土曜朝の愉悦

台風が過ぎた。
先週までの肌に突き刺すような朝の光は、じわりと背中をあたためるくらいに落ち着いている。あたりを照らす日差しを反射した空気や散乱した草葉は、秋の到来を予告しているかのようだった。

休日の朝、皆はどんなことをするのだろう。
家庭がある人は、家事や子どもの習い事、部活動などの準備で忙しない時間なのだろうか。

ひとりの気ままな土曜日の朝。
コンビニで、日経新聞と朝日新聞を購入する。お目当ては土曜朝刊の書評欄である。
ジョイフルに移動し、モーニングメニューの目玉焼き定食を注文する。
小ぶりな半熟目玉焼き、ウインナー、新鮮な緑のほうれん草、ツヤのあるひじき、たくあんに、味噌汁。438円。

一気にいただき、書評欄を抜きとる。
紙の新聞はデカい。いつもデジタルから情報を見ていると、なんとなく重みがあるように感じてしまう。

書評されていた、おもしろそうな本たち。

力道山の妻の話も面白そうだが、プロレス以外にも影響力の大きかった力道山の周辺の人物たちを通した、当時の時代の空気感を知りたいと思った。

芥川賞作品らしい。身の入らぬ会社員生活と、山登り。最近では会社の人との付き合いや飲み会は敬遠されているようだ。そんななか、どうやって一緒に働いている人に親近感や尊敬、仲間意識を持てるだろうか。仕事での人間関係は求めてないと言いつつ、実は働く仲間とのいい関係を求めている人も多いのではないか。そんな時代の仕事仲間との新しい人間関係を描いているのではないか。


そのほか、社会科学やサイエンスの本の書評もおもしろい。
毎週の書評だけ読むだけ、これもひとつの読書の形態なのではないか。
もはや時間がない人のための、最高の読書体験かもしれない。

ほんとうは、新聞が置いてある純喫茶みたいなところで読みたいのだけど、最近はなかなかそういう店を見なくなったなぁ。10年くらい前まではあった気がするのだけど。。
さらにいうなら、各新聞社は、月1000円くらいのサブスクで書評欄だけネット公開してくれないかな。紙の紙面やデジタル会員にまでなりたくなくても、書評だけ読みたい需要はけっこうあると思うのだけどな。

しかし、新聞代込みのモーニングでほぼワンコインでおさまる日本。
これだけでも愉悦である。

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