶる目、
偽りを言う舌、
罪なき人の血を流す手、
邪悪な計画をめぐらす心、
悪へと急ぎ走る足、
偽りを述べる証人、
兄弟の内に争いを起こす人、だ。」

「わが子よ、
父の戒めを守り、母の教えを捨ててはいけない。
常にあなたの心に結び、首のまわりにつけなさい。
君が歩く時に導き、眠る時に守り、目覚める時にあなたと語るから。
戒めは燈(ともしび)、教えは光、教訓による懲らしめは命の道だ。
あなたを守って悪い女に近づかせず、見知らぬ女の巧みな舌に惑わされないようにする。」

「悪い女の麗しさを心に慕ってはならない。
その瞼に捕らえられてはいけない。
遊女はひとかたまりのパンで雇われるが、浮気者の女は人の尊い命を求める。
人が火を懐に入れて服が焼かれるように、
燃えている炭火の上を歩いて足が焼けるように、
隣り人の妻と関係を持つ者も同じく、彼女に触れる者は罰を免れない。
盗人が飢えた時、その飢えを満たすために盗んだら、人々はその人を蔑むだろう?
もし捕らえられたら、その7倍で償い、その家の全財産を出さなければいけなくなるかもしれない。
女と姦淫を行う者は思慮がない。
己を滅ぼし、傷と辱めを受けてその汚名は消し去ることができない。
女の夫は妬みで激しく怒り、復讐するとき容赦しない。
どのような償い物も受け付けず、多くの贈り物でもなだめることはできない。」


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