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眠る時間に着くまで夜の街を歩く

散歩しているといろいろ考え事をする。

体を動かしている方が考え事に集中できるのはなんだか不思議だけど、

じっとしていては行き詰まる考え事も、歩いているとぐいぐい先へ進んでいく。

雨が降っているから傘を差しながらの散歩だけど、今日は部屋にじっとしていたくなかった。

そうしていると部屋の壁がどんどん狭まってきて、押しつぶされるような気がして落ち着かなかった。

でも外なら安心というわけでもなかった。

車は走り回っているし、見ず知らずの他人とすれ違ったりもする。

背中を刺されるような気がしてすれ違うたび寒気がするし、車だってぶつかってくるかもしれない。

時々店だったり、自販機だったりの眩しい明りに目が眩む。

夜くらい、明かりを消してほしいけど、そんなわがままばかりは言っていられない。


街の中にあらゆるものたちが生まれて並べられたことで、僕らはわがままになったのかもしれない。

昔は無かったから何も言う必要がなかったけれど、今はあるから、ある以上それを快く思わない人もいるから、僕らはきっと昔より文句を言うようになった。

街をふらふらしていると、そんなことを考える。

誰かのために用意された何かが、他の誰かは気に入らない。誰にとっても便利であろうコンビニの明かりに文句を思い浮かべた者がここにいる。

そんな世界。

それでも人はまだ、批判を恐れている。

文句を言うにも距離は関係なくなった。どこから矢が飛んでくるのかわからない。

だから機嫌を損ねないように細心の注意を払いながら生きている。

だけどそんなことしても結局は批判されるんだよ。

それなら思うとおりに生きようよ。

何をしたってきっとどこかの誰かさんには気に入られない。

それにたとえ気に入られたって、大して良いことなんか無いさ。

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