100分de名著 "新約聖書 福音書"を見ての感想 20240815

興味深い内容だった。

言葉とコトバは違うよと言った井筒俊彦の話から始まり、頭だけでなく身体や自分の経験を通して聖書は読むべきという提案だった。

言語の哲学では、言葉はコンスタティブかパフォーマティブかといった分類で表現されることがある。
コンスタティブとは、言語でなにかの事象を説明する役割のことを指している。パフォーマティブは、言語で、人になにか働きかける役割のことを指す。
上記で、言葉とコトバと書いたが、漢字の「言葉」はコンスタティブであり、カタカナの「コトバ」はパフォーマティブに近い概念だと思った。
言葉は事象だけを切り取るような説明的なもので、コトバは説明の外側にも力が働いて、他者から感じることができるものである。

最近は、言葉が「刺さる」とった表現をよく聞くようになったが、ここでいう刺さるとは、漢字の「言葉」にマッチした表現かもしれない。短期的にグサっと感情を揺さぶることはできても、短期的に流れていくようなものを指している感覚がある。
本当に他者に力を与えるのは、「響く」という表現が、ここでいう「コトバ」だとも言えそうだ。響くは、長い時間スケールで、他者に力を与えるものを指していると自分は解釈した。

いづれにせよ、言葉とコトバ、これを意識して言語を使うことを、自分の人生で考えたいと思った次第である。いい番組だった。

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