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中小メーカーが社員インタビューに取り組んだ話

今回のテーマは、当社で半年前から取り組んでいる「社員インタビュー」です。

2021年3月時点で、計6名の社員にインタビューを行いました。

結論からお伝えすると、「やってよかった!」の一言に尽きます。予想以上のプラス効果がありました。

というわけで、振り返りも兼ねて、取り組むきっかけや運用フロー、半年間の成果をまとめてみました。

会社説明会での違和感

僕は2019年5月に家業へ中途入社しました。「将来の仲間は自分で採用しろ」という社長方針のもと、入社直後から採用全般に携わっています。

前職時代に面接官の経験はありました。しかし、採用全体の設計は初めてでした。

そこで、まずは会社説明会の同席から開始。すると、初回から採用担当者の説明に強い違和感を覚えました。

「ISO9002を国内の六角ボルトメーカーで最も早く取得しました」
「六角ボルトの仕上げ程度は上規格を採用しています」
「3〜24ミリの幅広いサイズに対応できます」

学生を対象にした会社説明会にもかかわらず、製品や技術力の話ばかり。専門用語がならび、学生の理解が追いついていないことは明らかでした。

「ねじ」というニッチな事業領域だからこそ、社員の入社理由や仕事のやりがい、今後の目標といった「ヒト」に関する情報をもっと発信する必要があるのでは?

それから数回の同席を経て、違和感は確信に変わりました。

ヒントは前職のオウンドメディア

さっそく会社説明会の見直しを始めました。

しかし、会社説明会の限られた時間だけでは、こちらの伝えたいことが十分に伝わるイメージを持てませんでした

なので、会社説明会の見直しを進めながら、採用PRの新たな手段も模索。ヒントになったのは前職のオウンドメディアでした。

SNS上に流れてきた新着記事を久しぶりに読んでみると、内容の充実ぶりにびっくり。

特に活躍中の社員にスポットライトを当てたインタビュー記事は、働く人や組織の雰囲気がよくわかり読み応え十分でした。

リソース面に不安はありましたが、それを上回るだけのチャレンジする価値はあると判断。社員インタビューを軸としたオウンドメディア開設を決めました

「ヒト・モノ・カネなし」でのスタート

とはいえ、当社は100名程度の中小企業です。費用対効果が見えない取り組みに予算はおりません

基盤のブログサービスは、無料でUIもシンプルなnoteを採用しました。

運営体制も専任担当者の配置は難しく、本業との兼務が前提でした。もちろん、社員インタビュー関連業務の残業はNGです。

なのでしばらくは、自分が取材とライティングを担い、撮影と画像編集を若手社員へ協力依頼しました。

投稿頻度は無理なく継続できる月1〜2件に設定しています。

試行錯誤を重ねた運用フロー

企画〜投稿の運用フローは、試行錯誤を重ねた結果、このようになりました。

①企画会議の実施

②候補者に打診

③事前回答をもとに準備

④インタビューの実施

⑤作成と編集

⑥最終確認

⑦投稿&拡散

①企画会議の実施

企画会議は人選メインです。運営メンバー2名+若手社員3名の計5名が、Slack(チャットツール)の専用チャンネル内で実施しています。それぞれが別の業務を抱えいるため、定例会議は行いません

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②候補者に打診

企画会議で候補にあがった社員にインタビューを打診します。

打診時は、目的や質問事項をA4一枚にまとめた企画書を必ず配布。企画書の効果はわかりませんが、取材の承諾率は75%です。

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③事前回答をもとに準備

インタビュー対象者には、取材効率を上げるため、質問事項の事前回答(箇条書き)をお願いしています。

もともとは、事前回答は求めず、インタビュー当日にすべて回答いただくつもりでした。しかし、インタビュー対象者の1人から「うまく話せる自信がない」という相談を受け、この方法へ変更しました。

結果的に事前回答は正解でした。質問の絞り込みや掘り下げがしやくなり、スムーズな取材が可能となりました。

④インタビューの実施

当日は、取材30分+撮影30分の計1時間で実施します。

撮影はインタビュー対象者や運営メンバーだけでなく、他の社員にも仕事の中断・協力をお願いすることがあるため、短時間集中で行っています。

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⑤作成と編集

記事作成と画像編集は、記憶が新鮮なインタビュー実施後1〜2日を目安に行います。スピード命です。

⑥最終確認

完成した記事は、インタビュー対象者と運営メンバーで、最終確認を行います。短期間で仕上げているため、あえて1日寝かせてから再確認することも多いです。

⑦投稿と拡散

最終確認で問題なければ、コアタイムを狙ってnoteに投稿します。

投稿後はホームページ、SNS(Facebook、Instagram、Googleマイビジネス)で拡散します。社内にはSlackや掲示板で共有します。

また、会社説明会の参加者には、noteのQRコードを添付した紹介資料を配布しています。

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金剛鋲螺 社員インタビュー

半年間の成果

①選考希望者の増加

採用面のプラス効果としては、説明会参加後の選考希望者が増えました

働く人や社内の雰囲気に関する選考中の質問も減り、noteを通じて知ってもらえている手応えはあります。

今後は、インタビューした社員にリクルーター面談の協力をお願いしていく予定です。記事と面談をセットにすることで、社員一人ひとりの考えや想いを、より詳細に伝えていきたいと考えています。

②社内コミュニケーションの活性化

当初の目的は採用PRでしたが、社内コミュニケーションの活性化にも一役買っています

当社程度の規模でも、部署が違うだけで、それぞれがどのような仕事をどのような想いで取り組んでいるのか、わからないことはたくさんあります。

これを社員インタビューを通じて知れたことで、新たなコミュニケーションが生まれています。目に見える変化としては、記事を読んだ社長が、普段接点の少ない取材を受けた社員に、声を掛ける姿を見かけるようになりました

少しずつですが、コミュニケーションのきっかけとして機能し始めています

最後に

実は、社員インタビューの恩恵を最も受けているのは僕かもしれません。

というのも、インタビュー対象者の組織や事業に対するうちに秘めた想いを、漏れなく知ることができるからです。

これまで6名の社員にインタビューを行いましたが、事前のイメージ通りだった社員は1人もいません。良い意味で予想を裏切られ続けています。

だからこそ、社員インタビューは「やる手間以上にやる価値あり」と強く思います

今後も社員インタビューを通じて、(運営側として)想いの共有と、(後継者として)想いの実現に向けた環境づくりに取り組んでいきます。

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