目標は、頭に思い浮かべやすい形に言い換える

行動経済学の本を読んでいて、人間の行動の深層をできるだけ掴みたいと思っているのですが、おもしろい記述があったので、書きます。

人間は、自分が思っている以上に「なんとなく」選択をおこなっている。たとえば、コンビニで何かを買うときに、いちいち購入理由を言語化などせずに、いつものか、馴染みのあるものを選択しまいがちだ。

しかし、企業のマーケティングなどの現場では、「商品Aは価格が安くて品質も良い」と訴求すれば、合理的に消費者は選択してくれのではないかと考えてしまうことが頻繁に起こる。会議などで、消費者が合理的に判断する前提で意見が出てくるのは、あるあるではないだろうか。

日常生活では、同様の商品で、明らかにAの方がいいのに、Bが爆発的に人気があるみたいな現象があるように、マーケティング的に導かれた解と実生活が異なることがままある。
寮で過ごしている学生に2つのコピーのどちらが効果があるかを調べた実験がある。
1:「1日に5つの野菜を食べましょう」
2:「1日に5つの野菜を皿に乗せましょう」

よくみるコピーは、1の方が多いイメージがあるし、「効果がありそう」と思われるのは、1がいいように思われるだろう。
だが、実際に効果があって生活者の行動に変化を起こしやすいのは、2の方であるという結果のようだ。

なぜなら、実際に食堂などで「選択」が発生するときに、人間が無意識的に思い出しやすいのは、2のメッセージだからだそうだ。つまり、動作のイメージが湧いていることのほうが「なんとなく」決定してしまうわたしたちの脳には好都合なのだろう。

この実験は、普段の目標設定の仕方にも応用ができるのではないかと思っている。本やSNSなどで、書いてあることをそのままやってみようとするのではなく、自分がイメージしやすく、思い出しやすい形に言い換える作業をひとつ挟むだけで、やりやすさは向上すると思っている。

「朝の散歩に行く」だとおそらく実行に移しづらいのではないか。少し自分用に言い換えて、「朝にサンダルを履いて玄関を開けて外に出る」の方が、実行しやすいだろう。
後者の方が、脳内ではイメージがしやすいように感じるから。

行動するだけ、やるだけだ、と思っていて、やるぞ!と息巻いていも、できないことはたくさんあるだろう。実行に移せない原因はおそらく、実際の局面になると行為をするイメージが湧きにくからだろう。
「なんとなく」決めるわたしたちの脳には、瞬時にイメージが湧きづらく、考えたり認知コストを払ったりすると、もうめんどくさいが勝ってしまうのかもしれない。

だから、目標や行動指針は、自分の脳内にイメージが湧きやすい言葉に言い換えるクセをつけること。これが一番最初にやることではないかと思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?